人口減少社会という希望――コミュニティ経済の生成と地球倫理 (朝日選書)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022630018

作品紹介・あらすじ

C0330【社会科学/社会科学総記】人口減少はこれからの日本にとって希望ある転換点ではないのか。大佛次郎論壇賞ほか数多くの受賞歴をもつ著者が、人類史のなかに人口減少社会を捉え直し、成長・拡大路線から脱し、持続可能な福祉社会に向けてコミュニティ経済を提言する注目の書。

感想・レビュー・書評

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  • 人口減少があたかも悪いことにいわれるが、歴史的にみると今までが異常であったという状況の説明がある。さらに、稲毛の商店街の車での断絶の写真もある。
     教員養成系大学でも今までは、教員を育てるということだけであったが、これからは、育った教員をリカレントではなく休ませて、価値変換を考えることが出来るようにさせる、ということが重要であることを指摘した本である。

  • ふむ

  • やっぱり広井さんは素晴らしいと思う。
    私もできることなら、そのようにありたい。

  • 社会

  • 【由来】
    ・天野祐吉の「成長から成熟へ」のP195で紹介。
    ・「経営戦略全史」の「ワーク・シフト」のamazon関連本で出てきた。

    【期待したもの】


    【要約】


    【ノート】

  • ・江戸時代後半の人口は3000万人強でほぼ安定していたが、明治維新以降、
     急激に人口増加が起こった。

    ・ヨーロッパは、持続可能な福祉国家と呼べるような成熟社会を志向。

    ・現在は、人類史の中での「第3の定常期」への移行

    ・対人サービスは、本来的にローカルであり「地域で循環する」という性格をもつ。

    ・子どもと高齢者は「地域密着人口」と呼べる。今後はこの人口が増える。
     地域、ローカル経済が今後存在感を増す。

    ・神社(8万1千)お寺(8万6千)ローカルコミュニティの中心としての鎮守の森。

    ・祭りが活発な地域には、若者がとどまったり、戻ったりする。

    ・3大政党+緑
     1)保守主義 2)自由主義 3)社会民主主義 4)環境保全

    ・15歳~30歳 後期こども世代への支援が空白。

    ・環境や自然と一体になった健康政策。

    ・ヨーロッパ 歩いてゆっくり過ごせる街から生まれる「コミュニティ感覚」

    ・古事記で描かれた物語、神話の大部分は中国起源のもの。
    ・古事記をめぐる三層構造:縄文的、弥生的、律令的国家

    ・近代科学は、自然支配、要素還元主義によって特徴づけられる。

    ・「地域への着陸」時代たる人口減少社会は、死、老い、病といったものを、
     ゆるやかに地域コミュニティの中に戻していく時代。

    ・二宮尊徳は、神、仏、儒の調和を意識的に追求した。

  • 『人口減少社会という希望――コミュニティ経済の生成と地球倫理』
    著者:広井良典
    ISBN:9784022630018
    定価:1512円(税込)
    発売日:2013年4月10日
    判型:四六変判 並製 280ページ
    シリーズ:選書;899

     私たちが直面しつつある「人口減少」の問題は、一見すると、21世紀の日本社会のあり方に暗い影を落としているように思われる。しかし、人口減少とははたして悲観すべき事態なのだろうか。それはむしろ希望ある転換点、真に豊かで幸せを感じられる社会への格好の入り口ではないのか。
     明治維新以降あるいは第二次世界大戦後の日本人は、経済成長・拡大路線をひたすら走り続けてきた。人類史のなかで第三の定常化社会というサイクルに入りつつある今こそ、社会のあり方も人々の心のあり方も大きな転換を迫られている。せわしない「上昇」からゆったりした「成熟」へ、右肩上がりを求め続ける経済社会から持続可能な福祉社会へ。そのとき必要な、地域でのコミュニティ経済、そして人間を支える地球倫理……。大佛次郎論壇賞ほか数多くの受賞歴をもつ著者が、これからの人口減少社会に必要な政策や価値原理をさぐり、成熟した定常化社会の実現をトータルに提言する注目の書。
    http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=14836


    【目次】
    はじめに/人口減少社会という希望 

    第I部…人口減少社会とコミュニティ経済――ローカルへの着陸 
    1.ポスト成長時代の価値と幸福 
    2.コミュニティ経済の生成と展開 
    3.ローカル化が日本を救う 
    4.情報をコミュニティの進化 
    5.鎮守の森・自然エネルギーコミュニティ構想 
    6.福祉都市または人間の顔をした環境都市 
    7.環境政治の時代――3大政党プラス“緑"へ 
    8.緑の福祉国家あるいはエコソーシャルな資本主義 

    第II部…地球倫理のために――科学・宗教・福祉またはローカル・グローバル・ユニバーサル 
    1.「自己現実」と「世界実現」 
    2.「古事記」と現代生命論――アジア/地球に開かれたアイデンティティに向けて 
    3.「成長のための科学」を超えて 
    4.「もうひとつの科学」とは可能か 
    5.統合医療の意味 
    6.日本の福祉思想――喪失と再構築 
    7.地球倫理の可能性 
    8.自己形成的な自然――地球倫理と宇宙 

