椿山課長の七日間

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022577863

作品紹介・あらすじ

やり残したことが多すぎる。このまま"成仏"するわけにはいかない。突然死した冴えない中年課長は、美女の肉体を借りて七日間だけ"現世"に舞い戻った。朝日新聞夕刊連載の単行本化。

感想・レビュー・書評

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  • 「この世」に未練を残したまま死んだ人たちが現世に戻りやり残したことをやる話。
    椿山課長は、忙しい時期に残した仕事や、結婚前に何度も関係を持ったが、友達であると疑わなかった女性が実は深く傷ついている事実を確認しに現世に戻る。
    また、里親に育てられ、実の両親にありがとうと伝えたい子ども。人違いで殺されてしまったヤクザも現世に戻るのだが、現世ではしてはいけない掟があって・・・。
    生きていたころとは違う姿になって自分のやり残したことをしにいくという内容は楽しめたが、正直もう少し泣ける話だと思っていたので、残念。

  • 著者の本はそれなりに読んでいるが、本棚に入るのはこの本が最初である。

    ●2023年1月13日、追記。

    本作の内容は、

    ---引用開始

    やり残したことが多すぎる。このまま"成仏"するわけにはいかない。突然死した冴えない中年課長は、美女の肉体を借りて七日間だけ"現世"に舞い戻った。朝日新聞夕刊連載の単行本化。

    ---引用終了

  • ある日突然死したデパートマン・椿山課長が、やり残したことを片付けるために現世に送られて過ごす七日間。そのまま極楽浄土に行けば知らずに済んだことだらけだが、現世で知った父親の愛情、結婚までに連れ添った人の想い、わが子の父親への尊敬のまなざしなどを、短い滞在期間に知る。
    登場人物のストーリーが交錯しながら大団円とつながるストーリーはお見事。
    軽いタッチで描きつつ涙なしで読めないところが、浅田作品のにくいところだ。

  • タイトルから想像できないファンタジーだった…

  • 様々なカタチの親子愛に涙腺崩壊。
    面白くて三分の一以降一気読み。

    p210
    ひとついいお勉強をした。ヒミツを持つのは悪いことじゃないけど、ヒミツを守るためにウソをつくのはつらいんだ。きっと大人の人たちはみんなこんかふうにして生きているんだな。だとすると人生って、つらいことなかりなんだな。

    優しい嘘が散りばめられていた。

    やり残したことなど所詮他人にとっては取るに足らぬこと。
    「生に執着しない事にしたの。」と、職場の人が云っていたことが妙に心にどっかりと住みついてしまったけど、あなたはまだ長生きしなさいとも云われた。

  • 突然の死により冥土にあがってしまった椿山課長。
    現世に未練ありまくりのため、
    なんとか現世に返してもらいます。
    その期間は7日間(実質活動できるのは3日間)のみ。
    色々なルールもある中で、
    椿山課長はどう動くのか?!
    というのがざっくりした内容です。


    椿山課長が中心のようで、
    実際は脇役というか、準主役クラスの登場人物と話が絡まっていきます。


    この作品でおもしろかったのは、
    冒頭から続く冥土のシステムのところです。
    まるで免許センターの免許更新のようなシステムで、
    現世っぽさがクスッとなります。
    でも少々この部分が長くて、
    椿山課長が現世に戻ったときは
    「やっと戻った」
    と思いました。

    好きなのは知子のひとり語りの章。
    自分よりも相手に幸せになってほしい、
    という愛し方は切ないですが、
    こういう恋愛もあるんだな…と思いました。

    良いところとちょっとなというとこを総合して、☆3つつけました。

  • 本屋のナツコミかなんかでおすすめだったので読んだ。突然脳卒中で死んで、特別他の人とスゴイ差があるとも思えないけど認められて女の体で現世へ戻る。するとカミさんはずっと前から不倫していて子供が実は托卵。ここでもう胸糞悪くていやになった。結局何がしたくて生にしがみついたのか。カミさんの浮気相手の後。輩の男に何のペナルティもなく、最後の方は主役は椿山課長の親父さんになる。これを読んで最終的に何を得たらいいのか、浅田作品にしてはつまらない

  • 突然死した椿山課長が、思い残した事が多すぎるということで、現世に3日間だけ舞い戻る話。ボタンひとつでリセットできる事や、おじいちゃんと武田さんの最後は、納得できないけど、厳守事項を破った蓮ちゃんが極楽往生できたのはよかった。

  • デパートに勤める椿山課長は、セール真っ只中に突然死。
    未練ありまくりであの世から期間限定で戻って来る。
    旅は道連れ、同じように戻ってきたヤクザと子ども。
    ファンタジーチックなのに案外下衆い椿山課長、かと思えば人情たっぷり、おじいちゃんの存在は涙を誘うし、楽しく読めた。
    ヤクザさんの言葉遣いが読みづらかったのと、ラストが自分的にはいまひとつなので、星4つ。

  • 今日、突然死んでしまったら、何を悔み、何をしたいと思うだろうか。
    このままこの世から去ることはできないと考える、死んでしまった三人は、与えられた三日間で、やり残したことに取り組む。百貨店の課長、任侠の親分、育ちのよい7歳の男の子が、残された人たちに会いにいく。真実に気づき、謎を解き、一方で謎をのこす。知りたかったこと、知らなかったこと、知りたくなかったことが、誰にでもあり、どうにかしたいなら、生きているうちにということを突きつけられる。
    任侠の勇さんの情の厚さもさることながら、椿山課長のお父様が、ただただかっこいいというか、「義」が人の形をとるとこうなるのかと。
    会えてよかった、おじいさま。
    精神的に不安定になりがちで、なかなか読書に気持ちが向かないこの頃ですが、浅田次郎さんの小説なら大丈夫というか、こんな時こそ彼の作品に救われる気がします。
    それにしても、再読なのに全然覚えていないことに衝撃。でも、何度でも楽しめるから、結果オーライ、むしろラッキー。

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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