吉原花魁日記 光明に芽ぐむ日 (朝日文庫)

  • 314人登録
  • 3.75評価
    • (19)
    • (32)
    • (26)
    • (4)
    • (2)
  • 53レビュー
著者 : 森光子
  • 朝日新聞出版 (2010年1月8日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022645357

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三浦 しをん
村上 春樹
中島 京子
有川 浩
村上 春樹
湊 かなえ
有効な右矢印 無効な右矢印

吉原花魁日記 光明に芽ぐむ日 (朝日文庫)の感想・レビュー・書評

  • 吉原の廓に売られ、花魁として生きた女性の記録。作者の森光子は、19歳で1000円と引き換えに吉原の遊郭へと売られる。そして、初見世で見ず知らずの男に処女を奪われ花魁•春駒としての生活を始める。彼女は、そこでの生活を「復讐」として日記に克明に記録する。そうして生まれたのが本書となる。
    吉原に関する文献は多く残されているが、花魁本人の手による記録というのは数が極めて少ない。搾取される側の声はかき消されてしまうのが常であるし、そもそも字を書くことのできない花魁も多くいた。その中で、森光子はおそらくそれなりに高い教養を持ち、そして自らの境遇とその環境を冷静に見る観察眼を持っていた。だから、花魁の世界を今に伝える一級の資料であると同時に、廓の様子がいきいきと描写され読み物としてもとても面白い作品となっている。
    なにより、日記のはしばしから、森光子の意志の強さを感じられるのが最大の読みどころ。たとえ不本意な形で花魁となろうとも、心や誇りまでは決して売ることはない。それはどこまでも自らのものであるという確固とした決意を読み取ることができる。しかしそれは、そのくらいの決意を持たなければ、容易に挫け折れてしまうほどに過酷な状況であることの裏返しでもある。そこには、吉原や花魁といったキーワードから連想させるような華やかさなど微塵もない。ただひたすらに苦しみばかりの毎日があるのみ。その苦しみの毎日の中で女性たちはすり減っていく。吉原という男の快楽の街が、いかに女性の犠牲のもと成り立っていたのか、改めて考えさせられる。
    本書の最後で、彼女は吉原を脱出し晴れて自由の身にとなる。そして、柳原百蓮に保護されるのは、花子とアン」にも描かれている通り(森光子の役は壇蜜が演じている)。彼女のその行動があればこそ、現代の僕たちはこうして本書を手にすることができる。

  • NHK朝のテレビ小説「花子とアン」の中で、白蓮を訪ねて廓から逃げてきたお女郎。それがほんとうにあったことだったと知り、その彼女が書いたこの本を手にしました。貧困を理由に身売りされ、何をするかわからないまま女郎になった春駒の日記は、女性としていろんなことを考えさせられました。

  • 大正の末期。文学の好きな女の子がいた。酒飲みの父が死んで借金が残り、周旋屋に騙されて吉原の遊郭に売られ、日記をつけていた。それが大正15年に出版されたものがあり、数十年を経て3年前に再出版された。

    表紙が少女漫画風の花魁なので子供が女性史の勉強のために読むような本かと思ったが、とんでもなくヘビーな涙なくして読めない体験記録である。

    6年の年季とは言え、借金は簡単に返さないようなからくりになっていて、警察に届けられるので逃げることもできない。病気になっても入れられる病院は牢屋のようなところ、関東大震災の時経営者は被災した女性たちを見殺しにする。

    恥ずかしい日本の歴史がよくわかる。

    読んで少し嬉しかったのはクリスチャンの人がきて、卑屈にならないよう励まして、十字架の指輪を彼女にあげるエピソード。

  • ジャケ買いでしたがものすごく衝撃を受けました。

    八十年という前に、これだけの文才ある(即ちある程度は教育を受けている)聡明な女性が、自分の体を売って生活していたという事実。

    何度も何度も、これは物語ではなく事実の日記なんだと言い聞かせながら、ゆっくり読みました。

    吉原の(あくまでも春駒のいた店での)借金返済制度、一晩でどれだけの相手をしていたか、花魁同士の日々のやりとり。その一つ一つがよく分かります。果たしてこれだけの日記をひたすらに残す事が、私にできるだろうか。森光子さんの聡明さと芯の強さ、ぶれのなさがとても眩しい一冊。

    カバーイラストを描かれているこうの史代さんの漫画の中にも、吉原の女性の事が出てくる話がありますが、彼女たちはこうして暮らしてきたのかと思うと、また違った視点で読めそうです。

