繋がれた明日 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞社
3.52
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本棚登録 : 374
感想 : 43
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022643599

感想・レビュー・書評

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  • 殺人事件を起こし、6年後仮釈放となった中道隆太。刺した相手の方から絡んできたこと、手を出してきたことをこの6年ずっと恨んできた。
    自分の言うことを誰も信じてはくれない。
    母と妹にも迷惑はかけられないと、紹介された仕事を黙々とこなし独り暮らしを始めたが、「この男は人殺しです」と書かれたビラが妹の職場や、アパートのポストにまかれるようになる。
    事件当時、未成年だった隆太の名前は報道されることはなかった為、事件の詳細を知る者の嫌がらせだと考える。
    俺から手を出した訳ではないのに、自分だけが悪いのか?妹まで退職に追いやった、ビラの人物を探しだすうちに、過去の事件の関係者のその後が見えてくる。
    本当の更正とは何か?を問う作品だった。
    事件が起きる度に、被害者家族だけではなく加害者家族のケアも必要なのではと思う。
    この時代、瞬く間に人物を特定に至り、その情報は拡散され一生付きまとう。
    中道隆太が最後の最後で見せた涙は嘘ではないと信じたい。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    この男は人殺しです―。仮釈放となった中道隆太を待ち受けていた悪意に満ちた中傷ビラ。いったい誰が何の目的でこんな仕打ちをするのか?孤独な犯人探しを始めた隆太の前には巨大な“障壁”が立ちはだかった…。殺人を犯した者の“罪と罰”の意味を問うサスペンス巨編

  • 1

  • 2018.01.21読了
    哀しく暗い内容だった。
    罪を犯した少年達が塀の中よりむしろ塀の外で苦しむ現実があるのだと考えさせられた。
    全員が全員、隆太のように思慮し、耐え、悩み抜くというわけではないだろうし、過去現在の友人関係、保護司の影響、待ち受ける家族環境も彼らの行く先の明暗を分けるだろう。

    また近年の事件に多く見られるサイコパス的な犯罪者はどう更生のしようがあるのか?も疑問だ

    この作品の最後で隆太の人生に光が射したことが心の救いとなったが、犯罪者の更生の難しさを実感した

  • 偶然に起こしてしまった殺人。だけど偶然と思うのは自分だけ。周りがみんな敵に思える。でも、味方になってくれる人も沢山いる。殺人は、重い罪で主人公の葛藤や周りの目が気になる気持ちが非常に上手く表されていると思う。人は、1人では生きていけないのだと考えさせられる小説だった。

  • 2016.10.1(土)¥250(-2割引き)+税。
    2016.11.18(金)。

  • ちょっとキツかった…

    犯罪犯したら、こうなりそう、って。

    彼の言い訳、よくわかる。相手も悪い。
    けど、殺してしまった。
    彼にすりゃ、失われる数年。
    被害者家族にすりゃ、たった数年…
    などなど…

    堂々巡り、自問自答…キツいっす。

  • 特になし。☆1.5

    ただ解説で、児玉清が「追いつめられた男、切羽つまった危機的状況に追い込まれた男の心情を描かせたら作者の右に出るものはいない」と書いていたのが、まあ児玉清らしいなとwww

  • 間違いなく力作です。読んでいてずっと胸が苦しかった。
    殺人を犯してしまった中道隆太。仮釈放になった彼に色々な方向から波が覆いかぶせる。
    最後の最後で涙。

  • 2006.3.21 読了

  • 090713

  • とても感動した!最後は涙が溢れて止まらなかった。

  • 自分を試す小説だった。
    「実際に殺人者と出会ったなら、自分は相手にどういう態度で接するのだろうか?」と。
    刑務所から戻ってきた人間にとっては、世界は偏見と悪意に満ちているのだろう。

    人を殺めた廉で少年院に送致され、6年の刑期を務めて社会復帰した青年が主人公。
    「自分だけが悪いんじゃない」と「謝罪したい」という心の葛藤の渦の中、ぐいぐいと彼に共感を覚えてしまう。

    綿密な取材の成果が伺われる。
    加害者、被害者、傍観者たちの心の動きが丁寧に描かれていく。
    彼らの社会復帰の道は限りなく険しいものだが、自分は応援できるだろうか。

  • 前科者が服役してからのお話。

  • 人は一人で生きる事は出来ない。
    周りの助けがあってこそ、
    生きてゆく事が出来る。
    1歩1歩、ゆっくり、大切に生きてゆきたい。

  •  「殺人者が社会復帰を果たすすべはあるのか、
      そして、家族を奪われた者はどうすれば救われるのか。
      加害者と被害者、それぞれの"罪と罰"の意味を問うサスペンス巨編」

