- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022733177
作品紹介・あらすじ
「所得の格差」が「いのちの格差」まで生む「健康格差社会」。高齢男性の低所得者は「うつが7倍」「死亡率が3倍高い」のはなぜ?それだけではない。「負け組」だけでなく、「勝ち組」さえも病んでゆく。だれもが不健康になっていくのが、「健康格差社会」のほんとうの恐さ!米国に追随し、日本もそうなりはてるのか。処方箋はないのか。
感想・レビュー・書評
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今まで健康に関する本をたくさん読んできたが、そのほとんどは個別の症状に関するミクロな視点の本だった。
この本は、健康というものをデータに基づき、社会的にマクロな視点から考察している。
社会経済的地位の高さと、健康状態の良さに相関関係がある、という事実を起点にして、各章でさまざまな視点から論じている。
色んなデータが提示されており、それぞれが興味深い。
「社会疫学」というものにこの本で初めて触れたが、入門書として分かりやすかったと思う。
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前半は貧困やストレスなど社会の負の側面が立場の弱い人に集中し、健康格差を生んでいるという「事実」が紹介されている。
因果関係の問題や影響の経路を丁寧に説明していて、内容的に誤解や批判を受けやすいのだろうと感じた。
最終的には、経済重視から健康と幸福重視への転換や大きくかつ効率的な政府の実現、省庁横断的取組みといった政治哲学的な話になり、既視感と無力感を感じつつ読了した。 -
健康は生活習慣の問題がおおきい。そうおもっていたがそうではないらしい。健康ゴールド免許も同様の視点からつくられた制度だろう。習慣が健康かどうかを決めるのではなく、生まれた瞬間から健康格差が存在しているという残酷な現実を豊富なデータをもとに紹介。たとえば所得の低い人ほどがんになったり脳卒中になる確率が高い。がんになるから所得が低いとかではなく結果としてである。格差には相対格差と絶対格差があるが、人間は社会的生物であるので相対格差のおよぼす影響が甚大。大昔にくらべれば絶対的な健康レベルはあがってるだろうけど相対的格差の拡大によって人の健康に格差がうまれる。健康格差とは「命の格差」であるという重い指摘が印象にのこった。
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うーん。結局のところ、原因の原因に対処しないと解決への糸口は掴めないのかな、と思いました。