    出会えて良かった一冊。
    辛いけれど、目を背けたらいけない事を一つ知れたと思います。

  • 大正時代に借金のかたに吉原に売られた女性の日記。
    ノンフィクションなので、エンターテイメントというよりは歴史的な価値の方が高そう。

    出版を予定したものでないなら、ここまで物語として完成しているのはすごいなぁ。文章は口語に直したと書かれていたけど、それにしても読みやすい。

    日記って、基本的に根暗になりがちだと思うのに、人に優しいままの光子さんがすごい。ちょっとバカでお人好しなのかな。だから商売ッ気がないのにそこそこ売れちゃったんだろうな。
    昔の人の気質なのか、光子さんの個性なのか。

    消息がしれないらしいけど、お幸せになってるとよいと思う。

  • 1924年、実際に群馬の田舎から吉原に売られた女性の日記。
    1924年といえば大正13年、谷崎の痴人の愛や、宮沢賢治の春と修羅が世に出た年だ。
    そう考えると、案外最近までこういった文化が残っていたんだなと思う。

    今までいろんな文献や資料を見るに、廓の女性は大変だと思っていたが、実際に存在が確認できる人の手記は重みが違う。
    本当の吉原の実態が廓の内で生きた者の言葉で語られる。

    森光子さんは、歌人の柳原白蓮を頼って、吉原から脱走する。
    柳原白蓮について以前調べたことがあって、妙なところで繋がるもんだと思った。
    白蓮は華族出身で、縁戚や炭鉱王と政略結婚させられたが、青年記者と駆け落ちした当時スキャンダラスな女性だった。この人もなかなか波瀾万丈で興味深い人生である。

    文章も上手だし、言葉も現代と全く変わらないので、とても読みやすかった。(編集してるのかな?)

    廓の話を見るにつけ、女性たちへの同情心とともに、不謹慎な好奇心が湧く。吉原の文化や人間関係も面白い。
    今までの吉原に関する知識・印象に実際の声が加わり、当時を窺い知るとても貴重な資料だと思った。

    続編の『春駒日記』も読もうと思う。

    それにしてもこの装丁はどうなの。

  • 初刊: 1926年。035

  •  大正末期に吉原の遊郭にかぞえ19歳で売られた女性の手記。高崎の人で、父親が死んで家庭が経済的に苦しくなっての事らしい。兄、妹がいる様。のちに、一人で遊郭を脱走し、自由廃業をした(当時も法律的には売春を強要することは借金のカタでも違法だったので、自由廃業は可能だったが、物理的には難しかった(見つかれば連れ戻されてしまう)みたい)。
     昔の日本は夜這いとかあって結構開放的な性風俗があったようにも思っているんだけれど、この人は売られた際には経験がなくて、しかも、斡旋屋の人に「言い寄られてもうまくかわせばよい」みたいに言われて、そういうものかと思って「それなら行ってもいいかしら」てな感じで売られてきて実際にはそうは行かなくてガーンみたいな展開で、こっちがビックリ。日記をつけたり本を読む習慣があったり、「学校の友達」を思い出したりしてるのでそれなりの学歴があるのか、実は結構なお嬢様だったのかしら。
     同じ遊郭にいる遊女たちは、借金を返すために、また、虚栄心のために(誰だって人気があって成績がいい方が気持ちいいだろう)、少しでも多くの客を取ろうとし、病気などで仕事ができないのを残念に思っている。ところが、この人は一貫して客なんか取りたくない、少しでも客が来なければ良いと言う態度を貫くし、人にも公言してはばからない(営業用の甘言を弄したり電話やら手紙やらをやったりもしないにもかかわらず、決して成績は悪くなかったらしいのもおもしろい)。そして、自分一人だけがこう思っているのを不思議に感じている。店の主人などは人気のある遊女をほめるわけだし、遊郭というところはたくさんの客を持っている遊女の方が当然に上位の序列になるわけだけれど、この人はそういう社会的な評価に惑わされない。自分の感じるように感じ、やりたいようにやる。いくら客を取っても諸々の経費と称するものを差し引かれて借金はちっとも減らない仕組みになっていることも、自分で勘定して気づいている。
     斡旋屋の言ったのは嘘だったことを知り、遊郭でしばらく暮らしたのち、当然に出てくるだろう疑問にも思い至っている。つまり、親は知っていて自分を売ったのではないか、という疑問。これについては一度しか言及されないし、真偽は不明のままなのだけれど、やっぱりそう思うよなぁ。つらい話。
     状況に流されず、自分の価値を知り、それを守ることができる。そういう人。すごいかっこいいと思う。どうすれば、こういう人になれるんだろう。

