- Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022614032
作品紹介・あらすじ
西洋中世史研究の第一人者による包括的「日本論」。日本社会の特質を「世間」の存在にあると規定し、西欧型個人主義を追い求めることをやめ「世間」の中での個人の有り様を模索することを提案している。日本社会の基底にある根本的問題を現代人のためにわかりやすく解き明かす。
感想・レビュー・書評
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西洋中世史の研究者で、『「世間」とは何か』(講談社現代新書)で西洋の個人主義に基づく「社会」とは異なるこの国の「世間」の構造に切り込んだ著者の講演を収録しています。
著者はけっして、「世間」への囚われから脱して西洋的な個人主義へと向かわなければならないという主張をしているのではなく、ただわれわれの思考を深いところで規定している「世間」というものに対する自覚を深めなければならないと論じています。
講演に基づいているため、著者の「世間」についての考えかたがわかりやすく説明されています。西洋史のなかで個人主義がどのように成立したのかを解き明かし、また、「世間」という視点からの差別の問題にかんする考察がおこなわれていて、いずれもおもしろく読みました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
世間問題について、差別について色々と考えさせられた。差別とはする側とされる側に分かれる問題ではなく、世間というものにどう自己を位置付けるかということである。
世間に対して、つねに見られているという非対称性の関係しか持つことができないことが、そもそも「個人」を「適応者」あるいは「不適応者」として疎外するはたらきとなる。
こう言えば問題だろうか。「適応者」も「不適応者」も個人としては存在しない、どちらも「個人」の部分である。つまり差別する側も差別される側も、個人と適応者の間ほどは隔絶されない構造がある。 -
西欧中世史の専門家である著者の
複数の講演内容を書き起こした本。
日本人は大きな「社会」ではなく
厳密には非常に小さい「世間」の中で、
「ホンネ」と「タテマエ」を使い分けながら
生きているのだ――と、再確認。 -
西欧の個人主義社会やその成り立ちと日本の世間社会を比較し、それが出来るまでの過程を歴史的見地から論じた書。日本で生きる日本人にとってバイブルとなると言っても決して言い過ぎではない的確さと人類が積み重ねてきた世間や社会の過程が短いページ数でうまく収められている必読の一冊。近代日本の世間型社会の根底が見事に露呈されている。
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世間 ハーソナルな、人的な関係で、いわば個人と個人がむすびついているネットワーク
世間のもっている排他的な傾向
日本人が一体だと考えているのは世間という人間関係
これから皆さんは社会にでるのではない。世間にでるのだ。そのときに自分の世間がどこかわからないようではどうにもならない。したがって、じぶんが会社にはいったら会社尾度の世間にいるかをまず発見すること。それはだれも教えてくれない。聞いてもだめ。したがって、自分がどこの世間にいるかということをしるために数年かかるだろう。
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閉塞感の理由が分からなくてさらに閉塞している人は、これを読んで考えよう。