新書229 若者のための仕事論 (朝日新書 229)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022733290

作品紹介・あらすじ

仕事は人生の喜びを深くする。大きな仕事を成し遂げて、仲間と分かち合う喜びは、さらに深い。ただし、その喜びは、努力を重ねた先でしか味わえない。仕事の迷い、焦り、不満が消えていく、伊藤忠商事・丹羽宇一郎の「仕事哲学」。

感想・レビュー・書評

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  • 【感想】
    人生における仕事のウエイトと、仕事を通じて味わえる喜びについて熱弁している1冊。
    8年前くらいに大学の図書室で読んで以来、幾度となく再読している。
    正直時代が違うので丹羽さんの若い頃のような青臭さは到底真似できないが、時代が変われど仕事への思いの根幹は変わらないものが多い気がする。

    文句を言わずにまずは身を粉にして働いてみる。
    働きの中から何かを見出し、自分を磨いていく。
    「自分はこれだけやったんだ」という強烈な自負心を抱くぐらい、仕事や成果構築に没頭する。

    読んでいると熱血すぎて湯当たりしそうになるが、まずはこれくらい「働きマン」になってみるのも悪くないかなとも思えるね。


    【内容まとめ】
    1.人は仕事、読書、人で磨かれる。

    2.まずはアリのように泥にまみれて働け
    ごちゃごちゃ言う前に、身を粉にして働いた方が、はるかに実力をつける事ができる。入社して10年間は、アリのように働く。
    任された仕事を泥にまみれながらやり遂げ、上司の予想以上にしっかりと心配りをして仕上げてくる。
    上司が言い忘れたことや言おうと思っていたことまで手抜かりなく完璧に仕上げること!

    3.まずは謙虚に、すべてを吸収するつもりで努力してみること。
    10年経てば、「俺はこれだけやったんだ」という自信が生まれてくる!
    周りに何を言われてもアタフタしないし、自分の信念に従って行動できるようになる!

    4.とことんまで鍛えた人は、「これだけ練習を積み重ねてきた」という自負心が底力となり、精神的に相手よりも優位に立てる!
    何事も、「やれるもんならやってみろ!」と人に言えるまで、自分を鍛えなければいけません。

    5.「くれない症候群」から脱却せよ!
    一度、「それは自分のせいではないか」と頭を切り替えて考えてみること。

    6.クリーン、オネスト、ビューティフル「清く正しく美しく」は人間にとってとても大事なこと!
    後ろめたい事が何もないと、全部オープンにできる!
    なんでも思い切って言えるし、自信をもって仕事に取り組めるようにもなる。
    もし批判されても、これは仕方がないと割り切る事もできる。

    7.「隣の人と競争したってしょうがない」
    日本の若者は、世界の若者に伍して闘うくらいの気力がなければいけません。
    会社の中で一番だ二番だと言っていても、コップの中の争いなど無意味である。
    世界にはもっと気力のある優秀な人材がゴロゴロいるのですから、そうした人と研鑽し合ってこそ自分の成長につながる。

    8.DNAのランプをともせ!
    しんどいメニューを疲れて倒れても続ける。
    さらに続けると、疲れを超越して、無我の境地に至る。
    努力を努力と思わなくなるまで、当たり前になるまで続けてみること!

    9.何のために働くか?
    自分を磨き、皆と喜びを分かち合うため。
    働くとは、「傍(ハタ)」を「楽(ラク)」にすることです。



    【引用】
    人は仕事、読書、人で磨かれる。

    1番伝えたい事は、仕事を通して味わえる素晴らしい喜びについて。
    仕事力をつけて、大きな仕事を成し遂げられるようになれば、それに伴って味わえる喜びは大きく深くなっていく。


    ・今の若者は伝書鳩?
    上司に言われたことを伝えるだけで戻ってくる。
    何か問題が起きても、自分の頭で考える事をしない。
    周囲におもねることなく、妥協することなく、青臭い正義感を発揮してみては??

    職場で誰も評価してくれないのなら、それを周りの理解不足のせいにするのではなく、自分の力不足だと考えて努力を始めればいい。
    自らを省みるところに、成長のチャンスはある!


    ・まずはアリのように泥にまみれて働け
    ごちゃごちゃ言う前に、身を粉にして働いた人の方が、はるかに実力をつける事ができる。
    少なくとも入社して10年間は、アリのように働きなさい!

    任された仕事を泥にまみれながらやり遂げ、上司の予想以上にしっかりと心配りをして仕上げてくる。
    上司が言い忘れたことや言おうと思っていたことまで手抜かりなく完璧に仕上げること!


    ・評価されることだけが目的ではない
    まずは謙虚に、すべてを吸収するつもりで努力してみること。
    10年経てば、「俺はこれだけやったんだ」という自信が生まれてくる!
    周りに何を言われてもアタフタしないし、自分の信念に従って行動できるようになる!


