- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022578716
感想・レビュー・書評
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私って何て全うな人間なんだろう と素直に自分を褒めたくなる。あぁしばらくは阿部和重読まなくていいや。「グランドフィナーレ」はまたいつか…
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驚きの結末。最後に方なるにつれて視点がころころと入れ替わり、切迫感があった気がする。相変わらず、登場人物を好きにはなれないが。
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というのは、彼の作品は、中上健次、村上春樹の作品を意識しながらも、あたかもそれが存在していなくても書かれうるようなたたずまいをもつに至ったからだ。この作品を書き上げた余勢でつい書いてしまった『グランド・フィナーレ』で芥川賞を取ったたことは、阿部氏にとっては不名誉な事実だろう。彼のような作家は、芥川賞なしでやってこそ輝くはずだかた。しかし、今や芥川賞は、その程度の制度的な意味さえも失い、完全に市場原理に組み込まれているのだから、ひねくれた見方をすることもなく、宝くじの三等賞くらいが当たった程度に喜べばよいのかもしれない。
この作品、最後急ぎすぎているので、下巻は星四つ。 -
大した本ではない。(嘘)
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20世紀最後の夏、神の町で何が起きたのか? 占領下の血塗られた歴史と三つの事件が同時多発的に炸裂する現代小説の問題提起作
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え〜?!がんばって苦労して読んだのに、それ?!
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これは読む価値あるよ。うん。
ところで友達が「タヌキ先生」は「タ」を抜くという暗示で、田宮家は「タ」を抜いて宮家の暗示だというようなことを言っていたのですが、これについての詳しい話募集中。
ただ厳しく批評するなら、「書ききれてない」中途半端さはある。いろんな断念がある。いろんな無責任もある。この作品が彼の頂点の一つだということだけど、もう一段階上の作品を書いていかなくてはならない責任があると言える。
・・・というようなことを村上龍が「グランドフィナーレ」の書評で書いていたんだけど、こっちに対して同じような感想を持った。もしこの断念を追求できれば個人的にはノーベル賞ものだと思う(って僕は大江健三郎くらいしか読んでないんだけど。しかも高校の時に適当に)。でも、これは皆が80点を目標にしてる中で、「90点だったけど、お前は100点目指せよ」っていうような話。
とにかくそれくらい阿部和重はすごいと思うのです。 -
どの人物にも救いがない。
表紙に感じた儚さは、ある意味ではこの物語そのものだ。
主な登場人物だけで30人はいる、神町という山形県の片田舎で起こった大掛かりな話。
語り口が独特で、物語自体は時系列通りに進むのだが、
視点があっちこっちに飛ぶので、
まるで、万華鏡を覗き込んでいるような錯覚に陥る。
それでも読者に話の筋を迷わせないのは、視点の飛ばし方が絶妙なおかげだろう。
どの人物にも超個人的な厄介ごとが起こり、
ラストへ向けて収束していく。
人間の業をこれでもかと見せ付ける、あけすけな文体は
読む者を選ぶかもしれない。
しかしいくつもの点と点が結びつき、線となって収束していく様は
読んでいて、とても興奮を覚えた。
この壮絶なカタルシスを味わうためだけに、この本を
読んでも損は無いかも・・
表現が、ものすごい下品なんだけどね
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登場人物約80人。圧倒的な物語の構造。最後まで高まり続けるテンション。すごい。
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ガルシア・マルケス「百年の孤独」、中上健次「枯木灘」・・・魔術的リアリズム云々はどうでもよくて、とにかく面白く読めます。特に田舎のムラ社会で育った経験がある人は是非!