  • グローバル定常型社会の読了をうけて、
    広井さんの本2冊目やったなー。
    1冊目の「人口減少社会という希望」はいつ読み終わったっけなー。
    と思ったら読み終わった日を明示してなかったでござる。
    いつやったんかなー。
    たぶん半年くらいまえやなー。

  • 必要なタイミングで自分の前に現れてくれた本。「自己実現」に対しての「世界実現」というキーワードに「おっ!」と視界が広がった感覚を覚えました。もっとも地域の人口減少の問題から始まって宇宙論の人間原理まで取り上げる視点は多岐に渡り、まさにマルチユニバース状態を呈していますがそれこそが魅力でした。どんどん脈絡がないテーマに脈絡が生まれてくるところが、遺伝情報とは違うネットワーク知みたいなもの?本書を手に取った理由もレトリカルな書名にあるのですが、それは奇をてらったものではなくストレートなテーマだったりします。ということでタイトルって大切ですね。まずは興奮のままに。

  • 人口減少社会に対して、定常型社会(成熟社会)化した新たな資本主義モデルが必要であり、その例としてコミュニティ経済実現の必要性を筆者は説く。

    ところまではよく分かったのだが、その後の話が飛躍しすぎて社会学・地域コミュニティ論を大きく飛び出している。着想(神話体系→日本のナショナリティが世界に拓かれたもの)というのは面白かったが、おそらく専門家からは相当批判されそうな気がする。

    色々と考える示唆に富むという点で評価4

  • 新聞広告を見て即買わなければと思った。しかし、大書店でも品切れ。増刷を待たなければいけないのか。と思っていたら、駅地下の小さな書店で1冊残っているのを見つけた。著者の本はどれを読んでも、自分の思いを代弁してもらえているようでうれしい。今回は、緑の党をはじめ、政治について書かれている章が非常に分かりやすく勉強になった。また、後半に書かれている「地球倫理」については、梅原先生が書かれていた「草木国土悉皆成仏」とほとんど同じことを言っているのではないかと思えた。こういう動きがもっともっと大きくなっていけばよいと思う。ひょっとするとわれわれは非常におもしろい時代を生きているのかもしれない。ところで、公明党のポスターに「安定は希望です」と書かれている。私には、この文章は、「安定してほしいけれど、それは望み薄です」と言っているようにしか聞こえない。「安定が希望です」ならばまた感じが違うのだけれど。「は」と「が」は難しい。もっと他に何かねらいがあるのだろうか。

  • 人口減少をすることは、食糧不足、自然保護、通勤ラッシュ解消など良いこともあるという学生の意見が面白い。
    ローカル、コミュニティ、緑などが大切になってくるという主張。

  • 著者は広井良典氏。千葉大法経学部教授。

    「人工減少社会という希望」というタイトルに惹かれた。元々興味があるテーマ。大事なテーマ。著者も過去の著書が表彰されている方だし、期待大で購入しました。

    感想。何を言ってるのか殆ど理解できなかった。ロジックの問題ではなく、文章自体が私には難解過ぎて、文意を全く汲み取れなかった。こんな経験は初めて。
    社会的にも意義のあるテーマだし、もっと平易な文章で書いて欲しい。本も読み手をを選ぶということでしょうか。
    あと、著書の意見の具体的根拠が、ローカル過ぎて納得し難い。その具体例出されても、、だからって総論がそうだって主張するのはきつくない?と思いました。

    備忘録。
    •そもそも、適正な人口水準なるものは存在するのか。
    •経済が拡大を続ける時代は、個人の私利追求がパイの拡大に繋がり、結果として各人皆得をした。
    •日本はGDPに対する輸出額の割合が10%程度に過ぎず、世界的に見ても内需依存国家。例えば韓国はそれが40%で、ドイツは30%。→その結論本当か?
    •高齢化→土着、地域密着。
    •欧州でいう自由主義→個人の自由、市場経済重視、小さな政府志向。米国でいう自由主義→格差是正、大きな政府志向。

    全く本論に辿り着かない備忘録。

  • 人口減少社会を、旧来とは視点を変え、長期的な視点でみたときのより豊かな様相への変化として描いている。

    人口減少社会をポスト産業化時代としての定常型社会として位置づける視点が新鮮だ。20世紀の拡大・成長・上昇を核とする世界感は、富国強兵的世界感や経済成長という信仰という強迫観念に起因するものとする。

    同時に、物質的生産の量的拡大が時間的発展の物語であるのに対し、内的文化的な発展を求めることが空間的な発展へと展開することを指摘する。

    コミュニティ経済の特質として記述される下記の4点も、時代の変曲点を指標化する上で有効な分析といえる。
     ①経済の地域的循環
     ②生産コミュニティと生活コミュニティの再統合
     ③経済の持つコミュニティ的相互扶助性の再評価
     ④有限性の中での生産性概念の再定義

    後半では、現在までの科学史を、「科学革命」、「科学の制度化」、「経済成長のための科学」とした上で、対象の相互作用、個別性・一回性の重視など、関係性の科学の視点が重要となることも指摘している。

