斎藤家の核弾頭 (朝日文庫)

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著者 : 篠田節子
  • 朝日新聞社 (1999年11月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (514ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022642189

斎藤家の核弾頭 (朝日文庫)の感想・レビュー・書評

  •  高度管理社会となった日本の近未来。
     裁判のコンピュータ化により職を失った最高裁の裁判官・斎藤総一郎は、地上げ屋の嫌がらせに抵抗しているうちに、成り行き上話が大きくなっていき、ついには国家に対して独立宣言をすることに……。
     1997年に書き下ろしされた長編小説ですが、2016年現在の日本にも通じるキーワードをそこかしこに見つけることができます。
     豊洲市場移転問題、沖縄高江問題、国民総背番号制、原発問題、核による軍拡競争、優生学、その他ジカ熱やはしか問題など……。
     その他何が読み取れるのか、挑戦してみるといいでしょう。
     例えばこの小説では、有毒ガスで汚染された成田の飛行場跡や放射能で汚染された原発跡地に盛り土をして、国家にとって不要となった国民を実験動物として住まわせるのです。
     豊洲市場移転問題や原発事故地域への強制帰還を思わせます。
     大友克洋『AKIRA』が東京オリンピックを予言していた、と話題になりましたが、本作品も、未来を予見していると思います。
     2011年の大地震の記述もありますから。
           
    『AKIRA』の予言は「2020年東京オリンピック」だけではなかった!
      http://tocana.jp/2014/02/post_3594.html
             
     本作品はあらすじだけを読むと、コメディタッチで楽しめる物語かと思ってしまうのですが、なかなか重苦しい物語で、気分爽快とはいきません。
     そもそも高度に進んだ管理社会で国家に抵抗するのは、大変なことです。
     公民館に集まった近所の仲間も烏合の衆です。
     一致団結して大いに戦おう!なんてハリウッド映画のような展開にはなりません。
     私のイメージとしては、『1984』や太平洋戦争の日本軍の戦記などと同じ、重苦しい読書でした。
     そもそも先頭に立って戦う指揮官・斎藤総一郎に共感できません。
     私が総一郎の妻・美和子さんなら、早急に見限って実家に帰るか、有賀さんに頼み込んで連れて行ってもらうと思います。
       
     本作品には単行本版、朝日文庫版、新潮文庫版があります。
     朝日文庫版の解説は斎藤美奈子さんです。
          
     なお、ネタバレブログでは、本作品に描かれた男系・女系問題について論じています。
     そういえば本作品では天皇制についての記述はありません。
    (皇居も皇族も存在し、元号が使われているのだから天皇制が存続していることは確実です)
     なお、物語は2075年(成慶58年)の出来事となっています。
     計算すると、成慶元年は、2017年ということになります。ムムム……。
       
    OLDIES 三丁目のブログ 
    ■[日々の冒険]斎藤家の核弾頭 篠田節子
      http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20160928/p1
      
    少年少女・ネタバレ談話室(ネタばらし注意!)
     斎藤家の核弾頭 篠田節子 ネタバレ感想会
      http://sfclub.sblo.jp/article/177059584.html

  • 表紙のイメージと中身が一致してない。
    巨大赤ちゃんはギリギリ許せるけど、
    巨大女はもぅ許せません。
    なんか、ハッピーエンドっぽく終わってる。

  • 舞台は2075年「国家主義カースト制」という極端な差別主義体制を敷いた、日本の東京。

    この制度は特Aから、Nまでの階層に全員が明確に差別され、それそれの役割が明確に決まっている。

    例えば優秀な人材を増やすという意味で、特A家族は子供をたくさん生まなければならならず、逆に階層が下の人はその子孫を残す必要は無いと、人数等制限される。

    主人公家族は当初特Aの階級にいたが、いつの間にか変わってしまい、政府からは「余剰市民」として扱われてしまう。

    核弾頭というから、斉藤さんちの一人が何か爆発しそうな事実を抱えて物語が進んでいくのかと思ったら、一面そういうふうにも取れることがあるにはあるが、本当に核弾頭だった。

    著者は確か前職が地方公務員だったと記憶しているが、そんな関係でか戸籍とか住民票などの事務処理に詳しい感じがした。

  • 表紙に「?!」となり、読んで最後にじわっときた。なんともとんでもなのに、面白い。

  • 表紙の軽いイラストに反して内容はとてつもなく重いけど それを感じさせない文章で話はするする進む国民のランク付け女性の生き方遺伝子操作エネルギー問題 などなど現在のあり方を皮肉っている未来物語面白い けど 怖い

  • コンピューターに仕事をとられたエリートの裁判官が主人公の未来の東京を描く作品。荒唐無稽な話のようで、実は国家や役人、家庭の役割、出産と子育てなど、様々な要素が入っていて、訴えかけるものがある。
    核兵器で国家に立ち向かうという一家というのも、ちょっと笑える。すっ飛んでいるところが面白いのだ。

  • 北杜夫の「父っちゃんは大変人」に似た面持ちを感じたが、
    あまりにも、普通な家庭であるところに痛快さを感じた。
    しかし、そんなん、お話の上でやん・・・と笑えない昨今も恐いものがある。

  • 前から読みたく返したくてこの前、買っておいた一冊。やっぱり、とんでもない話だった。

  • 2075年東京。日本の民主主義が崩壊して、「国家主義カースト制」により人は、ランク付けされてた。旧文京区弥生町に2階建ての一軒家に住んでいたのが斉藤家。周りを100階建て以上の高層ビルに囲まれた家には、母親の美和子・夫である総一郎・舅・姑・舅の母・そして5人の子供達と暮らしてた。夫は、元裁判官で特Aのランクで、裁判の完全コンピューター化で職を失っていた。末っ子は、遺伝子トラブルにより二ヶ月で60キロを越えた巨大児育児に追われてる美和子のお腹には、新たに子を宿していた。政府の策略により、長年住んでいた家を追われ、東京湾を埋め尽くして作った浮き島東京ベイシティに住む事に・・。
    政府は、東京湾に地下資源があることを見つけると、ベイシティの住民に転移命令を出す。転移先は、毒により汚染された地だった。理不尽な転移命令に抵抗して、近隣住民と共に残る事に・・。電力の供給のストップにより、彼らが作ったのは古い時代の原子炉。そして、政府と戦うために核爆弾も・・・・。

    篠田節子による、SF近未来小説であります。珍しくコミカルな作品でもあります。なかなか面白い作品です。斉藤家は、どうなるのでしょう?美和子の母性が光る作品です。

  • 近未来の日本の話。容易に想像できそうなほどリアルな近未来図が怖くてたまらない。国民がランクで分けられて管理される世の中。特Aランクからいきなりランクを落とされて、いきなり転居させられて、そんな斉藤家と国家政府との戦い。最初、斎藤家の主にかんなりムカつきます。でも面白かったー!

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