ぼくたちの洗脳社会 (朝日文庫 お 42-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022612441

感想・レビュー・書評

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    農業革命、産業革命、そして情報革命。1995年に書かれたこの本に情報革命の意味を教えられた。
    以前に読んだ、世界最古の神話の読後と同じ気持ちになった。共通するのは『パラダイムシフト』、自分の価値観や信念を一旦カッコに入れる思考しないと見えないものがそこにある。

  • アルビン・トフラーの『第三の波』と堺屋太一『知価革命』からインスピレーションを得て現代を「自由洗脳社会」と定義付けた、95年に発行された「オタキング」こと岡田斗司夫初の著書。
    本書では、農業革命によって生まれた封建社会、産業革命によって生まれた自由経済社会に続く現代を高度情報化社会によって再びパラダイムが更新され、自由経済競争社会に続く「自由洗脳競争社会」とも呼ぶべき潮流がやって来ていると述べている。ここで言う「洗脳」とは、「多くの人々の価値観を、ある一定方向へ向かわせようとする行為すべて」として規定しており、ブランドやメディア、教育といったものも洗脳行為と見なした上で、現代は誰もが発信者となって洗脳の主体者として行動できる社会が到来していると論じている。
    このような主張に対して、ゼロ年代の当事者である自分としては、同意しつつも良くも悪くも90年代のパラダイムから述べられたものとしての感覚が拭えなかった。というのも、一つは過去のパラダイム上に構築された就職や結婚といったシステムが崩れつつある事に楽観的な態度である事への違和感。そして、もう一つが著者が「洗脳」という言葉を用いる通り、他者に影響を与える事に肯定的な態度に対する違和感。実際の所、格差や貧困、虐待が自明のものとなった今の視点からは楽観的な態度はとれないだろう。そして、大多数はむしろ他人の意見を否定する事を恐れ、自分の意見に共感してほしいだけなのだ。。そう、90年代に比べてゼロ年代って、本当に痛々しい十年だったんだよ。
    読んでいる中で、自分の頭の中を常によぎっていたのが2008年に起きた秋葉原無差別殺人事件。当時25歳だった容疑者は非正規雇用を転々として生計を立てており、携帯サイトの掲示板で度々書き込みを行うも誰からも共感を得られなかった彼は、著者の言葉を借りて言うならば「自由経済社会」の負け組であると同時に「自由洗脳社会」の負け組であったと言える。二重の意味で否定されてしまった時に、僕等はどこに行けばいいのだろうか。

  • 発刊当時読んだ本だが、改めて読み返してみた。20年以上前に書かれたものとは思えないほど現在を言い当てており、素晴らしいクオリティー。ただし、当然全てが書かれている通りの未来となっているわけでもないので、これから新たな読者が読むべき本かは疑問。ただし、前半の普遍的な内容の箇所は読むべき価値があると思う一冊。

  • 1995年時点でここまで未来予測ができているのが凄い。

    時代ごとに現代の価値観が変わる、全時代とのズレが疑問として社会に投げられることが多い

    言葉は行動の強制である。

    今の時代は、もはや純粋は資本主義ではなく、知価的資本主義であるともいえる?
    「科学」による幸福も会議的になり、マスコミに対する目も信じられないものになった。
    その中で今の時代はその人々のが大事にする価値観にそった人の中で成功している人を尊敬したがる(オンラインサロン等がいい例)

    中世、奈良平安時代、のような思想的な幸福が原点回帰してきている。

  • 情報革命によってどんなパラダイムシフトが起こるかを説明したもの
    1995年の時点で単行本が発売されて、文庫は1998年発売
    30年後の価値観はどう変わっているかという予想はほぼ当たっている

    岡田斗司夫という人物自体はオタクの偏ったイメージを世間に植え付けた人として認識しているのであまり好きにはなれないんだけど、この本で語っている事については大筋で納得だし同意するかな
    言い回しや例えで反論したい所もあるにはあるけど、本筋の主張に影響はない


