街道をゆく 16 叡山の諸道 (朝日文庫 し 1-72)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022644626

作品紹介・あらすじ

「法華大会」を知人がうけることで、20代のころから見たいと思いつづけてきた、その天台宗の宗教行事を拝見する機会を得る。まず坂本の街並み、赤山禅院、曼殊院門跡と、ほうぼうの登山口を周到にも訪ね直した著者は、"包囲網"を絞るかのように比叡山上へのみちをたどる。半生をかけて理解した最澄や天台の真髄をわかりやすく呈示し、いまなお人を惹きつける叡山の魅力を描く。

感想・レビュー・書評

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  • 比叡山行くぞ

  • 司馬さん、今回は比叡山へ。比叡山とピンポイントなこともあって話が分散せずに天台宗とその周辺に集中しています。あと、須田さんの影が薄いような。ブラタモリなんかもそうですが、こういった紀行物は狭い地域を深く掘っていく方が読んでいて楽しい気がします。

  • 行く前と行った後、両方読むのがいい。

  • 移動によるダイナミズムがなく、当方が比叡山に関心があまりない。しかし、その中でも、お受験やはては入社式にまで親がついてくる現象を、過保護ではなく「あれは中世の従者なのだ」と考えているところなどは面白かった。

  • 叡山近辺に行くことがあり再読。街道をゆくのシリーズは、その土地の風土を知り、旅をしたいと思うものにとって格好の教科書になる。本書でも、司馬流のいわゆる「余談」の妙を味わうことができる。司馬さんが旅をしてから40年以上が経ち、叡山も世俗化が進んだ部分と、全く変わらない部分の乖離が進んでいるように感じる。

  • 叡山大好き。しかし公家など貴族のための檀那寺であったということは知らなかった。いつも行くとはよお金落とせ~って元気な印象しかなかったので、昭和と時代が違うか。学問のためのお品が良いお寺さんだったのね。
    法華大会、覗けたシバサンの嬉しそうな様子ったら。うらやましいけれど、その無邪気な大会を読めるだけでよかった。人畜無害な秘儀を、いつまでも続けて欲しい。

  • 15/1/9読了

  • 叡山の麓、坂本からこの旅は始まる。叡山を造った、最澄は、坂本の生まれとの由。平安時代を代表する宗教人、最澄と空海。
    司馬遼太郎は、空海とい天才肌の巨人を題材に、空海の風景を描いている。そして最澄という秀才肌で、かつ、悩める知識人(?)を題材に、この叡山の諸道という作品を紡ぎだしたのではと感じられる。叡山と京都との関係、そして、最澄の流れからは、多くの偉大な宗教人(法然、親鸞、栄西、日蓮等)が輩出されたことは、叡山創業(?)の最澄の人柄によるところも多いのかも知れない。改めて辿る、叡山の歴史であります。あわせて、五木寛之さん、百寺巡礼(延暦寺)は、いかがでしょうか。

  • 比叡山延暦寺とその登山道を巡る旅。エリアが狭いだけにいつもの軽快な歴史散歩とは趣が違い、ほぼ宗教論に終始。天台とか禅とか仏教の基礎知識がないとキツい。説明が足りないとも言えるが、そもそも簡単に説明などできないのが宗教なんだろうね。

  • (これを見たかった) P.246より
     
     これほどまでに著者が自己の感情を吐露したことがこれまでにあっただろうか。
     司馬遼太郎は己を客観視する道具に徹することで、ものごとの輪郭を明瞭に、かつ鋭敏に捉えてきた。しかし永年追い求めたものを前にして、己の想いが全面に溢れ出た。
     氏が見たかった、感じたかったものは、かつて隆盛を誇り、一度は滅び、後に拡散していった叡山という、文化といった使い古された陳腐な単語では言い表すことができない、山というカタマリで、そこに連綿と受け継がれるなにかを、氏は必死にたぐり寄せたかったのだろう。

     今回の旅では、静かに熱くたぎる、司馬遼太郎に出会うことができた。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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