週末ベトナムでちょっと一服 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022617880

作品紹介・あらすじ

バイクの波を眺めながら路上の屋台コーヒーを啜り、バゲットやムール貝から漂うフランスの香りを味わう。ホーチミンシティとハノイを行き来しながら思い浮かんでくるのは、「フランシーヌの場合」のあの時代。追憶のなかから今を描く、ゆるくて深い週末ベトナム。

感想・レビュー・書評

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  • 先月発売された「週末ベトナムでちょっと一服」。
    旅行作家下川裕治さんによる週末○○でちょっと○○シリーズの最新刊だ。
    これまで、アジア、バンコク、台湾ときて、今回はベトナム。
    昨今流行の海外旅行の形態一つ、週末海外旅行。
    かつて貧乏海外旅行といえば下川さんといわれたくらい、良く言えば気取らない旅行を愛する下川さん。
    そんな彼が彼なりの週末旅行の楽しみ方を綴るのがこのシリーズの趣旨であった。
    であった、というのは今回は趣が少し異なるのだ。
    下川さんの数多い著書の中で、ベトナムを単体で描くのは今回が初めてだという。それだけ思い入れの強い厄介な国だったようだ。ベトナム戦争を肌で体感してきた世代ならではの感慨もある。そんなわけで、今回は純粋な旅行記とは異なり、六割型下川さんの体感的ベトナム論が語られているといっても過言ではない。
    だから、わくわくするような旅行記を期待して読むとがっかりするだろう。
    だが、読み終えたぼくの脳裏にはマジェスティックホテルの屋上で飲んだ甘くて苦いベトナムコーヒーが心地よく浮かんだ。

    ※因みにマジェスティック・ホテルは、ホーチミン・シティのメインストリートにある高級ホテル。この本の著者である下川裕治さんをはじめ、開高健さん、近藤紘一さん、沢木耕太郎さんなど著名な作家の作品でも登場する。女優のカトリーヌ・ドヌーヴさんも宿泊したことがあるらしい。

  • ハノイやホーチミン、地方によって物価がかなり違うのが不思議に思いました。
    ベトナム人はとても逞しく、エネルギッシュな民族でこれからますますベトナムの若い人たちによって大きく発展していくんだろうなと思いました。

    本の中でベトナムコーヒーの話が出てきて、何度もコーヒーを飲みたくなりました。個人的にはコーヒーの花の話が印象的で、どんな匂いがするのか気になりました。いつかコーヒー畑を見てみたいと思いました。

  • ホーチミンとハノイの街の様子の違い、歴史、食べ物、コーヒーなど、今までほとんど知らなかったベトナムについて知ることができた。

  • タイトルから旅行記と想像していたが、ベトナムの政治、歴史にも触れられていて、読みごたえがあった。
    単なる旅行記とは違った。

    あとがきに「日本は豊かで、アジアは貧しいという発想は、いまのアジアでは通用しない。東南アジアの国々の多くは、日本より高い経済成長の軌道に乗っている。若い人たちの人口が多いベトナムのポテンシャルエネルギーは、これからの経済成長を支えていくといわれる」とあるように、
    ベトナムのエネルギーを感じられる内容だった。

  • 下川も書いているようにベトナムとは一筋縄では対応できない。矛盾する面を持っている。親切かと思ったらぼったくるのも日常的。社会主義の厳格さを示しているその側から商人の顔を持っている。特に第4章の「フランシーヌの場合」世代の迷走。には考えさえられた。彼と同年代なので彼が何を言いたいのかが理解できる。ぼくもベトナム戦争については未だに総括ができていない。
    この本は別の意味で忘れられない本でもある。ベトナムのラオカイから中国の河口に日帰り旅行した。その帰りベトナム側で入国を拒否された。今だにその本当の理由は解らないのだが、要は出国したら再入国するときはビザが必要だと言うのだ。英語もベトナム語も中国語も話せないので困った。泣きそうになった。結局85$を払ってビザを入手したのだが、その手続きの間不安で不安で仕方なかった。その時に持っていたのがこの本だ。不安を解消する為に、何度も同じところを読んでいた。ただベトナムは一筋縄では対応できないと思いながら字面だけ追っていた。2時間後無事ベトナムに再入国できた。

  • ちっとも覚えてない・・この後直ぐにベトナム行ったぶびー

  • ベトナム旅行記というかエッセイというか。

    複雑なベトナム戦争をかなりの紙幅を使って伝えており、南北それぞれの視点からも考察しています。
    さらに西側諸国で起こった反戦活動とその世代が反省すべき点もしっかりと書かれており、相当に勉強になります。

    「南北統一のためにアメリカに相対した」くらいの認識しかしていなかった自分に反省です。


    それにしてもまた行きたい、フォーに大量のパクチーを千切ってぶっかけたい。
    コンダオ島もちょっとだけ紹介されてます。

  • それこそ週末に読むのは楽しいと思います。

  • いわゆる観光というよりその土地での楽しみ方。現地の日常風景に溶け込むような視線が他の旅行記とは異なる。時代的な背景の解説も詳しい。意外と知らない情報も盛り沢山。

  • アジアを独特の視点で描く作者の本なので、ただのベトナムのガイドブックではない。ただ、その中で考えさせられたのは、中国とフランスの支配を受けてきたベトナムの南北差や、くびきから放たれた後のベトナムの変化。観光をしにベトナムに行くのではなく、ベトナムを理解したい人への本に思う。

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著者プロフィール

1954年(昭和29)長野県生まれ。ノンフィクション、旅行作家。慶応義塾大学卒業後、新聞社勤務を経てフリーに。『12万円で世界を歩く』(朝日新聞社)でデビューし、以後、アジアを主なフィールドにバックパッカースタイルで旅を続け、次々と著作を発表している。『週末ちょっとディープな台湾旅』『週末ちょっとディープなタイ旅』(朝日新聞出版)、『旅がグンと楽になる7つの極意』(産業編集センター)、『沖縄の離島 路線バスの旅』(双葉社)など著書多数。

「2023年 『旅する桃源郷』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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