世界の究極理論は存在するか: 多宇宙理論から見た生命、進化、時間

  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022574091

作品紹介・あらすじ

量子計算、ヴァーチャル・リアリティ、ゲーデルの不完全性定理、人工知能、万能テューリング機械、利己的な遺伝子、タイムトラベル…そのすべてを統合する「万物の理論」とは?理論物理学の鬼才ドイッチュが現代科学の最大の難問に挑む。

感想・レビュー・書評

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  • 『いつになったら宇宙エレベーターで月に行けて、 3Dプリンターで臓器が作れるんだい!?: 気になる最先端テクノロジー10のゆくえ』本文から。

  • 内容ではなく、訳のひどさ(直訳調方針?)の評価。一読してまったく頭に入ってこない。途中で読むのをあきらめた。例えば、下の日本語がすっと理解できる人はいるのだろうか。
    「複雑で自律的な抽象的実体は客観的に存在し、実在の織物の一部である。これらの実体に関する論理的に必然的な真理が存在し、これらが数学の主題を構成する。証明はその結論に確実性を付与しない。ある特定の型の証明の妥当性は、われわれが証明を遂行するのに用いる対象にふるまいに関する、われわれの理論の真理性に依存している。」

  • 先入観や常識をすてて最良の理論と理性を通して世界を見るべき。その理論をそれぞれの分野の実用主義的な基礎としてではなく、世界の説明として真剣に受け止めなければならない。
    理解が理解として成り立つのは大量の事実を知っていることではなく、正しい概念、説明と理論をもつことにある。比較的簡単なそして包括的な理論一つで無限に多くの理解しがたい事実を覆うことができる。理論と同様にその説明も大事。

    我々がテストするのは流布している理論より上手く物事を説明することが期待できそうに見える新しいものだけである。

    予測は科学理論の目的だと述べることは手段と目的を混同している。実験テストを合格することは世界を説明するという科学の真の目的を達成するために理論が成さなければならない多数のことの一つにすぎない。「良い説明/理論は結果的に良い予測を生み出す」

    理解と知ることは同じではない。
    理解が説明的な理論を通して現れるために、また理論が持つ一般性のために、記述された事実が急激に増大したとしても理解することを全て理解することは必ずしも困難を伴わない。
    (つまり「事実」の量は増えているが、「理解(理論)」の量は大して増えていない)

    ある理論がより多くのことを説明し、より正確でありながらもっと理解しやすい新しい理論に取って代わられることがあるが、その場合には古い理論は余分になり、学ぶべきことは前より少ないのに理解はますと言ったことになる。

    新しい理論は古い理論の単純化であるときもある。あるいは新しい理論が二つの古い理論の統合であって二つを別々に用いるのに比べてより多くの理解をもたらす場合もある。

    説明あるいは理解とは「何」よりも「なぜ」に関わる。物事の内的な動きに物事がただどう見えるかでなく、本当はどうなのかにかかわる。単にたまたまどう見えるかではなく、そうでなければならない事柄に関わる(必然)。

    現代の理論はより少数でより深く、より一般的で
    ある


    >予測は科学理論の目的だと述べることは手段と目的を混同している。実験テストを合格することは世界を説明するという科学の真の目的を達成するために理論が成さなければならない多数のことの一つにすぎない。「良い説明/理論は結果的に良い予測を生み出す」

    >深化と統一化の傾向以外にも絶えざる広がりが同時進行している。新しいアイデアはしばしば単に既存のものに取って代わり、単純化し、あるいは統合以上のことをする。新しいアイデアは人間の理解をそれまで全然理解されなかったーあるいはその存在そのものすら推測されていなかったー領域に拡大する。

    >それらは新しい機会、新しい問題、新しい専門化を、そして新しい領域すら開くかも知れない。それが起きた時、すっかり理解するために学ばなければならないことが少なくとも一時的に増大するかも知れない


    >創発的現象とはそれについては了解可能な事実あるいは説明が存在し、それらは低レベルの理論からは簡単に導き出せないが、その現象を直接言及する高レベルの理論によって説明可能、あるいは予測可能であるような現象

    >進化すなわち試行錯誤ー特に科学的発見と呼ばれる明確で合目的な試行錯誤ーが唯一のやり方なのだ。

    >科学はその方法と並んで、その問題によっても特徴づけられる。真の科学では問題は常にできるだけ広くて深い、そして正しく特異的な説明を見出すことによって実在の織物の何らかの側面を理解することにある。


    ここにおける「問題」とは理論(世界の理解)上の問題のことなのだな。。
    >問題:我々の理論のあるものがー特にそれらが含み説明がー不適切であり改善を試みるに値するとみなされるときには問題が存在している。

