- Amazon.co.jp ・本 (573ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022572448
作品紹介・あらすじ
家が、家族が、そして人がだんだん壊れていく。「一家四人殺し」はなぜ起こったか。宮部みゆき待望の長編ミステリー。
感想・レビュー・書評
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時々長編をじっくり読みたくなる。そんな時宮部みゆきさんの作品はもってこいだ。
この作品は、1996年9月から朝日新聞の夕刊に1年間連載されたもので、571Pの長編だ
バブル経済の崩壊の時期に誕生した地上25階建ての超高層マンションの2025号室で起きた一家4人殺し
事件の解決後、ルポライターが事件関係者に行ったインタビューという形で話は進んでいく
しかし、読者にはまだ犯人は分からない
インタビューの対象者があまりに広範囲に渡っていることとその内容があまりに遡って語られているため、途中話の筋が見えなくなり、誰だったっけ?と混乱してしまったが、それぞれに家族や生い立ちやら背景があるということか
マンションの高額なローンを払えず、抵当権者が裁判所に競売の申し立てをし、競売が実施される
買受人や占有者・執行妨害・・・云々
今まで全く知らなかったことがちょっとだけ分かった
そういう中にも事件が潜んでいることも
途中、挫折しそうになったが、後半に入り事件の概要が見えてくると俄然面白くなった
当たり前のことながら、最後は、きちんと収束したのはさすがだなと思った
いろんな家族やマンションの住人を描くことで現代社会が抱える人間関係の歪みが浮き彫りにされていた
以前、隣家とトラブルがあったため、
「隣近所は頼りがいのある存在ではなく、警戒するべき存在だと言い切り、「隣人」が怖い。「世間」が怖い。そして、「コミュニティ」が怖い。そのため、必要以上の接触は避けているという事件現場の隣室に住む北畠家
家族を否定し、家を飛び出し、見ず知らずの他人との家族まがいの同居生活に気楽さと居心地の良さを感じていた犯人の八代祐司
希薄になってしまった家族関係・人間関係が生み出した事件だった
連載から20年以上が経過した今、同じような事件が毎日のようにニュースを賑わしている
これから益々高齢化社会に向かい、隣近所の繋がりや支え合いが大切になるであろうに、隣人が怖いなんて悲しすぎる
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『模倣犯』や『火車』のような小説だと思っていたらだいぶ違った。真相にいたるまでの背景の書き込みがすごい。
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残念ながらちょっと期待ハズレでした。
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宮部ワールド炸裂。
細やかな取材の跡があり
複雑な人間関係も丹念に描きこまれている。
伏線も張り巡らさられており、面白かった。 -
重い。
登場人部の背景がそれぞれリアルなだけに、とても重い。
八代祐司については割とあっさり語られているところが怖いな。 -
再読
競売マンションでの殺人事件を軸にした
第三者による事件の手記という独特な形式。
好き嫌いはあるだろうがこの形式が「人間を描く」
という点で活かされていると思う。
いつだって真実というのは、見る人によって角度によって違う、
それぞれの「理由」がある。
宮部作品の中でこれはそんなに好きな方じゃないけど
いつも、人間を描くのだという姿勢が好きだ。
こうね・・・親戚の真面目なおばちゃんに
浮ついた生き方してたら駄目よ!って言われているようなね(笑)
それにしてもさー、発売当初から思ってたんだけど、
表紙の写真のおじさん怖くねー?
怖すぎて見るたびびくびくしちゃうよ>< -
もろい家族関係が殺人事件を複雑なものとする。ほとんど悪いやつはいないのに悲劇が生まれる。誰にでも不幸が訪れるチャンスはある。ささやかな日常も貴重なものかもしれない。
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持ち主いわく、「まどろっこしい」といっていましたが
本当だ、これはまどろっこしいね(笑)
人物描写が濃厚すぎます。
一応ミステリーとしては
さほど度数は強くなく、
犯人も隠されていませんので
ある程度の段階であっけなく判明します。
だけれども、その真の犯人は責められないなぁ…
これって今現在でも問題ですし…
本当、こう言う目に遭う人
減っていただきたいものです。
もし自制があれば…!! -
朝日新聞夕刊に連載されていた作品。インタビュー形式で始まる作品に馴染めなくて読むに苦労した。よく作り込まれているけど、読んでいてワクワクしたり楽しくなる感じではない。