     ブックオフで200円で買ってずっと積んでおいた本だったが、
     読み始めたら一気読みだった。
     仮釈放となった隆太を待ち受けていた悪意に満ちた中傷ビラ
     「この男は人殺しです」・・・人を殺して懲役を終えても「本当に俺だけが
     悪かったのか?殺された相手にも非があるんじゃないか」と言う気持ち
     を消しきれない隆太。そして被害者の家族は「たったの6年くらいで出て
     きて大きな顔をして生きてゆくなんて絶対許せない。」と思う。
     どちらの気持ちも、当事者だったら当然だと思う。
     東野圭吾さんの「手紙」は、刑務所に収監されている殺人犯の弟の視点
     で書かれた作品だったが、どちらも読後感は重い。
     ただし、「手紙」の方が読んだ後いろいろ考えさせられたが、「繋がれた
     明日」はストーリの面白さはあっても、そこまで深みのある作品ではなか
     ったと思う。

  • この人の文体はやっぱかっこいいわ。男臭くて。いい意味で汗の匂いがする。
    そのせいで粗暴な犯罪者であるはずの主人公もなんかかっこ良く見えてしまう。笑
    冷静に見れば短絡的で大人に成りきれてないんだけど、確かに。

    でもその主人公の人格設定の絶妙なバランスがこの小説のリアル感を一段階引き上げてると思う。
    読者を感情移入させる程度には善良・真面目で、犯した罪との整合性を持たせる程度に単純・粗暴。
    このあたりのさじ加減が主人公の葛藤に説得力を与えている。根が真面目じゃなきゃ葛藤しないし、あまりにいい人過ぎたら主人公がいくら自分を責めても「あの時は何かの拍子で頭のねじが狂ってました」で読者視点では片付いちゃうし。

  • 出所しても罪が消えたわけじゃないとか、6年で出てこられたら遺族から見たらやり切れんとか、じゃあ加害者だけが悪いのかとか。ずっとそんな感じ。

  •  好きな女にちょっかいをかけてきた男に警告したところ、殴られ、ついカッとなってしまって持っていたナイフで刺して相手を殺してしまった中道隆太。先に手を出したのは相手の男だったが、ナイフを持ち歩いていたことから殺意があったとみなされ、懲役6年の実刑に受けた。真面目に服役し、仮釈放となって出てきた中道だったが、心を入れ替えて新しい生活を踏み出そうとするも、過去を暴露した中傷ビラが近所や職場にまかれてしまう。

     「奇跡の人」を読んだ時にも似たような感想を持った気がするのだが、主人公が全てにおいていきすぎ、関わりすぎ、我慢しなさすぎなのが気になるし、それによって招く結果がどうしても自業自得に思えてしまう。妹の元カレに会いに行く必要がどこにあるの?中傷ビラの犯人探しはあなたの仕事なの?1人で被害者宅へ行くことがどれだけ重大なことなのかなぜわからないの?その状況で、昔自分に不利な証言をした目撃者に会いに行くことがどれだけ危険なことか理解できないの? 彼は刑務所を出てから、とても良い保護司に出会い、就職先や同僚にも恵まれ、本気で心配してくれる友達や母親もいるのにどうしてそういう行動に出るのか、理解に苦しむこと多々。そういう人だから、刑務所に入ることになったんでしょと言われてしまえばそれまでなのだけど。なんだかなぁ。一度犯罪を犯した人間に対する理不尽な扱いにはたしかに同情する部分も多かったが、主人公が全然好きになれずにイラついてしょうがなかった。テーマは興味深かったし、確かに読み進んだけれど。

  • /?day=20060220

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著者プロフィール

真保裕一(しんぽ・ゆういち)
1961年東京都生まれ。91年に『連鎖』で江戸川乱歩賞を受賞。96年に『ホワイトアウト』で吉川英治文学新人賞、97年に『奪取』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞長編部門、2006年『灰色の北壁』で新田次郎賞を受賞。他の書著に『アマルフィ』『天使の報酬』『アンダルシア』の「外交官シリーズ」や『デパートへ行こう!』『ローカル線で行こう!』『遊園地に行こう!』『オリンピックへ行こう!』の「行こう!シリーズ」、『ダーク・ブルー』『シークレット・エクスプレス』『真・慶安太平記』などがある。


「2022年 『暗闇のアリア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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