魔都 (朝日文庫 ひ 9-2 久生十蘭コレクション)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (494ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022640635

感想・レビュー・書評

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  • あとがきでも書かれているが、久生十蘭はかなりの凝り性で演出過剰だったらしく、それに対して相手の反応が薄いとがっかりしたとか。また久生十蘭のペンネームは、演出家で俳優シャルル・デュランから取ったらしいが、編集者に「久しく生きとらん、食うとらん と読める」と言われ拗ねたとか、「字画はすごくいいんだ」と反駁したとも。
    しかも本人には知らされなかった末期癌の中書いた最期の作品が「主人公が癌を苦にして自殺する」というもの。友人のコメントでは「彼は死ぬまで凝ったね、どうも凝り死にだな」。

    ★★★
    そんな作者の後述筆記による長期連載作品なので、かなりの絢爛豪奢でユーモラスで凝って捻ってハッタリの利いた創り。
    大都市東京。某国の王様と国宝の宝石がなくなった。解決までの猶予は24時間。いろんな人々の思惑が入り乱れる。
    たまに作者自身が焦れて顔を出してきたりして(「ああ、作者はこのような苦難を彼に与えるつもりはなかったのに」みたいな)、口述筆記で気分が乗ってしまったんだな、と思えて楽しい。
    ★★★

  • 安南国皇帝の愛人が東京で殺された事件が帝位を巡る争いや王家秘宝のダイヤモンドと絡み、登場人物が各々色々と誤解をして巻き起こる24時間の出来事。
    切り口の良い場面展開で胡散臭い登場人物達の欲と愛情が入り乱れる流れに時として作者も口を出し…と混沌としている筈なのにモダンな文章がそれを上回って結末まで読者を運んでくれます。

    昭和10年代の胡散臭くて妖しい大都市東京の雰囲気を思いっきり味わえました。

  • この大晦日から正月までのたった一日の騒がしい世界に入り込みたい!たとえ人の姿でなくても、結末を変えることができれば東京中を血へドが出るほど駆け回ったっていいんです・・・いや、そういう心意気です。

  • 24時間の出来事を12ヶ月の連載で描ききる、というコンセプトのすさまじい作品。

    色々矛盾点も突けばあるらしいのですが
    そんなこと気にせず読みきれます。なぜか2冊持ってます。

著者プロフィール

1902年北海道函館市生まれ。本名、阿部正雄。1952年『鈴木主水』で第26回直木賞を受賞。推理小説、ユーモア小説、歴史小説などその作品の幅は広く、「小説の魔術師」「多面体作家」の異名を持つ。代表作に、「湖畔」「黒い手帳」「ハムレット」「無月物語」「母子像」など多数。『キャラコさん』『肌色の月』など映画・ドラマ化作品も多い。1957年没。

「2023年 『あなたも私も』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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