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- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022595706
感想・レビュー・書評
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●構成
Ⅰ 聖と俗の間
Ⅱ 職人絵の世界
Ⅲ 人と人を結ぶもの
Ⅳ 原点への旅
Ⅴ ふたたび町へ
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かつてヨーロッパ中世は「暗黒時代」といわれ、文化への弾圧や停滞がその特徴とされてきた。しかし、現在では多くの研究者が、例えば「12世紀ルネサンス」といわれる古代復興もなされ、また決して弾圧や停滞ばかりでないことを示している。
本書は、11世紀から12世紀にかけての、ハンブルグ及びニュルンベルグの町を中心として、市民社会の有り様を多面的に観察する。著者は人と人の関係を軸に、都市社会での民衆同士の係わり合いやそれによる規制・制限、あるいは集団関係の中での自由を描く。そして、人同士の関係性の変化や貨幣経済の導入、聖性の変容など様々なトピックを11~12世紀の大きな社会的転換の中に位置づけることで、読者は中世ヨーロッパの人々の暮らしを著者という窓ごしに観察するのである。
中世の社会史・民衆史を、モースの「贈与論」を理論的枠組みとして意識しながら、人と人、人とモノの関係性の中から読み解く労作である。
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