記憶のつくり方 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 98
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (136ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022646569

作品紹介・あらすじ

まだ死を知らぬ頃に体験した、祖父の火葬の夜。肩車されて頭上に広がる世界。こんがり焼いたおにぎり。路地の奥。竹林。雨-。かつて経験し、ふとした隙に思い出される記憶。今も心の中で光を放ち続ける情景を描く24篇の詩は、わたしたちの人生の一瞬の輝きを照らし出す。

感想・レビュー・書評

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  • 長田弘が紡ぐ言葉は、静かに心の底に落ちて行く。

    私が、ハードカバーも文庫(数冊しか出てませんが)も買う数少ない書き手です。

    朝日新聞出版 最新刊行物:文庫:記憶のつくり方
    https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=13562

    • hetarebooksさん
      長田さんの「ねこに未来はない」もいいですよね。
      長田さんの「ねこに未来はない」もいいですよね。
      2012/05/14
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      > hetarebooksさん
      「「ねこに未来はない」もいいですよね」
      はい、猫の私には感涙物です。
      実を言うと長田弘初体験は「ねこに未来は...
      > hetarebooksさん
      「「ねこに未来はない」もいいですよね」
      はい、猫の私には感涙物です。
      実を言うと長田弘初体験は「ねこに未来はない」です。その中に載っていた「マーマレード・ジムのぼうけん」を読みたいと思いつつ、未だに果たせていません・・・探さなきゃ。
      2012/05/14
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      人間には心の栄養も必要 大菅俊幸氏:中外日報
      https://www.chugainippoh.co.jp/article/ron-kiko...
      人間には心の栄養も必要 大菅俊幸氏:中外日報
      https://www.chugainippoh.co.jp/article/ron-kikou/ron/20230308-001.html
      2023/03/27
  • 懐かしいあたたかさを感じた。
    20代の今ですら、こんなにも懐古的な気持ちになったのだから、
    もっと年を重ねた後に読み返したら
    さらに心に沁みるのだろう。

    幼い頃の「ジャングル・ジム」、「肩車」。
    今の自分と重なる「海を見に」「自分の時間へ」。
    「雨の歌」「みずからはげます人」のような感性をもつ大人になれるだろうか。

    言葉には無限の可能性があること。
    言葉では言い表せない世界があること。
    日常の小さな光に気づきながら、一日いちにちを過ごしたい。

    (あと、装丁が素敵。)

  • 桑原武夫賞を受賞した詩集です。
    〝記憶とは過去ものではなく、むしろ過ぎ去らなかったもののこと〟と、あとがきにありますが、とても納得させられる言葉です。
    普段は忘却の彼方にある、どうでもよい、取り留めのないことが、ふと思い出されたりします。大凡のことはみんな忘れてしまうのに、なんでもない些細なことが胸の奥底に眠っていたりするのは、いったいどういうことなんでしょう?もしかすると人は、そんな些細なことの積み重ねで形成されているのかもしれませんネ。

  • 記憶と共に生きている。
    記憶は、時として、その人そのものだ。

  • 散文のようだけど、読んでみると言葉のひとつひとつが研ぎ澄まされていて、やっぱり詩かなと思う。本人によるあとがきには、詩とされるなら詩、エッセーならエッセーと書いている。

    「おにぎり」、「海を見に」が気に入った。

  • ひさびさに詩を読んだ。
    長田さんの詩には、静かだが確かな時間の流れがある。
    遠く子どもの頃みた風景、風を思う。

  • 記憶とは、流れさった過去のものではなく「流れさるものがそこに映す影像」。幼い頃からの記憶が、丁寧で詩的な言葉で綴られている。祖父の火葬、路地裏の暮らし、かたく握られたおにぎり、、、何気ない日常の中の形なき影像を言語化する能力は、さすがだと思った。

  • この文庫本を買った時、その小さな書店のおやじさんは、とても丁寧にカバーを折ってつけてくれた。
    読み終わって本棚に入れる時、たいてい、この紙カバーというやつははずしてしまう(背表紙が見えるように)のだが、この本だけは、あんまり丁寧に折られているので、ずっとつけっぱなしだ。
    そんな‘記憶’も含めての「本」なんだなあ。

  • なんだか懐かしくて深くて、一人の時間にゆっくりと読みたい詩集。言葉にならない感覚を、文字にしてしまう長田さんのアーティスト的な感受性が溢れている。大好きな詩集。

  • 長田さんの詩は少し説教臭いのが苦手。
    しかし本書は詩というよりもリズム感のある随筆といった雰囲気で読み応えがある。

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著者プロフィール

長田弘(おさだ・ひろし)
1939年、福島県福島市生まれ。早稲田大学第一文学部独文専修卒業。詩人。65年、詩集『われら新鮮な旅人』でデビュー。98年『記憶のつくり方』で桑原武夫学芸賞、2009年『幸いなるかな本を読む人』で詩歌文学館賞、10年『世界はうつくしいと』で三好達治賞、14年『奇跡―ミラクル―』で毎日芸術賞をそれぞれ受賞。また、詩のみならずエッセイ、評論、翻訳、児童文学等の分野においても幅広く活躍し、1982年エッセイ集『私の二十世紀書店』で毎日出版文化賞、2000年『森の絵本』で講談社出版文化賞を受賞。15年5月3日、逝去。

「2022年 『すべてきみに宛てた手紙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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