- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022579959
感想・レビュー・書評
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Sun, 08 Feb 2009
「自転車ツーキニスト」の紹介を過去にもしたが,
その疋田さんの2007年のエッセイ.
ツーキニストの時よりは,ずいぶん社会的に自転車通勤,自転車利用の語り手として認知され社会的責任感も増した筆者の姿がある.
様々なネタをいったりきたりするが,
どれも読みやすく,自転車そのもの及び,自転車の歴史,自転車の走行環境,法律についての知識に明るくなる.・・・そして,日本の交通発展途上国プリに憤怒の念も・・・!
ところで,自転車は実に自動車より新しいテクノロジーなんですよね.
自転車は初めて,人間が得た,「人間の力しか使わないのに」人間の足で走るより速いという,魔法のようなアイテムなのである.ペトロを燃焼させて強引に鉄のかたまりを動かす某乗り物とはちがう.
また,2輪という常識で考えれば不安定であり,有史以来ほとんどだれも作らなかった構造物が,じつはジャイロの力で直立しうるという,高度な三次元剛体の力学によるものであり,最初っから四輪で安定するトリビアルな某乗り物とは違うのです.
(最近,某乗り物に対する攻撃が苛烈になってるなぁ,わし・・・.いや,乗ってない訳じゃないんですけどね.自己嫌悪を感じながらのってます.)
さて,自転車用語の解説や一世を風靡したジュニアスポーツ車についての熱い歴史などハッピーなお話もあるのだが,かなり多くのページが自転車街角セッションでも問題にしてきた交通行政,走行環境の問題(しかもかなり網羅)に割かれていて,頷くことしきり.
後半では警視庁が「自転車は基本歩道通行」という方針転換を行おうとした暴挙にたいして,メーリングリストや自転車活用推進研究会での活動を通して展開した反対運動(どうかんがえても正論)についてのスベテが書かれている.
弱者優先の道路利用は全世界の真っ当な国なら当たり前で,
歩行者>自転車>バス>トラック>自家用車
というのが秩序.
日本は道交法で自転車は車道を走るように規定されているのに,自動車がハバをきかせて,泣く泣く自転車が歩道に押し上げられるように道交法改悪.そして,自転車が歩行者をけがさせざるを得ない状況がうまれ,
「迷惑自転車・暴走自転車」という汚名を塗りつけられる形へとハメられた.
得するのはただただ元々重量もあり,空間効率も悪いく,環境負荷も大きい,金はかかってる自動車のみ.そして,その裏には道路族.
先進国の中ではこのような問題で後進気味であったイギリスとアメリカさえ,既に舵は切られている.自動車優先の道作りは,クルマが珍しい後進国だけしかやっていないことなのだ.日本は後進国なのか.
というわけで,歩行者と自転車の走行空間を分離する「歩輪分離」は常識とする以外に道はなし.
さてさて,もう一点.
地公体の迷走「フリーバイク(共有自転車)」もしくは「都市型レンタサイクル」についても本書は,ほんとに「ヤレヤレ」といった形でツッコんでいる.
p.45より引用
各地の自治体が「放置自転車対策のための最終手段」と称して,常に持ち出すのが,この「共有自転車」なるものだ.
街のあちこちに「自転車ステーション」のようなものを作って,ステーションからステーションまで,だれでも自由につかっていいよ,というシステム.(中略)一言で申し上げて,このフリーバイクほど,我々の社会がいかに「自転車というもの」を理解していないかを象徴するものはない.
そう,某KCTPのT代表もおっしゃっていたが,自治体の行う共有自転車は悉く失敗してきているのだ.
筆者は「パリのレンタサイクルも遠からず失敗するだろう」という.
ある節のタイトルが「たのむから共有自転車はもうあきらめてくれ」だったりするあたりは切実さがにじむ.
ちなみにこういう施策を押す人は「自転車にのらず,自動車にのってる」人だったりするらしい.
結局,まったく放置自転車対策にもならないし,フリー故にモラルハザードも起こしやすいんですよね.
京都の歩くまち京都の審議会の部会「未来の公共交通まちづくり検討部会」資料の中でレンタサイクル(多分,上記のニュアンスを大きく含む)が骨子案に入っていて,「んん?」と思ったのだが,それの疑問をマイナス方向の確信に近いものにしてくれた.
すごーく,簡単な文体でフランクに書かれながら,現在の自転車を取り巻く誤解と不備を理解出来る本なので,
自転車・交通政策に関わる人には一読願いたいものである.
ちなみに,僕らの街角セッションにも足繁く来てくださっていたFさんの作られている自転車大好きマップの事にもふれられてたり,昨日,交通秩序の事について教えてもらうために電話をさせていただいた自転車活用推進研究会K様の事なども言及されていた.
研究の上でも自分がなぜ,自転車を軸に都市問題に関わっているのかを明確にしつつ,貢献する研究成果をあげていかねばならないなと,思う昨今です.2009年度の目標の一つかな.
ちなみに7つの理由がなんなのかはよく分かりませんでした.詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自転車は必需品、毎日乗ってる。
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ちょっと刊行日が古いことので情報が古いことはありましたが5年以上自転車を取り巻く環境は驚くほど変わっていなかったのだなぁと逆に驚かされる内容でした。
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自転車+ipod=最強
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自転車通勤を始めることにしました!快適通勤を!