    ・農業革命
    ・産業革命
    ・情報革命

    技術による進歩により、世間のあたりまえの常識(パラダイム)が変化する

    狩猟時代は狩りのリーダーに従っていれば食べ物にありつけた
    農耕をするようになってからは農業を取り仕切る人や地主の言うことを聞いていれば最低限の生活はできた
    中世の暗黒時代と言われるが、宗教を信じる事があたりまえで、死んで天国に行ける幸せで十分だった
    科学の発達により宗教の権威が落ち、農業に必要な大家族は田舎にだけ残り、都市型の核家族を前提にした社会が成立
    新しい物を持っている事がステータス、経済優先主義 政府主導の価値観の想像
    テレビを中心にしたマスメディアの存在は人々に同一の目指す価値観を植え付けた

    今や科学の発達が人々の幸せにつながるという幻想は廃れ、経済優先ではなくなった
    インターネットの登場により個人が発信力を持つようになり、お互いに価値観を影響し合う社会が成立
    一人の人間の中に複数の価値観が同居し、シチューションごとに使い分けるのがあたりまえになる


    95年に書かれたとは思えないくらいに今の世の中を言い当てているよなぁ

    青島幸男と横山ノックが知事になったことから、有名人の政治家が増える予想もそう
    ただ有名なだけでいいわけではなく、政治と合致したイメージが必要というのもそうかな
    芸能人も企業もブランドイメージがより重要になっている

    個人に関しては、一個人の持つ影響力と発信力が増して価値観が多様化するというのもSNSのインフルエンサーの事だよね

    1995年、パソコン通信やフォーラムくらいしかない状況で、よくここまで影響力が増すことを予測できたと感心するな

  • 2017年に再読。前回の事はまったく記憶にないが、今回はよく理解できるようになった。彼の主張がますます現実になってきたからだろうか。新しい理論は時代を一歩進んでいるので、その時には理解できないのかも。

  • 読書会の課題本だったので読みました。絶版なのですが、公式サイトでPDFで配布しています→ http://otaking-ex.jp/wp/?p=3964この本が書かれたのは1995年なのですが、2010年現在に書かれたといわれてもあまり違和感がありません。その上で、もう少し未来の姿を展望しています。最近ちょっとはやり(?)の評判経済につながる発想があり、やはり貨幣経済から評判経済へのシフトは(時間がかかるとしても)間違いのないトレンドなのだなと、感じました。

  • 岡田 斗司夫による社会論。

    原始社会から現代に至るまでの社会の仕組みと、
    仕組みをかたちづくってきた人々の価値観=パラダイム、
    がわかりやすく整理されている。

    そして、今は、経済評価社会を超えた、
    洗脳社会(≒評価経済社会)に足を踏み入れつつある段階だと、
    この本は言う。

    10年以上前に書かれた本だけど、今読むとぴったりな箇所も多く、
    まさに「生まれる時代が早すぎた本」だと思う。
    これから出る新版も楽しみ。

    ちなみに、以下で無料で読めます。http://otaking-ex.jp/wp/?p=3964

  • 宗教・カルトの本ではありません。情報化社会と人間のありようを過去から遡って未来まで。読みやすいのに内容が濃い、そしてユーモア。

著者プロフィール

1958年大阪府生まれ。通称、オタキング。1984年にアニメ制作会社ガイナックス創業、社長をつとめた後、東京大学非常勤講師に就任、作家・評論家活動をはじめる。立教大学やマサチューセッツ工科大学講師、大阪芸術大学客員教授などを歴任。レコーディング・ダイエットを提唱した『いつまでもデブと思うなよ』(新潮新書)が50万部を超えるベストセラーに。その他、多岐にわたる著作の累計売り上げは250万部を超える。現在はYouTuberとして活動し、チャンネル登録者数は90万人を超える。

「2023年 『誰も知らないジブリアニメの世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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