七夜物語(上) (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 664
感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022647771

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学小説】小学4年生のさよは、母親と二人暮らし。ある日、図書館で出合った『七夜物語』というふしぎな本にみちびかれ、同級生の仄田くんと夜の世界へ迷いこんでゆく。七つの夜をくぐりぬける二人の冒険の行く先は? 解説・村田沙耶香。

感想・レビュー・書評

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  • 実家でずっと朝日新聞をとっているのだけれど(※父が阪神ファン)数年前帰省したときに母が「今の新聞連載小説おもしろいで、読んでみ」と言うので目を通してみたら、あら川上弘美さん!しかも挿絵が酒井駒子さん!しかし実家にいるのは年間わずか数日なので当然全部読むことはできず、いつか1冊になったら・・・というか、文庫派なのでいつか文庫になったら・・・と思ってはや数年。ようやく文庫化されたのが嬉しくて、買ってすぐ電車の中で読み始めました。

    小学四年生のさよは図書館で偶然みつけた「七夜物語」という本のせいで、クラスメイトの仄田くんと、七つの夜を不思議な世界で体験することになるのだけれど、いわゆる「本を開くたびに本の世界に入ってしまう系」ではなく(仄田くんにいたっては、本を知る前からさよと一緒に別世界へ迷い込んでいるし)、夜の世界へ至る確実なルート(タンスの扉とか)があるわけでもない。一夜めは喋る大きなネズミ「グリクエル」の台所でのお手伝いから始まる童話ちっくな展開だけれど・・・

    物語の時間が現代ではなく昭和50年代というのは個人的に共感しやすいです。さよよりは年下だけれど、自分が小学生だった頃の空気をリアルに思い出します。

  • やっと文庫になったー!嬉しい。

    前回読んだ本の解説が川上弘美さんで、不思議な縁が本を結ぶなあ。
    ファンタジーと現実世界を一番強く噛み合わせるものは、主人公の境遇だと思う。

    さよは、父親のいない子ども。
    仄田くんは、母親のいない子ども。

    社会がそれを受容しても、彼女たちにはまだ受容できないカタチ。それが痛みを伴って、分かる。
    『七夜物語』の世界は、一つの逃場。けれど、その甘やかでスリリングな世界をどう抜け出すかで、さよと仄田くんは成長する。

    中巻、下巻と、ファンタジーと現実世界にどんな変化が起こるのか、楽しみ。

  • 自分とも重ねてしまい反省したりもしばしば

  • 「小学4年生のさよは、母親と二人暮らし。ある日、図書館で出合った『七夜物語』というふしぎな本にみちびかれ、同級生の仄田くんと夜の世界へ迷いこんでゆく。七つの夜をくぐりぬける二人の冒険の行く先は? 」

    上のファンタジーへの入り方、グリルレルとの出会いのシーン、さよの母親とのエピソード、頼りにならない仄田くん、よかった。とても読んでいて楽しかった。

    中・下と進む中、さよと仄田くんは成長していくのだが、わたしは成長前のこの状態の二人が好きで、だから後半は二人の会話や行動、考え方がなんだかつまらなくなってしまった。作品の良しあしではなく、私自信の好みの問題だろうか(ヘタレ男子かわいい)

    「最初の夜に料理上手な大ねずみ「グリルレル」の台所で皿洗いのお手伝いをさせられる場面が大好きだった。「行儀の悪い子供は、しつけてやらなきゃね」と容赦のないグリクレルみたいなおばさんやおじさんが昔はたくさんいた。そういう大人たちに叱られたり褒められたりしながら、家庭と学校くらいしか知らなかった私の小さな世界は少しずつ広がっていった。」
    (『小泉今日子書評集』の紹介より)

  • どうも、「ファンタジーっぽい」という感じがして、中に入り込めない。残念。

  • 上巻終了。なんだかおもしろいことが起こりそうな予感はする。さよとクラスメイトの仄田くんが不思議な本に出会いその物語の世界に入り込む。エプロンをした料理上手のネズミ、夜、はちみつ色、影、口笛、眠り。魅力的なものがいっぱい。さよと仄田くんも抱えているものがあって。さて中巻下巻とどう進んでいくか。展開がスローでじれったくもある。

  • 読みやすかった♪
    児童文学かと思いきや、『子どもの世界』の残酷さや子ども目線の大人たちの描かれ方がとてもおもしろかった✨
    あたたかさとちょっぴり切ない気持ちを残してくれる作品

  • 下巻にまとめて。

  • うーん、途中までは、これからの展開に期待したけど、サクサク話が進まないからめんどくさくなった。仄田くんうざいなー

  • 「でもなんだか、少しのあかりは、まっくらよりも、さみしい感じがするね」
    (P.222)

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著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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