選書948 発達障害とはなにか (朝日選書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022630483

作品紹介・あらすじ

本書では発達障害の若者たちの生き方を何人もの事例で説明し、その上で世間での誤解の数々(「親の育て方が悪いから」「テレビやゲームで育ったから」など)の誤りを明らかにする。支援にあたる側の誤解にも踏み込んで解説する。後半では、発達障害の各症状を説明し、近年の脳研究や遺伝研究も紹介して、症状と原因について正しい情報を提供する。また、発達障害の発見から現代までの歴史にも触れる。

感想・レビュー・書評

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  • 2016年8月刊行。著者は小児精神科医。発達障害の研究は日進月歩だが、現在までの流れを知るのに手頃な本。自分は発達障害の子どもがいるが、帯のキャッチコピーにもあるように「『個性』でなく『疾患』として考える」ことは自然に感じられる。あとがきにある通り、それを「『個性の範囲内』にとどめること」が目標という姿勢に共感した。発達障害を受容に役立つ。英語と訳語の対照表、索引、引用参考文献リストあり。

  • 杉山登志郎「発達障害の子どもたち」と同じく、精神科医により書かれた本をもう1冊読む。杉山先生の本が書かれたのが2007年、それから10年経って発達障害という言葉の認知が広がり、さまざまな誤解も生まれてきている。その中には杉山先生の時代から変わらないものもあるが、自身の生きづらさが発達障害によるものではないかと診断を求める人が増えているという話。障害の判定はチェックリストを使うということから、臨床医のスキルや経験が問われるが、最近は簡単に診断してしまう医師もいるという。ただ発達障害の研究はさらに進んで、脳のある部分の状況と障害との関連もだんだん判るようになってきているようで、今後はより明快な診断がなされていくのかもしれない。基本的には障害を持ちながら社会に適応する方法を身につけ、いかに生活の質を向上維持するかということ。発達障害の本をいくつか読んで、病気に対する考え方そのものも少し変化したみたい。

  • 発達障害とは個性の範疇を超えた特性である。個性的と発達障害の間にあるのはやはり社会適応だと感じた。
    社会は発達障害を平等に扱う差別しないと言っているが障害者支援法の定義との齟齬が生じる。
    やはり明確な区別は必要だと思う。
    難しい問題である。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/66466

  • 発達障害という言葉をよく聞くようになり、周りにも診断を受けたという人が居る。
    テレビやネットでなんとなくわかった気になっていたけど本当のところよく分からないので読んでみた。

    •具体的な症例がたくさん書かれていて、具体的に想像がし易かった。
    •発達障害とひと言に言ってもとにかく「人による」ということ。
    発達障害の人は〜だ。といったような括り方は出来ないし、「発達障害の人は一部に天才的な能力を発揮するから凄い」みたいなのも誤解だと思った。
    症状や能力は、とにかく人による。

    •周りから見たら謎な行動でも、本人的には筋が通っていて必要な行動だったりするのが興味深かった。
    •治すことは出来ないが、本人と身近な人達の話をよく聞き、環境を変えることで本人も周りも困り事が少なくなる。

  • 個別事例の紹介が最もエキサイティングだった。著者が主張しているように、発達障害が脳の機能障害なら、個性として人権を尊重する以上に、専門的な治療や支援が必要なのは納得できる。心身の特性を把握し、彼らへの接し方を学ぶことは、社会の中で共に生きていくプロセスであり、第一歩である。

  • 参考になる点もあったが、臨床で用いられているWAISに触れられていなかったり大人の発達障害に触れられていないなど、物足りなさを感じた。また、ケーススタディにおいて、子供への対応の温かさに比べ大人や当事者の親への対応が冷たいのが気になった。

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著者プロフィール

青山学院大学教育人間科学部教授。昭和大学大学院医学研究科修了。医学博士。小児科医で、小児科と小児神経科専門医、児童青年精神医学会と小児精神神経学会およびてんかん学会の認定医資格を持つ。発達障害のほか、不安障害、てんかん、虐待、不登校・ひきこもりなどの分野で広範に臨床研究を行っており、約20編の英文、約100編の邦文の学術論文の報告がある。その他、雑誌等一般向けの原稿も多数。主な著書に『軽度発達障害と思春期』(明石書店、2006年)、『アスペルガー障害とライフステージ』(診断と治療社、2007年)、『新 小児精神神経学改定版』(小児医事出版社、2009年)、『日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか』(光文社新書、2009年)、『子どものQOL尺度 その理解と活用』(診断と治療社、2014年)などがある。

「2014年 『神経発達症(発達障害)と思春期・青年期』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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