臨床とことば (朝日文庫 か 23-9)

  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022616623

作品紹介・あらすじ

臨床心理学者と臨床哲学者、偉大なる二人の臨床家によるダイアローグ。「ことば」とは何か。「人間」とは、「人と人との距離」とは。そして「聴くこと」とは。本質的かつ深遠な問題についてやさしく問いかけながら、密接に繋がり合う心理学と哲学のあわいに「臨床の知」を探る。

感想・レビュー・書評

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  • 河合先生と鷲田先生の対談が、とても素晴らしい。
    この世の外ならどこへでも

  • うーん、すごい。僕がふだんもやもやと思い悩んでいることのほとんどは、本書に書いてある。圧巻です。

    科学性とは何かという原理的なところを、哲学、心理学からアプローチしている。それも臨床的に。

    何か見えそうになったが、まだことばはでない。

  • 臨床とことば―心理学と哲学のあわいに探る臨床の知
    著者 : 河合隼雄 鷲田清一
    TBSブリタニカ(阪急コミュニケーションズ) (2003年2月1日発売)の方を読みました。
    https://booklog.jp/item/1/4484032023

  • 人と人との距離、字にならない声の肌理、臨床の難しさが易しく書かれてる。そして、初めて哲学が面白いかもしれないと思えた。

  • 146-K
    小論文・進路コーナー

  • 偶然性を孕んだ科学
    そう。そのとおり。それをやらなかったら絶対だめです。

    共感疲労 p.127
    この言葉はすごくすーっと心に入ってきました

    ソクラティスダイアローグ p.131
    気になる

  • f.2013/8/14
    p.2010/4/15

  • 【要約】
    他者との対話やケアにおける極意というか臨床知・実践知について語られた書。

    【印象的だったところ①】
    ケアは相互的なものであり、「ケアをすること」それ自体がその人のケアにもなり得る。
    これは「居るのはつらいよ: ケアとセラピーについての覚書」にも書いてあったし、実感としても納得できた。
    ペットの世話をすることでケアされる、子供の世話をすることでケアされる。そういう面が確かにある。

    【印象的だったところ②】
    「声の肌理を聴く」という表現が使われているが、これはいわゆる非言語的コミュニケーションに相当するのではと思った。
    相手の声のトーンやリズム、態度などに合わせることと理解した。

    【メモ】
    言葉を一生懸命聞きすぎると、「言葉を掴んでしまう」→そうではなく、ふわーっと聴く
    でもそうじゃない方がいい、バシッといった方がいいときもある

    臨床において、適切な距離感が重要

    相手の世界の外のことは言わない
    こっちから入っていくと、相手は外から見ることができて客観化できる=距離をとれる=自己回復力

    その時の言葉は、どっちが喋っているのかわからない言葉にだんだんなっていく

    人間は因果性が好きだから、コミットメントしやすい 
    便宜的に因果性を用いるが、それを絶対的真実とは思わない

    食事=食べる事 ただ単にモノを食うとは違う
    性事=性をする事? ただ単にセックスするとは違う?

    ケアするばかりではなく、時にケアされる側に回ることが大きな意味を持つ

    臨床の知は普遍性の方向性によって意味が変わる

    他者理解とは?
    他者の思いにふれ、それを受け入れることで、自分の中で何かが変わるということが含まれている

    声は言葉として意味を持つ
    同時に声は肌理があり、これも意味とは別な形で他者に触れる
    →声の二重性

    声の肌理を聴くには?
    じぶんの身体のこわばりを解き、声の振動に同調する

  • Happinessもluckyも、ヨーロッパでの幸福は運が良ければ手に入る、というものであった。しかしだんだん幸福が、努力して手に入るものという認識になり努力のご褒美となってきた。幸福な家庭、仕事の成功、それに向かってする努力はだんだん幸福と離れていってしまう。

    聴くことの力、
    “本当にありがとうございます、先生のお陰ですといいたいけど本当に先生は何もしてくれなかった。”
    匂いや音、食感が本当は大事。王朝文学では話に聴く、香りがする、衣擦れの音がする。視覚が一番最後である。

    What is I? パスカルの問い。
    見た目は変わる。頭脳も衰える。人格も変わる。借り物ばかりでは?仏教は、はじめから無である。色即是空、自性なし。

    人間とは、いい加減というのが大事。アンビバレントな矛盾した感情があることが、感覚の根本である。調和の感覚。ゆるみ。


  • P80
    鷲田:事例を100%解釈しきっても別な風にも読めるというのが事例研究。

    鷲田:ヨーロッパの自由の概念は、実は必然なんですね。偶然な自由というのは恣意的、アービラトリーであって、そんなのは自由じゃないと。だからヨーロッパの道徳論では、自ずからやっていて、それが法則通りになるというのが自由。(略)
     日本の自由の概念というのは、行き当たりばったりのことがあって、偶然をはらみ込んで自ずからかたちをとったものが、本当の融通無碍の境地というか、自由の境地という。

    鷲田:(ヨーロッパで)幸福といういのは運が良ければ手にはいるという、結構そういう感覚でとらえられていたのに、だんだん幸福は、自分が作品のように努力して作り上げたご褒美であるような、作り上げるもになってしまった。家庭でも、幸福な家庭を作る、というイメージでやっていったら、実はだんだん幸福から遠ざかっていく。

    鷲田:(不幸論はあるが幸福論は19Cで終わっている)(幸福は)昔の人は、運とか、たまたまということの中に、自分を越えたものとの関係の中で初めて成就するものを思い描いていて、自分で完結してなかったと思うんです。

    P105
    河合:そもそも昔の青年、つまりわれわれが天下国家を論じていたというのは気宇壮大みたいだけれども、
    まったくの幻想の中に生きてたということですよね。いくら論じてたってなにもできなかったんだから。天下国家を論じられるという幻想の中にただ浸かっていただけで、論じてみてもなにも役に立たないということがわかってきて。(略)昔の青年は、ある意味逃げていたわけですよ。(略)気宇壮大みたいに見えるだけで、本当は現実から逃げていた。

    P192
    鷲田:ひとには、それがじぶんにとって重大であればあるほど分かられてたまるかという想いがある。

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