  • これは再販を企画した出版社がえらい。
    と思ったら朝ドラにでてたのか。

    日記文学として最高の部類と思うんですが。
    奥付に著作権継承者捜索中とあって趣深い。

    つくづく墨塗り検閲が惜しいがそれはそれで時代感。

  • 朝ドラで話題になってきている柳原白蓮が女性解放運動を行っているときに、彼女をしたって吉原の遊郭を抜け出し自由廃業した花魁「春駒」が吉原花魁の日々を書いた日記。
    彼女にとって、この地獄につきこまれたすべてに対する復讐の日記。
    金のために地獄へ落された女性の日記という読み方ももちろん大切だが、吉原の遊女という今では想像できない世界を知るための一つの証左としてもおもしろい読み物である。
    そして、自由ということを考えてみるによい書物である。

  • 吉原ものが 好きですが、この本は、実録物だった!(ToT)

    いままで読んだ 花魁の話とは違い、ひどい扱いを受けていることや、借金をちゃんと計算してくれないことや 病気になっても 病院もひどく 人としての扱いではなかったりと、読んでいて苦しくなりました。
    続きもあるそうですが 読めそうもありません(×_×)

  • 今のNHKの連ドラで出てくる仲間由紀恵演じる蓮さまが序文を書いているんだけど。

    春駒さんの書く文章が、感覚がほとんど今のあたしとあんま変わらない、そんな最近な感じの世界に公娼制度があったということがほんとに信じられない。

    それってやっぱりどうなのっていうことでそれはおかしいことなのだ。

    そしてそのおかしな感覚は現在進行形で今も在るというのはまぎれもないほんとのことだなと。

  • こんな哀しみと苦しみの中に、たくさんの女性がいたのだなぁと思う。諦めることを拒むことは、どれだけ苦しかっただろう。書くことはこんなにも人の心を支えるのか。アンネもそうだったな、と。
    彼女がその後、どう生きたのか、疑いを抱いた母とは、再び会うことがあったのか、「春駒日記」にはあるのだろうか。

  • 表紙のデザインはまぁさておき。
    花魁自身による日記で、大変貴重な記録。
    下衆な興味のところは伏字になっていたりで、そういう対象として読むものではありません。
    酒を注ぐだけ、といわれてつれてこられたが、早々に現実を突きつけらる。
    鎖につながれていないだけの牢獄。
    吉原の実際を知る、貴重な文献といえると思います。

  • 吉原花魁日記を読む~恥ずべき過去の売春制度 : アゴラ - ライブドアブログ(石井孝明 ジャーナリスト)
    http://agora-web.jp/archives/1544808.html

    朝日新聞出版のPR
    「「もう泣くまい。悲しむまい。復讐の第一歩として、人知れず日記を書こう。それは今の慰めの唯一であると共に、又彼等への復讐の宣言である――」。親の借金のために吉原へ売られた少女・光子が綴った、花魁・春駒として日々、そして脱出までの真実の記録。大正15年に柳原白蓮の序文で刊行され、娼妓の世界に、また当時の社会に波紋を呼んだ告発の書。(解説・斎藤美奈子)」

  • 世にこのような本が出ていたなんて。復刻するのが遅すぎやしまいか!とも思うけれど、自分が生きているうちに読めて良かった。
    江戸時代のような「格」が失われた吉原、ずさんな・悲惨な環境で春駒は自分を見失っていない。遊女の生活が手に取るようにわかるのがいい。数々の作家さんや映画監督などが、この本を資料として読んできたんだろうね。遊女にも色んなんが居るけれど、遊客も千差万別。素敵な殿方もチラホラ出てくる。それにしても楼主のタヌキめ!どうかロクな死に方してませんように!!
    巻末に「著作権継承者探しています・・・」の一文が。
    旦那共々、怖い方々に追われていた為、身元を隠しながら生きたのもあるんだろうけれど、もし子供を持っていたとしても自分の過去については一切話さず隠し通したのかな・・とも思う。光子、最期には幸せだと思って死んでいけたかしら・・・。

  • 吉原に花魁として売られた少女が日常を書き残した記録。困難な中でも投げやりにならず、自分の尊厳を守ろうとする強い意志を感じる日記だった。

  • 大正期の身売りによって吉原の遊郭に売られてきた女性の日記です。
    吉原の遊郭文化など華やかな面を解説する本が多く見られますが、本書は花魁自身の苦痛を吐露した内容でとても珍しく貴重だと思います。最終的には柳原白蓮という、当時世を賑わせていた女性の元に助けを求め脱出し自由廃業するまでが描かれています。
    日記体なのですが遊郭を訪れる色々なお客さん達のお話や著者の激しい感情の吐露など、読んでいてとても引きこまれました。
    華やかに見える文化の裏の影について考えさせられると思います。
    補完として『春駒日記』もあるので併せて読むのをお勧めします。

