ビジネスマンのための法務力 (朝日新書)

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著者 : 芦原一郎
  • 朝日新聞出版 (2009年1月13日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022732569

ビジネスマンのための法務力 (朝日新書)の感想・レビュー・書評

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  • 法務の話というより、法律を通じたリスクアセスメント・マネジメントの話だと感じた。

    ものすごいロジックのかたまり。さすが弁護士さん。

  • 読物としての展開の仕方がまずい。

  • 内容

    第1章 「法務力」の鍛え方
    早朝の飲酒検査―犯罪や事件に巻き込まれるリスク
    安全なチラシ―規制に違反してしまうリスク
    第2章 初級編 リスク「センサー」能力の鍛錬
    ダイレクトメールを出す―個人情報漏洩のリスク
    システムを開発する―システム契約、間接雇用と過労死のリスク ほか
    第3章 中級編 リスク「コントロール」能力の鍛錬
    ダイレクトメールを出す―契約書の基本と社内調整のコツ
    システムを開発する―IT特有の管理手法のツボ ほか
    第4章 法律知識、契約書、訴訟、コンプライアンス
    「法務力」と「骨太な」法律知識
    「法務力」と契約書 ほか

    ビジネスマンひとりひとりがどんな風にビジネスのリスクにアンテナを巡らせて、何をしたらいいのか、あるいはしてはいけないのか、ということに関して法務の視点から解説されている。

    同じ例を繰り返し利用して,立場の違いで注意するべき点が変わるということを説明しています。

    ビジネス上のリスクを察知することは個人一人一人に求められる、それを組織としてコントロールするために必要な法務的な視点や感覚が具体的に示されているので勉強になりました。



  • 会計力、IT力、英語力に次ぐ柱としての法務力。法務力には(1)リスクセンサー:臆病さ、想像力、(2)リスクコントロール:神経質さ、段取り力が必要である。予防策、リスクが具体化した場合の対策としてプラン作成時の充分な検討が必要。その為に(1)温故知新、(2)文殊の知恵、(3)最悪シナリオ、(4)怒る人がいないかテスト、(5)記者会見テストをイメージトレーニングすべし、とする。デュープロセス(適正手続き)やSLA(=Service level agreement)等、法務に留まらずに展開出来そうな話題を具体的なケーススタディーを用いて解説する。説明責任とは適切な開示を説明出来る様、準備することという定義。法務部門は現場各部門のサポート、コンプライアンス部門は全体最適という解説は分かり易い。ビジネスマンが法務家をリードすべし、という点と法務に留まらない対策の打ち方、リスク評価の考え方は勉強になる。

  • 法務力を、リスク「センサー」能力とリスク「コントロール」能力であると定義します。


    リスク「センサー」能力にとって重要な資質は何か。それは、臆病さと想像力です。臆病さ:「大丈夫かな」と心配になってしまうことこそ、確認すべきポイントに気付くことができます。想像力:見えない影ほど怖いものはありません。リスクが具体的にどのように現実化するのかをイメージすることです。


    リスク「コントロール」能力を左右するのは、神経質さと段取り力です。神経質さがあれば契約書もより安定感が出てきますし、訴訟やトラブルを意識した対応も自然にできるようになります。また、リスクコントロールのためには、プラン作りの段階などで、会社の他部門を巻き込まなければならないことが多くあります。そこでは組織的に人を動かす力、すなわち段取り力が必要になります。


    優秀な弁護士は判断が速く、沢山の知識を持っているように見えます。けれども本当に優秀だなぁと感じるのは、複雑で込み入った問題をすっきり分かりやすく整理し、方向性を示してくれたときではありませんか?餅は餅屋に任せて、優秀な弁護士を要所要所で適切に使いこなす方が、効率がいいに決まってます。弁護士に一目置いてもらうために専門知識を身につけようとするのは、方向性として間違いです。


    関係者が顔をそろえ、「文殊の知恵」を結集するためにやるべきことは「リスク出し」「知恵出し」「最悪シナリオ」の検討です。ホワイトボードの左半分に想定される「最悪シナリオ」を列挙し、右半分にそれぞれの「最悪シナリオ」への対策リストを記載するというやり方で十分です。想定されるリスクに目をつぶるのではなく、リスクを意識し、対策を検討しておくからこそ、ビジネスの選択の幅が広がるのです。


    「怒る人がいないかテスト」は、具体的なステークホルダーをイメージし、会社が行おうとすることに対して誰が怒るか、怒るとしたら何に対して怒るか、を考えるものです。そこでは、株主や取引先、顧客、従業員一般や自分自身の家族のほか、できるだけ具体的な、いつも厳しい指摘をする取引先やお客様のリアルな顔を思い浮かべることがコツです。