    論理の規則はもともと全ての論争を解決する、偏りも誤りもない方法を提供してくれるという希望を託されて定式化されたことになっている。だがこの希望が叶えられることは決してない。

    数学的直観が明らかにする完全に信頼できるタイプの知識とは?-数学者は数学的直観が絶対的確実性の源泉であるという意味では一致しているが数学的直観が彼らに何を告げているかは合意できていない。

    数学的推論はますます精巧するにつれて日常的な直観からますます離れることを避けられなくなったが、これには対立する二つの重要な効果があった。
    一つは証明にますます慎重になり、一方でより強力証明方法が考案されたがそれが妥当であるとの確証はなかった。

    数学における証明の統一の基準を達成することは統合化(知識の深化)に向かう総体的な動きの中で我々の助けになるよう見えるかもしれない。だが現実にはその逆。究極の還元主義的ビジョンに陥ってしまう。

    数学的アイデアはヒルベルトの規則を根底においたヒエラルキーを形成するだろう。数学的真理で規則からの証明が非常に複雑なものは規則から手短に証明できるものに比べて客観的にそれだけ基本的でないことになるだろう。こうした基本的な真理の供給源は有限なので時代が進むにつれて数学はますますどうでもいい問題に関わるようになるだろう。

    この陰惨な仮説の元では数学はいずれ終焉を迎えるだろう。もうしそうならなくとも、数学者が研究を強いられる「創発的な」論点の複雑さが増大するにつれてそしてその論点とこの学問の基礎との連関がますます疎遠になるにつれて、数学は不可避にますます難解な専門に断片化していく。

    ゲーデルのおかげで科学理論が真であるか否かを決定する固定した方法がないのと同じようにある数学命題が真であるか否かを決定する固定した方法も存在し得ないことを我々は知っている。新しい数学的知識を生成する固定した方法も決してあり得ない。したがって数学の進歩は常に創造性の発揮にかかっている。数学者が新しい型の証明を発明することは常に可能であり、また必要だろう。

    幾何学は数学に間違って分類されてきた。
    数学の本性そのものについて数学者が古代からおかし続けてきた基本的間違いも非常によく似た分類ミスを引き起こしている。それは数学的知識が他のどの形の知識よりも確実だという誤解。

    数学の方法と主題の混同。数学が研究している真理は絶対確実だが、こうした必然的真理に関するわれわれの知識それ自体が確実であることを意味しないし、
    数学の方法がその結論に必然的真理を付与することを意味しない。
    必然的真理とは単に数学の主題であって、数学をすることで得られる報酬ではない。数学の目標は数学的確実性ではあり得ないし、そうではありえない。ましてや確実であるにせよそうでないにせよ数学的真理ではありえない。数学の目標は数学的説明であるし、それでなければならない。

    数学的直観
    その振る舞いによって興味ある抽象的実体の振る舞いをモデル化しているある物理的対象の振る舞いに関する理論の集合。

    通常科学
    やがて何人かの若いトラブルメーカーが現れて既存のパラダイムのいくつかの基本的教義を否定する。新しいパラダイムで見ている。積み重なった証拠の圧力とそれを古いパラダイムの元でなんとか説明することの無理さがついにそれを受け入れさせた。

    「一人の人間を理解するための理論」と「集団現象を理解するための理論」の違い

  • ただでさえ常識では理解し難い量子論の話。筆者は量子コンピューターなるものの第一人者らしく、案の定何を言ってるのかは雰囲気でなんとなく感じ取るくらいしかできなかった。でも、理解できたかどうかとは別に、量子の世界や多世界解釈に触れることは、自分が身をおく世界を相対化するための知恵として役立つと改めて思った。

  • 約一年かけて読了。凄まじい内容ですた。よくもまぁこんな説明を思いついたものだと感心します。多宇宙が何故必要なのか?生命とは何か?情報とは何か?科学とは?諸々の問いの統一的な一つの回答がここにあります。個人的に、2、3、4、6、8、11章は非常に面白いです。最終章のω理論はそりゃもう突飛なものですが、なんとなく惹かれてしまう魅力と美しさがありますw

  • 何か揺さぶられた。徐々に大げさになっていくので最後は読んでないけど…

  • タイトルで買い。量子力学と平行宇宙ってだけでテンションあがるよ。でもまだ未読。

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著者プロフィール

オックスフォード大学の物理学教授、同校の量子計算研究センターに所属。英国王立協会の特別会員。量子計算・量子コンピュータのパイオニアにして、並行宇宙論の権威、多世界解釈の主唱者として知られる。かつてホーキングやペンローズも受賞したディラック賞を受賞。既刊書は、『世界の究極理論は存在するか』(朝日新聞社)。

「2013年 『無限の始まり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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