森林がサルを生んだ: 原罪の自然誌 (朝日文庫 か 12-2)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022607225

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  • 著者は元京大霊長類研究所長でサル学の権威。
    本書は動物雑誌の連載をまとめたもの。トピックが短くまとめられていて読みやすい。
    衝撃的なのは「自然の掟を破ったもの」。同じ種の仲間は殺さない、食べない、という徹足は人間だけに当てはまるものと古くから知られていたが、1970年代の霊長類の研究でサルも仲間を殺し、食べるという事実が続々と観察される。殺サルはリーダーの交代期もしくは見なれぬものが集団に入ったときに起こる。そして、殺した子を分け合って食べる。本文には明確な背景は書かれていないが、恐らくこの行為は征服欲の裏返しではないか。
    殺人食人はもちろんタブーな行為だが、その本能は祖先に遡る。
    注:本書は怖いトピックばかりじゃないです。

  • 読書録「森林がサルを生んだ」4

    著者 河合雅雄
    出版 朝日文庫

    p231より引用
    “ だが、科学上の大きな真実は、いつもあ
    たり前のことの中に隠れている。物はどうし
    て落ちるのかという、あまりにあたり前で誰
    も疑問に思わなかったことから、ニュートン
    は地球が持っている偉大な性質を探りあてた
    のだ。”

    目次から抜粋引用
    “森林がサルを生んだ
     遊動生活は個性化を強めた
     文化の発生
     人間には生殖期がなぜなくなったか
     自然の掟を破ったもの”

     日本のサル学のパイオニアである著者によ
    る、サル類の進化や生活からみた人類の性質
    を記した一冊。
     生物としての人類の不思議さについてから
    武器を使うようになった経緯まで、著者自身
    の豊富な経験を元に書かれています。

     上記の引用は、身の回りのごくあたり前に
    見える事に関しての一節。
    何とも思わずに見ているものであっても、
    しっかりと隅々まで見つめることで、また何
    か違った面が見えてくるのでしょう。
     人が人である一番の特徴は、サルが森林で
    暮らすようになったことが土台になっている
    とのこと。どんなに素晴らしい生き物のよう
    に思っていても、自然の生き物とつながって
    今ここにあるのだなと思わせる一冊です。

    ーーーーー

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著者プロフィール

1924年兵庫県生まれ。京都大学理学部卒業。理学博士。生態学・人類学。京都大学霊長類研究所所長,財団法人日本モンキーセンター所長,日本霊長類学会会長,兵庫県立人と自然の博物館名誉館長,兵庫県森林動物研究センター名誉所長などを歴任。2021年5月14日没。著書に『ゴリラ探検記』,『少年動物誌』,『学問の冒険』,『人間の由来』などがある。

「2022年 『ニホンザルの生態』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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