    日々、いろんな不祥事やトラブルが報道されています。そんなことがあるんだ、へぇ、で終わらせるのではなく、背景にどのようなルールがあるのか、違反するとどのようなペナルティや不利益があるのか、自分の会社やビジネスに同じようなリスクはないか、不利益をどのように克服し、将来に活かすことが期待されているのか、実際それができているのか、などを意識しましょう。


    代金の決済時期について、通常は10日払いだが、どのような条件を満たせばそれを早めることができるか、どこまで早めることができるのかを、しっかり理解しておけば、商談の際に役に立ちます。「のりしろ」を持っていれば、例外扱いを頼まれたときに、その場で対応が可能になり、商談が一歩前進するでしょう。法的リスクについても同じことが言えるのです。


    具体的にどのようなリスクがあるのかを考える際、「怒る人がいないかテスト」→「最悪シナリオ」のパターンは、関係先が多岐にわたる場合の定石として覚えておくと便利です。


    「契約自由の原則」は、契約は誰と結ぼうとも国家の干渉は受けないという近代資本主義の大原則のひとつです。が、一度約束してしまうと、「契約は守らなければならない」のです。契約が自由なのは契約が成立するまでであって、一度契約が成立してしまうと、今度は国家(裁判所)が乗り出してきて、それに法的な拘束力が与えられますから、全不自由になってしまい、約束を破るとペナルティまで科されてしまうのです。


    トラブルを想定し、防止策を講じ、万一発生した場合に備えてこれだけ対応している、ということを、対外的にきちんと説明できるようにしておくことです。そして、「やるだけのことはやった」と言える状態を作ることは、法的責任を負わされる可能性を減らすことにもなります。キーワードはデュープロセス(適正手続き)です。意思決定に至るしっかりしたプロセスを踏むことでリスクを減らすのです。


    一般的には、「十分な情報・十分な検討」(手続き要件)によって、「合理的な判断」(実体要件)がなされれば、リスクコントロールができたと言えるでしょう。「十分な情報・十分な検討」には、社内のしかるべき部門の権限ある担当者が関与、判断、決定したかどうかがポイントです。


    法務とビジネス側と、どちらが主導して起案・交渉するべきでしょうか。結論としては、ビジネス側が主任となるべきです。ビジネスと契約書が切り離されてしまっては、両者がうまくかみ合わなくなることが危惧されるからです。さらに、契約書の起案作業は、交渉内容をビジネス側が自分で確認することにもなりますし、何よりも自らの「法務力」をOJTで、しかも専門家にサポートしてもらいながら鍛えることができる、実に貴重なチャンスなのです。


    他の部署をうまく巻き込んで調整し、法務担当者や弁護士をはじめとする専門家の力を借りながら段取り力をつけていく。それを繰り返していくことで、段取り力がついてきて、案件の見通しもつくようになり、ビジネスマンとしても成長できるのです。


    「守れることを約束する」ために、契約書には何を書くべきでしょうか。一つは、約束が守られるように強化・強制する方向の対策で、もう一つは、約束が守られそうにないときに約束自体を修正する方向での対策です。約束は守るのが大原則ですが、他方で両当事者にとってにっちもさっちもいかない状況になる前に、合理的な内容に約束を変更できるようにしておくことも、トラブル回避や約束を守らせる為に有効です。


    デュープロセスの過程を、反対意見を黙らせるプロセスと勘違いしないようにしてください。寧ろ、「十分な情報・十分な検討」のためには、反対意見もどんどん出させることが必要なのです。議論の過程で説得することはあっても、おどすようなことがあっては、合理的なプロセスと言えなくなります。単なるガス抜きではなく、反対意見を黙らせる機会でもない、リスクコントロールのためにデュープロセスを果たすのです。


    法律は、対立する利害を調整するために存在しますから、法律の目的、すなわち
    1.対立する利害は何か
    2.それはどのように対立しているのか
    3.それをどのように調整しようとしているのか
    という根本を具体的なイメージとして理解しておくのです。そうすると、たとえば「怒る人がいないかテスト」を使ってリスクを探すときに、「何かこんな利害対立を調整する法律があったなぁ、そこに何かリスクがありそうだなぁ」とか、「何か事前に届けないと処分されるルールがあったなぁ」と連想できるのです。さらに、法律知識があれば、そこから利害調整の手法が応用できるのではないか、というアイディアが湧いてきたり、リスクの根本的な原因を見つけ出して、小手先ではない根源的な対応方法を考える、リスク「コントロール」のきっかけになったりするのです。

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