街道をゆく 34 大徳寺散歩、中津・宇佐のみち (朝日文庫 し 1-35)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022640451

感想・レビュー・書評

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  • 前半が大徳寺散歩、後半は中津・宇佐の道。
    後者をお目当てに読んだが、大徳寺の方も、一休の話などとても面白く読めた。『陽気な禅』という章の、雲水をしていた頃を懐かしむ禅僧たちの話も印象に残っている。
    中津・宇佐の方は、道鏡失脚のきっかけとなった宇佐八幡の神託と、それを果敢に伝えた兄妹の話も良かった(神託は兄妹の独断だったのではと筆者は述べている)し、豊臣秀吉の時代頃からこの土地の統治者の移り変わりも面白い。細川忠興が堤防を築くのに農民を徴収せず、武士だけで工事をし、設計も測量(らしきこと)も自分で歩いて行なったという話に感心した。その堤防が300年もったというのも驚き。
    あとは福沢諭吉の話がどれも興味深かった。特に母御についての記述(「平明」な性格だったと言い、当時の武家の女性としては破天荒と思われるエピソードが次々紹介される)が楽しい。『福翁自伝』読んでみようかという気持ちになった。
    ただ、須田画伯への言及が一度もないのが寂しかった。「挿画・須田剋太」とあるので、同行されたのではないかと思うが。

  • 【読了メモ】大徳寺でも中津でも細川家。宇佐のくだりでは和気清麻呂や菅原道真公の話も出てきます。

  • やっぱりこの紀行シリーズはとにかく好きな人物とその周辺を見て回るということで、必然的に好意的論調になりますわな。福沢という人物も小説の題材として取り上げていたならば、少々辛辣なコメントもこの作家からは出そうなもんですが、影を潜めてます。
    その結果、良い意味でも悪い意味でも古き良きを懐かしむ傾向が出ているかと。当方、この作家の流れを理解していないので迂闊には言えないと重々承知の上で敢えて言うなら、歳を取るとはこういうことかも知れませんなぁ、、、

  • 33の赤坂も狭かったが大徳寺散歩に至っては一ヵ寺。禅の厳しい戒律を深く語る。アニメでおなじみ一休さんもここにいた。中津宇佐は古代豊の国のうちの豊前。全国4万社を超える八幡宮の総本社宇佐八幡、戦国の英雄黒田如水など。

  • 大徳寺散歩では、禅の教え、そして、一休、利休のこと、各塔頭の相違・特徴などを知った。

    中津・宇佐のみちでは、宇佐八幡信仰の歴史、如水と中津、福澤諭吉の原点などが書かれていた。

    いずれにしても、街道をゆくの原点である「時空を旅する」ことを十分に満喫させてもらった。

    次回は、オランダへ・・・

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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