極北クレイマー 下 (朝日文庫)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022645982

感想・レビュー・書評

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  • 海堂尊さんが色んな作品で訴えてるのは医療の崩壊の危機だと思う。

    民衆が医療に求めるのは治して当たり前という概念なのだろうか。
    人間は失敗するものである。失敗を恐れていたら成功もありえないのではないか。
    失敗しないようにではなく失敗しても重大化しないようにするのが本当のリスク管理であると感じています。

    今の医療従事者は大変だな。マスコミは揚げ足取りしかせず、マスコミに踊らされる民衆は失敗でない所からでもお金を取ろうと躍起になる。

    特に産婦人科はそのリスクの高さと業務の過密さでなり手が少なく産婦人科医がいないので遠くの病院まで受診しなければならない場所も少なくないと聞いています。

    少子化を食い止める為にはもっと充実されるべきものがあるのではないかと、人の親である立場から見てもそして人の子である立場から見てもそう思えてなりません。

    これから極北病院がどう再建されていくのかがとても楽しみです。バチスタシリーズの田口先生もいいですが、今回の主人公の今中先生のキャラもなかなかいいですね。病院の再建も大切ですが、患者を見る目は絶やさないで欲しいです。

    企業は慈善事業ではなく営利を産まなくてはならない。企業の指名は利益を産む事。しかし、病院は利益だけでは成り立たないものがあるのでしょう。
    村でただ一人の医師と診察もしない大学教授どっちが人に求められているのでしょうね。

    間違って単行本を借りてしまった。文庫版が加筆してなければいいのですが。。。

  • 上巻より一気に読了。

    行政と医療と司法の覇権争いの着火点として最も弱っている過疎地の医療現場を持ち出しているところに、官僚社会の戦略の巧さが見てとれた。
    気持ちがいいものではないが現実にも考えさせられる部分もあり、何かモヤモヤしたものは残ったが総じて面白い作品だった。

    バチスタシリーズとは違った問題提起がなされる物語。

  • 主人公の今中医師が、当初は分不相応な役割を拝命したり(押し付けられたり?)、中央からの調査機関に対応させられたり、そして産婦人科部長の逮捕劇を経ていくうちに、自覚を持った医師に変わっていきます。極北市が財政破綻し、市民病院には新しい院長世良が再建のため赴任してきます。(ああ、世良君こんな所で再会。)続編の極北ラプソディーも楽しみになってきました(が、今手元にありません。冬休み帰国してのお楽しみ^^)。

  • 後半が怒涛の追い上げをみせる本作品。
    あれよあれよという間に事態は急展開を見せ、ジーン・ワルツへの繋がりを見せていく。
    いまの医療に潜む問題は?批判だけが正義か?
    そんな疑問を投げ掛けながら、まさかの世良登場!
    タイムイズマネーなんて、完全に天城の影響受けてるよ!こんな驚きがあるから、海堂作品は止められない。
    極北も、世良自身の変化も待ちきれないです。文庫化してください!

  • お産で死ぬ可能性もあるということ。
    日本はその発生率が非常に低いこと。

    いずれ出産を迎えるであろう自分にとって、
    恵まれた環境であることは間違いない。

    ただ、死に至る可能性はゼロではない。
    その確立について、自分は誤解していないか。

    発生しないとは限らない。
    発生は必ずしもミスではない。

    そのことをわたしは考えていなかった気がする。

  • 財政破綻の危機にある北海道の極北市。 そこで赤字経営を続ける極北市民病院。 そんな病院に非常勤外科医として赴任する主人公 今中の目を通して語られる地域医療の実態。 

    医療事故専門の女性ジャーナリストにより妊婦死亡事故を医療ミスとしてスッパ抜かれる。 その結果、極北市民病院の中で唯一有能な産婦人科医が逮捕される。 高齢患者の不安をよそに病院閉鎖へのカウントダウンが始まる。

    資金不足に瀕していながら、天下り医療監査団体に高額の監査費用を支払う一方で、患者へのサービス向上へはびた一文も金を使わないなど、末期症状の様相を呈する現場の矛盾がフィクションという形でありありと描かれる。

    あとがきによると、海堂氏がモデルとなる病院を短時間で取材し創り上げた小説だと言う。 短時間ながらも。出てくるエピソードは実際に近いものが多く、非常にリアリティがあるとのこと。
    メディアで発信される表面的な情報ではなく、医療問題の核心を確りととらえ、正しい問題意識もつ必要性を痛感させられた一冊である。

  • 最初は潰れかけの病院の個性あふれる人たちと、そこに放り込まれた真面目な医師のお話、いわゆるキャラものみたいな感じでコミカルな部分もあったけど、「二十四章 逮捕」から空気が一変した。厚労省の役人たちのやたらと名前の長い会議の裏で、一つの病院と医師が潰された。けどまだ死んではいない。救世主が現れた。ラプソディへ続く。それにしても、電話の向こうの声しか聞こえないのに速水先生の存在感と安心感は凄い。今中先生もかっこよかったぞ。

  • ここで世良先生かぁ~!と鳥肌

  • 白鳥さん、出て来なかったか。
    すごく期待したんだけどな。
    最後にまさかの世良先生とは。
    ブラックペアンからの三部作以来?
    のような気がしてますが、
    登場と会見だけ。
    手腕がみたいですね。
    にしても
    地方出身者ですが、
    もっと地方はこんな感じなんですね。
    ドクターコトーはある意味
    平和な方なんですね。
    今はどのくらい改善されてるか
    少し気になりますが。
    極北はまたこの後、出て来るのかな?
    速水先生も微かに出てましたね。
    次に期待しますかね。

  • 最後にもう少し詰めて欲しかった。その続きが読みたかったなーという感じ。
    医療現場では実際にある問題なんだろうし、病院が抱える問題もこんな感じなんだろなーと思った。改めて勉強させてもらいながら、楽しく読ませてもらいやした。

    やっぱり海堂さんを読もう。

著者プロフィール

1961年千葉県生まれ。医師、作家。外科医・病理医としての経験を活かした医療現場のリアリティあふれる描写で現実社会に起こっている問題を衝くアクチュアルなフィクション作品を発表し続けている。作家としてのデビュー作『チーム・バチスタの栄光』(宝島社)をはじめ同シリーズは累計1千万部を超え、映像化作品多数。Ai(オートプシー・イメージング=死亡時画像診断)の概念提唱者で関連著作に『死因不明社会2018』(講談社)がある。近刊著に『北里柴三郎 よみがえる天才7』(ちくまプリマー新書) 、『コロナ黙示録』『コロナ狂騒録』(宝島社)、『奏鳴曲 北里と鷗外』(文藝春秋) 。

「2022年 『よみがえる天才8 森鷗外』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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