  • 表紙が漫画チックなのが気に入らない。

  • 借金の為に遊廓に売られるも、強い心を失わなかった女性の日記。

    今の時代なら、この様に賢い方なら違う道を生きられただろうに、と思うと切ない。

    伏せ字が多いのだけが残念。

  • 実在した女性の話です。江戸時代の吉原と違い、著者が生きた時代の吉原は豪奢なイメージとは無縁で、花魁とは名ばかりの貧しく辛い日々でした。
    そんな日々でも自分を見失わず、希望を忘れずに、強く生きた森光子という女性に感銘を受けました。
    女性の自由が確立されていて何にだってなれる時代、恵まれた環境の中にいて、何もしない自分が恥ずかしくなりました。

  • 大正末期、19歳で吉原遊郭に売られた女性が書いた日記です。

    文中伏字が多く、出版された時代に表現の自由が制限されて
    いたリアル感があります。当時の普通の感性を持った女の子が
    心まで花魁になるもんか!と信念を持って日々綴っています。

    統計に金額と、具体的に数値を用いたデータも貴重なものでしょう。

    ショーや歌舞伎等で美しく描かれがちな花魁。
    花魁の生活を現実として生きた証の書。

  • 普段から、歌舞伎のお芝居で親しんでいる花の吉原。先に読んだ吉原関連本(「吉原はこんな所でございました」)は、まさに吉原といえばこう、という華やかな様子を楼主が書いたもので、舞台となる見世も大見世だったせいか、客として登場する歌舞伎役者や文豪の名前に胸を高鳴らせながら読んだ。しかし、この本に書かれた、中以下の見世の実情は悲惨と言うしかない。その過酷な労働状況や不条理な賃金制度を知り、娼妓の権利についてなども考えさせられ、本当の吉原を知るという意味では、こちらも合わせて読んでよかったと思う。とにかく作者(2年間、吉原花魁であった!)の筆力が光っていた。林芙美子の「放浪記」のような読後感。続編も読みたい。

  • 19歳で吉原に売られた女性の日記。なんだか一見かわいい雰囲気の表紙ですが、中身はかなり壮絶。こんな風に周旋屋に騙されて売られて、廓でも搾取されて、借金が減らないどころか、借金しなければ生活も回らない状況だというのが、綴られていく。最初の、自らの境遇を嘆き続けるあたりは痛々しくて、同じことが繰り返されていることもあり、読むのが苦しくもあるのですが、読みし占めるうちに彼女自身も花魁としての生活に徐々に馴染んでしまうのがわかって、それもまた痛々しい。

  • 大正時代、
    借金のために「吉原」に19歳で身売りされた、
    森光子さんという方の日記です。

    書店のフリーペーパーか何かで
    この本が紹介されていて、
    ちょっと気になったので読んでみました。


    遊郭というと、
    私のイメージでは
    江戸時代に栄えていて、華やかな場所だという感じだったんですが、
    現実は全然違うんだなあ…としみじみ思いました。

    大正時代にもなって、
    まだこういった制度があったことにも驚きましたし、
    一度入ってしまったら、
    あれよあれよと罰金をとられ、
    花魁自身の取り分は2割程度、
    諸費用も自腹で、
    借金は増えるように出来ていて
    本当に地獄のような場所だと思いました。


    まだ若い春駒さん(森光子さん)が
    自分の思いを素直に書き綴っていて、
    「遊郭」という特殊な職業と場所に
    染まるまい、染まるまい…と頑張る姿に
    心打たれました。

    読んでいて
    苦しいような悔しいような気持ちになる本でした。

    実際、吉原の中にいた人の視点から読める
    貴重なノンフィクション作品だと思います。

全53件中 1 - 25件を表示

吉原花魁日記 光明に芽ぐむ日 (朝日文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

吉原花魁日記 光明に芽ぐむ日 (朝日文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

吉原花魁日記 光明に芽ぐむ日 (朝日文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

吉原花魁日記 光明に芽ぐむ日 (朝日文庫)の作品紹介

「もう泣くまい。悲しむまい。復讐の第一歩として、人知れず日記を書こう-」。親の借金のため19歳で吉原へ売られた光子が、花魁・春駒として過ごした日々を綴った壮絶な記録。大正15年、柳原白蓮の序文で刊行され、当時の社会に波紋を呼んだ、告発の書。

ツイートする