糾弾 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022646453

感想・レビュー・書評

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  • 医療ミスを自ら告白した外科医は誠意からか、それとも隠された何かがあるのか。医療ライターが真相を求め、取材を重ねる医療ミステリー。
    物語の進展とともに、著者は医療の実態を、読者に提供してくれる。
    ”人間ドック地獄”という言葉があるそうな。
    毎年人間ドックを受けてもらうようにするため、正常値の範囲を変えるのだとか。正常値にこだわって来年も検査しなさいと言われたら、大概の人はまたやってくる。
    患者を不安に陥れるのが、ドックの医者の仕事!?
    日本の医療制度では、どの科を名乗るのも自由だから、専門外の医者が人間ドックのアルバイトをやっても、法律的にはおとがめなし!
    これが、日本の医療の現状と実態?

  • 外科医・三木達志は自らの医療ミスを認め、患者の遺族に賠償金支払いを申し出た。これを究極の誠意と感じたライターの菊川綾乃は取材に乗り出すが、「あれは殺人だった」という手紙が舞い込む。医療ミスを糾弾する者とされる者の闇を描く渾身のミステリー。

  • 外科医の三木は自らの医療ミスを告白し、患者の家族に賠償金支払いを申し出る。医療ライターの菊川は、自己保身に走らない彼の行為を「究極の誠意」と感じ興味を持つのだが・・・。

    医療者を異常なまでに嫌悪し、「ミルグラムの心理実験」のように罠にかけて彼らの隠蔽体質を暴こうとするプロデューサーの宍村、彼女とタッグを組む看護師の赤井、また三木に妻を殺されたと憤る遺族や三木の元妻 珠美。

    久坂部氏の作品はすべて読んできたので、極端すぎる人物の性格付けや展開にはすでに驚かなくなったけれど、今回もやっぱり際どいなぁ。久坂部氏は医学部を出てから医務官として勤めた経歴もあるし、一般的な医師の感覚とは少し違ったりするのだろうか。。

    ミッション系出身なので、副題の「まず石を投げよ」であの有名な聖書の一節を思い出した。
    娼婦の女(後のマグダラのマリア)が姦淫の罪でファリサイ人に石打ちにされようとしていた。イエスは「あなたがたのうち、罪のないものから、まずこの女に石を投げよ」と言われる。すると、ファリサイ人は一人去り、二人去り、結局誰もいなくなった。

    三浦綾子さんの小説などからも感じるけど、キリスト教は「赦す」発想が強い。それは神の子でなく人の子である限り、誰かを裁けるほど常に正しい者などおらず、それゆえ「赦される」ために「赦す」ことが自身もを救うという考えからのようだが・・・。

    重たいテーマだなぁ。

  • 読後の最初の感想は、えっ⁈

    医療ミスを巡る医療ミステリーなのだが、結末が何とも…

    久坂部羊の作品は殆んど読んでおり、その完成度の高さと面白さを十分に理解している。この作品も医療を巡る迫真の描写と思わぬ展開にハラハラしながら読んだのだが、如何せん結末が…

    外科医・三木達志が自らの医療ミスを認め、遺族に賠償金を支払う。これが医師としての善意なのか、或いは殺人なのか…ライター・菊川綾乃が真相に迫る。

    うーん。評価が難しい。

  • 事件なのか違うのか分からず、絶対的正義も悪もない、主人公と一緒に迷う感じがよい。最後がバタバタした感じなのは残念。

  • 医療分野とマスメディア分野をそれぞれ対比的に立たせ物語を進行させていくが,実はいずれも同じ闇を持つ同じ穴の狢であるというカタルシスに収束させる.

  • 甲乙つけがたい。中盤は面白く読めたが、医療ミスをテーマにした医療ミステリーかと思ったら、ジャーナリズムを問う内容のほうが濃かった気がする。

    ミルグラムの実験は何かで読んだことある。まさか医師に対して実行するとは。何が言いたいのか。かばうわけじゃないけど、医師じゃなくても結果はこうなるのでは。人の生死に関わるか否かの違いだけで、ジャーナリストも同じ立場に立ったら隠蔽するよね?

  • ほかの久坂部作品に比べてアクがない。物足りない感じがした。医療ミスに焦点を当てた作品。登場人物に魅力がないし、間口を広げすぎた感じもして、せっかくの外科医の影が薄まってしまった。残念。

  • 2015.2.22読了
    医療ミスをテーマとしたもので、医療界の隠蔽体質や人の心の闇などを追及するお話

    医師だって一人の人間だということは充分わかっているつもりだが、心理実験のくだりはいかがなものかと考えさせられた。

  • 医療ミスがテーマの小説。ミスをした本人にしかわからないミス。いずれは心理療法なども医療ミスの対象になったりするのだろうか…などと思いながら読んだ。面白かった。

  • 嫌いな患者にミスが起こりやすいという言葉にびっくりした。ラストが短絡過ぎて面白くなかった。

  • 書店で平積みになっていて、ポップに書かれてたテーマが面白そうだったので読んでみた。まぁ、楽しめたかな。
    中盤、話を広げすぎてる感じがあり、どうまとめるのかと思っていたら、意外半分、やっぱり半分な結末。

  • 医療ミスとジャーナリズムのあり方を問うミステリ。
    堅苦しいテーマだけどぐいぐい読ませられる。好きな作家さんです。
    この人の書く影を抱えたお医者さんというキャラはいつも魅力的だけど、今回の三木先生は結局のところ何がしたかったのかというのがいまいち読み取れませんでした。もう少し三木先生の抱えた内面の闇の部分を知りたかった。終盤には三木先生よりもプロデューサーの宍村の方にスポットが当たっていったので、読んでいるうちに焦点がぶれてしまって中途半端な印象を受けてしまいました。

  • この作者の作品を初めて読んだ。
    医療ミスを扱った作品。
    三木先生が患者の好き嫌いを言っている部分があったが、医療従事者としてどうしてもそこは理解できない。
    医療ミスについての心理実験するところはリアルに医師の反応が表現されている。番組プロデューサーや三木先生の本質までたどり着けた時はホッとした。
    読後、もう少しスッキリしたかった。

  • 医療派ミステリというより、社会派のノンフィクションを呼んでいる感覚になります。今回はジャーナリスト側にも厳しい姿勢が見られます。

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著者プロフィール

医師・作家・大阪人間科学大学教授

「2016年 『とまどう男たち―死に方編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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