春灯雑記

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022563521

感想・レビュー・書評

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  • 蔵書の中から、何気なく手に取り、20数年ぶりに再読。改めて言うまでもなく、司馬氏の博識に驚嘆しきり、そして氏の日本への熱い思いに。
    講演、あるいは述壊(氏のいう)を掲載した5編からなる。

    「心と形」は、キリスト教と比較しながらの仏教の本質論。

    「護貞氏の話」は、細川護貞氏との邂逅から、江戸時代、安土桃山と、語りは時代を縦横にとび、昭和史では、日本陸軍を無思慮集団と論破し、そのたばねとして東條がいたと記している。宰相の器でない者がその地位になったがための、国家の進むべき道を誤ったこの国の悲劇について、特に、筆を割いている。

    「仄かなスコットランド」は、「街道を行く」の英国版か。

    「踏み出しますか」は、”新しい日本をどうつくるか”が演題の講演録。今読み返すと、TPPへの、司馬氏のひとつの提言に思える。

    「義務について」も、ロンドンでの講演に加筆したもので、氏の博覧強記には圧倒されるばかり。

  • 日本人の根本思想をキリスト教との対比で炙り出す「心と形」。同様に英国と対比させる「仄かなスコットランド」。国家としての日本の未来を探る「踏み出しますか」と「義務について」。細川元首相のパパの日記から戦時内閣を語る「護貞氏の話」のエッセイ5篇。日本人が日本人を理解するのに役立つ。面白い。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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