街道をゆく 5 モンゴル紀行 (朝日文庫) (朝日文庫 し 1-61)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022644442

作品紹介・あらすじ

1973年、著者は新潟からソ連を経てモンゴルへ飛んだ。まだ旅行が不自由な時代で、入国査証を得て、「わがモンゴルよ」と、心の中で叫ぶ思いがあったという。少年の頃から中国周辺の少数民族にあこがれ、大学時代にモンゴル語を学んだ著者にとって、念願のかなった旅となる。満天の星空に圧倒され、須田剋太画伯とゴビ草原の夜をさまよい歩く場面が心に残る。

感想・レビュー・書評

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  • 司馬遼太郎著
    中国周辺の少数民族について書かれている。
    理解し易く、興味深い読んだ。

  • モンゴル行きたい

  • 司馬遼太郎 「 街道をゆく モンゴル紀行 」新潟から 旧ソ連のハバロフスク、アムール川、イルクーツクを経て、モンゴルのウランバートル、ゴビ草原を巡る紀行


    生えっぱなしの草により生きるモンゴルの遊牧者と 草地を田畑に変えて生きる中国の農耕者の生き方の違いが、中国文明を受け入れないモンゴルと 異民族を野蛮と蔑む中国の長年の争いになっていることが読みとれる


    モンゴルは中国を嫌い、長年にわたる中国との関係を断つため、旧ソ連との関係を深め社会主義国化したが、旧ソ連は モンゴルの世界的英雄チンギスハンを侵略者として憎み、モンゴルではチンギスハンはタブーとされているという複雑な関係


    草の匂いにモンゴルの自然の雄大さ、美しさを感じたエピソードは 小説的な感動を覚えた〜「よその国の草は匂わない〜うその草のようだ」


    「極端な愛国主義と盲目的な民主主義を排する」というモンゴル憲法は今も存在するのだろうか。名言だと思う


    「街道をゆく」シリーズは 著者のコミュニケーション能力の高さを随所に感じる。その国の歴史や文化の中に 日本人である自分を 受身的に置きながら、会話している感じ






  • こちらを読んでから草原の記を読むのがおすすめ。

  • また、読みたい本が増えていく。

  • 初出は73年から74年にかけて掲載されたもの。モンゴルへの旅程に「陰鬱なソ連の関所を二箇所も経由せねばならない」、「日本とモンゴルま昨年国交を開始したばかりだ」、「モンゴルはスターリンに感謝せざるを得なかった」等々、往時を知る事のできる貴重な発言があちこちに散りばめてある。一方で「紀元前から今まで何らかわらない」たくさんのモンゴルらしい事物、考え方、文学等々にも数多く触れてあり、母校大阪外大でモンゴル語を専攻していたシバさんとしてはようやく足を踏み入れることができた念願の地としての感動があちこちのことばにあふれている。シバさんが早世して天の上で悔やんでいることのひとつは21世紀になってモンゴル出身力士が日本の角界を支えている姿を生で観れなかったことではないだろうかと勝手で余計な想像をしてみたりする自分もいたり(笑)

    今回のペアリングは「笹まくら」に続いて他著者に走ってしまおう。前半部ソ連紀行の部分で実際に文中でも引用される井上靖「おろしや国酔夢譚」を、さらに本編モンゴル紀行においても井上靖「蒼き狼」を。考えてみればこの頃のシバさんは1991年に井上靖氏を送り出すにあたり、自身が葬儀委員長になろうとは想像もしていなかったわけで、その辺の想像も感慨深い。

    巻末の緞帳が下がる一瞬手前の文章は今まで読んだ十数冊の中からいっても最も印象に残る美しさ。自分がもしモンゴルの草花が放つ香りを知っていたとしたならば、読了直後の深呼吸にはきっとその香りが鼻腔に漂った気がしていたことだろう。残念ながらその経験はない。いや、「まだない。」と訂正しておこう。

  • 14/6/29読了 20/2/29再読

  • 1970年代のソ連やモンゴルの実態をここまでのレベルで記述した体験記は他に類を見ないのではないかと思う。
    もはや完全に歴史の中に消えてしまった文化や風習を読むだけでも興味深いのに、司馬氏の知識と感性と文章を通して味わうことができるとはものすごく贅沢ですね。

  • やはり小説家だけあって話が面白い。田中克彦が出てきたのには驚いた。さらに、モンゴル語の辞書でモンゴル語を学習していたということは初耳であり、他の紀行には出てこなかったような気がする。

  • 民主化後のモンゴルだったら、また印象は違ったんだろうなぁと思う。

  • 紀行文です。序盤はロシアなのでモンゴルモンゴルしたのを期待するとあんまりかも。窓が閉まりきらないホテルに突っ込まれても文句を言わない、でもさらっとコンシェルジュ使ってたり飛行機でタバコ吸ってたりするところが余裕ある司馬大先生の紀行文だなあ、という感じで好きです。

  • 今年(2016年)、大学で同級だった友人が世界一周の旅に出た。友人が、モンゴル滞在中に、司馬さんの『街道をゆく』を読んでいるというので、久しぶりに読み返した。
    司馬さんが訪問した当時の日本人にとって、モンゴルは、歴史教科書のチンギス・ハーンのくだりに出てくる国の名でしかなく、実在すると思われていないほどであった。
    友人が馬乳酒を飲み、羊の群れに囲まれている光景は、司馬さんが訪れた頃と変わらないものなのだろうか。

  • 話がそれにそれて、モンゴルに行き着くまで何章もかかった。そこが司馬遼太郎大先生の良さなんだけども。

  • モンゴルについてよりも、かつて対峙したソ連にたいする司馬の想いのほうが興味深かった。
    モンゴルの空の広さを体験して見たくなった。

  • 奥さんを連れて取材旅行に出る男は、あまり好きではない。そういや、村上春樹がスコットランドにいったときも連れてたなあ。

  •  外大のモンゴル語科をでた、司馬さんのモンゴル体験をすごかっただろう。今、相撲でモンゴル出身力士が活躍している事が、納得させられるお話でした。

  • 当時は旧ソ連の2都市を経由しなければモンゴルに行けなかったんだ。モンゴル人の素朴でおおらかな性格が伝わってくる。ゴビ砂漠の雄大さと匂う草原、満天の星空。モンゴルに行ってみたくなってきた。『モンゴル人の目は写真機を必要としない。景色も人の顔も覚えてしまうのだ。決して忘れない』モンゴルの人々から学ぶことがたくさんありそうだ…

  • この著者の本は、どれも文章が素晴らしい。中でもこの本は、著者のモンゴルへの愛情が感じられる。

  • この本は、同シリーズの別の本と比べ、あんまり街道をゆかない。むろん、モンゴルに道がないせいであるが(360度、草原なのだ)、そのためかどうか、歴史をあれこれ述べる割合が少ない気がする。その代わり、ホテルの床板がどうだとか、水を貰いたがった奥さんの話とか、そういう司馬さん自身の、ツーリスト話が多い。
    そう考えると、道、街道というのは、多弁に歴史を物語るものなのかもしれぬ。多くの人が通る、交わる、諍う…とにかく、関わる所為だ。モンゴルにも、時間的には他の場所と同じ密度の歴史が存在するはずだが、関わる人数の少なさが、寡黙にさせているのだろうな。
    星や草は、うらやましい限り也。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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