「人間復興」の経済を目指して

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  • 朝日新聞社 (2002年4月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (178ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022577443

「人間復興」の経済を目指しての感想・レビュー・書評

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  • 本書が書かれたのは2002年ですので、世の中は新資本主義にひた走っていた時期でした。市場原理、自己責任、小さな政府のもとに進められた構造改革の結果、多くの歪が生じてきました。本書は早い時期から生活するものの視点で世の動きに警鐘を投げていたものです。3.11の大災害の後、人々の心のあり方が変わりつつあると感じます。共生、持続可能な社会は本書の主要テーマでもあり、我々が今後変えていかねばならない社会の方向を示すキーワードであると考えます。

  • (2009年07月20日読了)
    ・参考:「匠の時代」P14
    ・参考:「経済の恐怖−雇用の消滅と人間の尊厳」(ヴィヴィアンヌ・フォレステル)・・・人間はもはや搾取の対象でさえなくなった。いまや人間は排除の対処になった。P21
    ・参考:「ターボ資本主義−市場経済の光と闇」(エドワード・ルトワク)・・・経済は栄え、社会は衰退する。P22
    ・(2001年12月)現在のように失業率5.6%を超えているというのも確かに大きな問題だが、ケインズ経済学の考え方では5%の失業率は資本主義社会の中では想定される範囲内の数字であり、労働力の移動に伴って発生する短期的な失業である摩擦的失業、辞めてどこかへ移るための失業の期間とか、季節的な失業、仕事のない期間、失業状態になるというのは資本主義にはつきもの。P27
    ・本当に大変なんだということを知らせるには公共事業を思い切り減らしていいのではないか。本当に苦しいのだから収入のないのに支出をするのと同じで、景気はいつまでたってもよくならない。P29
    ・日本とヨーロッパ諸国の大きな違いは、「企業は潰れても人間は潰れない」という社会的安定化装置がよく整備されていること。資本主義・市場経済をとる限りは失業と同じようにバブル発生も不良債権問題も、どのように優れた経済政策をとっても残念ながら避ける事はできない。P32
    ・困難な問題は多くあるが、やはり「職なくば人間の尊厳もない」という理念を大切にしたい。いろいろな働き方があるにしても働く、働かせるという関係にはしかるべきルールが必要で、そういう節度をお互いが持ち守っていくという姿勢が過剰な失業者の生み出される時代だからこそ特に大事で失業問題の根源的な解決にもつながるのではないか。P38
    ・参考:「オランダモデル−制度疲労なき成熟社会」(長坂寿久)・・・オランダモデルは働く時間を少なくする、あるいは仕事を分かち合うわけですが、しかし企業側は実質的には賃金を切り下げる事はしていない。実質賃金は低下しないように企業は必死で努力する。それでも低下した場合、政府は現在処置をとったり、雇用補助金を出すと言う形で側面から支援する。P40
    ・デンマークでは人々が化石燃料から自然エネルギーに向けていくことができるように、さまざまな制度をつくっていった。そして2030年までに電力消費量の50%は風力発電でカバーする計画になっている。P48
    ・合理化・効率化を追求することは結構だが、人を育てる、育む、という努力をしないで、目先のバランス・シートをよくすることだけにしか関心がない、というような経済が果たして真の合理化と言えるのか。P64
    ・参考「毎日が日曜日」城山三郎・・・たとえ豊かでなくても、それぞれ自分の人生をみつめ、自分なりの幸せというものを追求した人々が多く存在し、登場。P70
    ・参考「部長の大晩年」P77
    ・易経「窮すれば変じ、変じれば通ず」・・・窮する事はけっして悪いことではない。窮すると変ずる、変わらざるを得ない。変わることによって打開できる。だからこれは変わるための1つのチャンスだと思って努力すれば必ず道は開けると思えばいい。P91
    ・参考「わしの眼は十年先が見える−大原三郎の生涯」P100
    ・今の日本は軍事予算の膨張といった問題こそないが、赤字国債を際限もなく発行しつづけることができないと言う点では何か枠を決めて押さえ込まなければならない。P141
    ・今は資本の論理に全部まかせるのが正しいんだという声だけがまた大きくなっている。金というものが非常に大きく出てきて、あらゆる物が「カネの論理」「資本の論理」で動いている。金を持っているものが勝ちということになっている。P145
    ・コツコツと真っ当に「働く」ということが、本当に報われる社会でなければいけない。しかしコツコツやっても報われないと多くの人が感じ始めている。P148
    ・参考「日本の論点」P153
    ・オランダモデルは「働く側の自由」をより拡大していく事で成果を上げた。しかも「正規社員と非正規社員との区別をまったくしてはならない」という法律ができている。P158
    ・労働における3つのミスマッチング。?職を求めている人と、人を求めている側との間の需給の不均衡。?生き甲斐を満たすような仕事がなく、生活の糧のためにしぶしぶ働かざるをえないという、生き甲斐、働き甲斐のミスマッチング。?介護などの社会的必要労働の圧倒的不足。P162

  • 経済成長は人間の生活を豊かにするものではなかったのか? 経済の成長の為に人間の存在が邪魔になっているのか?とも考えたくなる昨今。 ひとつの答えがココにある! 日本の2人の総理、首相と財界総理と言われる経団連のトップには、特に読んでいただきたい書である。

  • 内橋克人氏と故城山三郎氏の対談録です。お二方の鋭く暖かな視線が伝わってきます。今の新資本主義をマネー資本主義と鋭く読み解き、真に人が幸福に暮らせる社会のあり方を論じています。2002年の著作ですが、今改めて読み返すと日本で起ころうとしている格差社会をすでに看破していたと思います。内橋氏の「現場百回」には共感します。

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