- Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022597205
感想・レビュー・書評
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本書は、幕末(1854年~1868年)を取り扱っている。
「エッセイ」というには詳細かつ精密すぎるが、「歴史的考察」とするにはおもしろすぎる。
とにかく、現在の新聞を読むがごとく、当時の情勢や風景がよくわかるのである。
「京都朝廷」の内実や「幕府内部」の人的構成や人事、その持つ意味と結果。
「幕末」がどのように進行したのかを実に興味深く読めた。
また「オールコックの見た浪速」では「外交官は旅行が好きだ、と一般化して良いかどうかまで責任は持てないけれども、幕末に来た欧米の外交官には旅行好きが多い」と英国初代駐日大使オールコックを取り上げているのが、幕府と朝廷の争いの中で、ちょっと違った視点となっているところもおもしろい。
「大政奉還」の迫真の進行を読むと、「徳川慶喜の大弁舌には四人(松平春嶽、伊達宗城、山内容堂、島津久光)が束になっても歯が立たなかった」。いやいや最後の将軍「徳川慶喜」は当時30歳そこそこだったと思うが、凄い男ではないか。
ここまで、歴史を詳細に掘り下げると、下手な小説よりもよっぽどおもしろいと、本書を高く評価したい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この本には、徳川慶喜など、登場人物の幾人かの写真が載っています。
全般的にみなさん、スッとしたお顔をしていらっしゃったのですが、
その中で、土佐の後藤象二郎、坂本龍馬の2人は結構しっかりとしたお顔だったのがちょっと印象的。
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オールコックが長々と筋を説明してくれている演物は、
演劇評論家中村哲郎氏の『西洋人の歌舞伎発見』によると、時代世話の狂言「勝鬨莩源氏」らしい。
言葉が分からないのに芝居の筋を追って、
邦訳の文庫本で十二ページ分も解説と批評をしてみせオールコックの熱心さには感心させられる。
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2008.3.14