キムはなぜ裁かれたのか 朝鮮人BC級戦犯の軌跡 (朝日選書 848)
- 朝日新聞出版 (2008年10月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022599483
作品紹介・あらすじ
連合国によるBC級戦犯裁判では、朝鮮人148人が有罪となり、23人が死刑になっている。なぜ多くの朝鮮人が戦犯になったのか。戦時中、日本軍は捕虜の扱いを決めたジュネーブ条約を無視し、連合軍捕虜の4人に1人が死亡した。その捕虜監視を朝鮮人に当たらせていた。裁判では、命令に従うしかなかったにせよ、個人の責任が厳しく追及されたのだった。戦後、「日本人」としてスガモプリズンにつながれ、釈放後は「外国人」として補償や援護の対策からはずされ、「対日協力者」として祖国にも帰れなかった朝鮮人戦犯たち。彼らを30年間追ってきた筆者は、裁判記録と本人証言をつきあわせ、現場を歩き、被害と加害が錯綜する歴史の真相を明らかにする。彼らはなぜ、何を、裁かれたのか。植民地支配、捕虜政策、戦争裁判、戦争責任を検証し、彼らの人生をたどりながら、「戦争」と「戦後」を問う。
感想・レビュー・書評
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日本人として裁かれ、ガイジンだから補償を受けられない、どこからも見放されたBC級戦犯たちの記録。
「かっこよくないつまらないしごと」であるところの捕虜収容所の管理を任され、日本流の教育「大ごとにするのもなんだから殴って済ます」を忠実に実行したことによる加害責任。
連合国から見れば加害者で、大日本帝国の被害者で、加害は事実で、被害も事実で、ひどいめにあったのは確かなのにスッキリと割り切れない。
「無実だから」じゃなくて、「悪くないから」でもなくて、されたひどいことはされたこととして、したひどいことはしたこととして、認められることがまず大事だったはずなのに。
知らされなかったゆえの罪。知らされなかったとしても罪。
不当な世界に従わない責任っていうのは、どうにも重過ぎて難しい。