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自転車のいいところと、現在の道路交通法における自転車の不当な扱いについて語った本。
前半の自転車のいいところについての話、
また、現在の道路交通法がいかに問題点の多い法律になっているかの話は、
非常に関心を持って読み進めることができた。
ただ、終盤の道路交通法の改正反対運動の詳細は正直読みにくかった。
もちろん筆者のおかげで改悪が防がれたのであろうし、その点は非常に感謝している。ただし、それはこの本の主軸からはあまりに離れているように見受けられた。
いずれにせよ、全体として非常に興味深い、また考えなければならないテーマを深く掘り下げているので、読んで損はないと思う。 -
技術的な知識を少々、社会的な知識をかなり、自転車乗りとして初心者の私にはとても勉強になりました。shigez0さんありがとう。
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自転車が好きな人は、一度読んでみると自転車の現状から歴史から楽しみ方から海外事例、法律、課題への対策の盲点とかとか、包括的に知識をつけられるので読んでみても良いと思います。自転車にそんなに興味のない人は、違う本を読んだ方が良いと思います。^^;
個人的には、最初は「なっが。めんどくさ。」と思った部分も(多々)ありましたが、「遅かれ早かれ辿りつかないといけなかった知識だ」と思ってなるべく頭に入れながら読みました。また、そういう読み方をしていたから遅かった、とも言える。。。でも、基本的に新しい知識を得ることが好きな人間なのでおもしろく読めました。逆側の立場の人の話を聞いていない状態なので視野があやしいですが、頭に来たのが、「警察としては自転車を全て歩道にあげるつもりだった」という後半部分。
交通の大原則は、「弱者優先」だ。車道であれば、車よりバイク、バイクよりも自転車(自転車は軽車両であり、れっきとした車両です)。歩道であれば、自転車よりも歩行者、それも年長者や小さい子どもたちが優先されてしかるべきだ。そういう人たちが歩いてきたら、走ってきたら、一番強い立場にいる人たちは避けるのがルールだ。いや、ルールなんてなくたって、人として、道徳上そうだろう、とも思う。こんなことまでルールにしなきゃいけないとしたら、その社会は少し恥ずかしいと思った方が良い。
もう一つの大原則は、「車両は左側通行」だ。これは言葉通り。「どこを通っても良い」とされているのは、たとえぶつかったとしても誰も傷つけることがない歩行者だけだ。自転車だって軽車両なのだから、逆走は立派な反則になるはずだ。
この2つを守るのであれば、自転車は「車道の一番歩道側を左側通行で走る」べきだ。それなのに、その法律を守るはずのお巡りさんが、白い自転車で歩道を走ってる。逆走なんて当たり前。伴走だってしてる。その上、法律を守ってるはずの車道を走ってる僕たちに「キミキミ、危ないから歩道に上がりなさい」とか言う。自転車を歩道に上げて、交通上最も弱い立場にある歩行者をさらに危険な目に合わせようってのは、どういう了見なんだ。でも、お巡りさんに文句は言えずにしぶしぶ従う、、、。これ、おかしいんじゃないですか。
そもそも、環境を汚しながら走る車の人たちに環境を汚さない自転車に乗っている僕らが邪魔者扱いされる筋合いもない。あなた達が排気ガスを出すから、都会の空気は汚いとか言われるんだ。こんなにもヒートアイランド現象は加速するんじゃないか。コンクリートの道路は車がなければこんなにいらないだろう。あなた達が車(しかも大きな荷物を積んでいるわけでもなく乗ってるのは大体1人!)にばかり乗るから、渋滞が起こって無駄な時間が浪費されているんだ。道路の幅もこんなに広く取るから、歩道を少し広くするスペースだってないじゃないか。事故で死亡する可能性だって、対車が断トツで一番高いじゃないか。その車に乗っているあなた方に、「自転車は邪魔」とか言われたくないです。路側帯は駐車場じゃない。そこに止められると、自転車としては非常に危険なのに、そんなことも何故わからないんだ。一番優先順位の低いのは車だろ!!!
と、ちょっと暴走気味にまくしたててしまいましたが、、車のいいところは認めてます。都市間の移動や、足が不自由な人、自転車に乗れない妊婦さんや体力的に無理のある人たちの移動手段、大きな荷物を運ぶ手段として、これからもなくてはならないとは思ってます。自転車は雨の日には乗れませんしね。ただ、都心で本当にこんなに必要なのか?ということは考えてもいいのではと思ってます。
そして、なぜこんなにもおかしい状況が続いているのか。そこも、この本には書いてありました。要は利権なんですね。巨大な運輸・交通・行政に横たわる利権。車は税金を垂れ流しながら走っている。駐車するのにもお金がかかる。車の数が増えれば増えるほど、おいしくなる人たちがいる。だからこそ、一見おかしいけども「車を守る」ような常識ができてしまっている。これ、どうにかならないんですかね。高速道路だって、はじめは建設費だけ徴収して回収が終わればただになる約束だったそうじゃないですか。今、安くなったとか言っているけどもメンテナンス費用以外の収入は何に使われているんですかね。
自分にできることはまだまだ本当に小さいことしかないですけど、やらなきゃいけないことがたくさんあるからこそ、最高に挑戦しがいがあることだとも思ってます。今の社会でおかしいとこはみんなで認めて、できるだけ直して、自分と一緒の世代に生きている人たちにももちろんそうだけど、子どもの世代、孫の世代には少なくとも今より豊かに生きられる未来をプレゼントしてあげられたらな、と思います。 -
ごぞんじ自転車ツーキニストが道路交通法の改正に断固たちむかって、なんと180度法案をひるがえさせた事件を克明に記録しています。あ〜自転車が歩道に上げさせられずによかったよかった!