    20世紀から21世紀の変化の様相を分析的・総合的に描き出す好著といえるだろう。

  • 人生前半の社会保障の充実やグローバル化よりもローカル化という考え方に賛成。
    福祉系、自然関係は低賃金になりがちなのは何故か、市場に委ねると更に低賃金になる、ここの解決策を知りたい。
    こういう人が諮問委員会とかで発言してくれたらいいのに。

  • 明治維新以来急速に増加した人口は2004年をピークに同じくらい急激な勢いで減少しつつある。人口減少に伴う課題はよく取り上げられているが、著者は人口減少は対応の仕方次第ではチャンスであると言う。人口の減少が避けられない状況の中でより良い社会を実現するためにはどうすればよいのかを考えさせられる一冊。

  • 「人口減少社会という希望」という現実は、かなり奇妙なというべきか、あるいは奇をてらった表題と感じる人が多いかもしれない、しかし私自身は、本書の中で述べていくように、人口減少社会は日本にとって様々なプラスの恩恵をもたらしうるものであり、私たちの対応によっては、むしろ現在よりもはるかに大きな「豊かさ」や幸福が実現されていく社会の姿であると考えている。
    (人口減少社会の課題とは?)……高齢化と人口減少にあり、それをいかに克服していくかが日本にとっての課題であり、しかもこの問題は世界各国が日本を追いかけるように直面していく問題、”豊かな成熟社会”のビジョンやイメージを持てるかどうかが、日本社会の今後にとって大きな分岐点になるだろう。
    (今「古事記」を論じることの意味とは?)……現代の生命論の観点から見ても非常に旧身深い内容を含んでいると思われ、日本人にとってのアイデンティティを考えていく上できわめて重要な意味を持つと考えている、地球に開かれたアイデンティティと呼べるような世界観に発展しうる可能性をもっているだろう。
    (「心のビッグバン」とは?)約5万年前、様々な装飾品や絵画、彫刻などの芸術作品ひいては死者の埋葬品等々、シンボリックな心の働きや創造性を示すような事態が生じた

  • 本書を手にするまで、人口減少社会をいかに生き抜くのか、すなわち人口減少、少子高齢化社会を負のイメージでしかとらえたことが無かった。タイトルを見て驚き、手に取った。
    ポスト成長時代を定常社会と位置づける。そこではローカル、コミュニティを重視し、人間本来のあり方を追求する。環境政治、緑の福祉国家を構想し、地球倫理の可能性を模索する。
    地球倫理とは、個別全体的な世界観。すなわち、グローバルな視点とローカルな視点、両者を包含する。
    著者は科学哲学史の専攻者であった。本著後半には、地球倫理と科学史、宇宙に対するエコロジカルな認識観へと思考が飛翔していく。圧倒されながら読み進めた。内容をより深く理解するには、まだ時間がかかりそうだ。もし講演などあれば、ぜひ聴いてみたい。

  • そうなんだ~

    p74 日本全体のエネルギー自給率 約4%
        
       都道府県別 10%超 6つ
       ①大分県 25.2%
       ②富山県 16.8%
    ③秋田県 16.5%
    ④長野県 11.2%
    ⑤青森県  10.6%
    千葉大学 倉坂教授 研究調査結果

      大分県、温泉の存在から、地熱発電が大きい。 
      富山、長野県、山がちな風土から小水力発電。

      ヨーロッパ外国人技師いわく、日本の川は 滝 だ!と
      いったそう。日本風土から小水力発電の可能性を示す
      エピソード。

     p138

    クナイプ療法とは
     
     キリスト教の神父であったセバスチャン・クナイプ(1821~1897)が
     始めた一種の自然療法で、
     
     ①「水療法(Hydrotherapie)」を中心とし、他に
     ②植物ないし園芸療法(Phytotherapie)
    ③運動(Bewegung)
    ④食事ないし栄養(Ernahrung)
    ⑤身体・精神・心のバランス(Balance von korper,Geist und Seele)

    を合わせた5つの柱によって成り立つもの

  • 経済成長への脅迫観念から解放され、ゆとりを持てる。日本古来の伝統的価値観が精神的なよりどころになり得る。

    希望に満ちた将来の日本のイメージ。その萌芽を最近の若者の言動に見たと。

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著者プロフィール

広井 良典(ひろい・よしのり):1961年生まれ。京都大学人と社会の未来研究院教授。専攻は公共政策、科学哲学。環境・福祉・経済が調和した「定常型社会=持続可能な福祉社会」を一貫して提唱。社会保障、医療、環境、都市・地域等に関する政策研究から、ケア、死生観、時間、コミュニティ等の主題をめぐる哲学的考察まで、幅広い活動を行っている。著書『コミュニティを問いなおす』(ちくま新書、2009年)で大佛次郎論壇賞受賞。『日本の社会保障』(岩波新書、1999年)でエコノミスト賞、『人口減少社会のデザイン』(東洋経済新報社、2019年)で不動産協会賞受賞。他に『ケアを問いなおす』(ちくま新書)、『ポスト資本主義』(岩波新書)、『科学と資本主義の未来』(東洋経済新報社)など著書多数。


「2024年 『商店街の復権』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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