    ・川上哲治と宮里藍
    心身を鍛錬していない人は、ちょっと調子が悪くなっただけで「へなへな」になってしまう。
    一方、とことんまで鍛えた人は、「これだけ練習を積み重ねてきたんだから」という自負心が底力となり、精神的に相手よりも優位に立てる!

    何事も、「やれるもんならやってみろ!」と人に言えるまで、自分を鍛えなければいけません。


    ・「くれない症候群」から脱却せよ!
    一度、「それは自分のせいではないか」と頭を切り替えて考えてみること。
    すべては自分に負けているということの言い訳でしかない!

    一度自問をしてみたら、それが成長するためのステップとなるはず!


    ・言いたい事は言えばいい
    ストレスを溜め込んで、唯々諾々と従えということではない。
    言いたい事はどんどん言えばいい。
    自分が本当にアリのように働いているのなら、それが自負心となって、不正に立ち向かう勇気や気概が生まれてくる!

    間違った自信だとしても、言いたい事を正々堂々と伝えればいいのです。
    1番いけないのは、言いたい事も言えずに愚痴や不満を自分の内部に抱え込む事。
    そんな風に働いても良いことは一つもありません。


    ・クリーン、オネスト、ビューティフル
    「清く正しく美しく」は人間にとってとても大事なこと!
    後ろめたい事が何もないと、全部オープンにできる!
    なんでも思い切って言えるし、自信をもって仕事に取り組めるようにもなる。
    もし批判されても、これは仕方がないと割り切る事もできる。

    ミスをした時、批判も怒声もすべて受け入れるしかない。
    カッコ良く見せようとか、能力があるように見せようとすると、どこかで必ず綻びが出てくる。
    いつも等身大の自分でいること!
    そして何より、その等身大の自分を磨く事を考えなくてはいけない!!


    ・アリ、トンボ、人間になれ。
    アリは、泥まみれになって小さな存在ながら地を這い、ドブ板を踏んでアリのように働くこと。

    トンボは、複眼的な広い視点でモノを見る事ができること。
    自分や相手の視点など、様々な角度から検証し、あらゆる可能性を探る姿勢。

    人間とは、血の通う、温かい心を持った人間になれるかということ。
    精神的にも鍛錬を積み、人を知り、人間というものの本質を探っていく。


    ・人間も「ブランド」が大事!
    「あいつの言う事だから間違いない」
    「あいつの言う事だから聞いてやろう」
    そう思ってもらえる関係を築く事が大事。
    人間関係の根本にあるのは、いつの時代も「信頼」なのです。

    嘘をつかないのは勿論ですが、その国の繁栄のため、社会のため、人々のためになる仕事をすれば喜んでもらえる。
    そうして信頼されれば更に良い仕事ができる。


    ・隣の人と競争したってしょうがない
    日本の若者は、世界の若者に伍して闘うくらいの気力がなければいけません。
    会社の中で一番だ二番だと言っていても、コップの中の争いなど無意味である。
    世界にはもっと気力のある優秀な人材がゴロゴロいるのですから、そうした人と研鑽し合ってこそ自分の成長につながる。


    ・真のエリートとは
    人の喜びを自分の喜びにできる人。
    自分の栄達や成功のみを目的にするのではなく、多くの人と幸せや感動を共有できる人間、またその為に働く人間。
    そういう心持ちで働いていると、周りは一層あなたに期待するため、良いサイクルが生まれる!


    ・まずは今の環境でガムシャラに。
    希望の部署には入れないからってブスッとしないで「一生懸命やります」と明るく言う。
    自分の取り組み方次第で、どんな仕事だってやり甲斐が生まれる!
    自分で何かを学ぼうと鍛錬する人は、たとえその会社をクビになっても引く手数多になるはずです!

    北風に向かって歩くような、苦しくて厳しい環境に、金を払ってでも勤めるべきである。


    ・DNAのランプをともせ!
    しんどいメニューを疲れて倒れても続ける。
    さらに続けると、疲れを超越して、無我の境地に至る。
    努力を努力と思わなくなるまで、当たり前になるまで続けてみること!


    ・人間の底力=労働×時間
    しんどい経験から、自分の仕事に自信を持つ事ができる。
    「俺はこれだけやった」という自負心が芽生える。
    「俺の代わりにやれるものならやってみろ」という気持ちも芽生える。

    ただ、それを周りに吹聴しない。
    それだとただの自慢したがりで、それを自負心とは言わない。
    内に秘めた自信を、自負心というのです。


    ・何のために働くか?
    自分を磨き、皆と喜びを分かち合うため。
    働くとは、「傍(ハタ)」を「楽(ラク)」にすることです。


    ・人は読書で磨かれる。
    読書の効用の一つは、論理的思考が養われるということ。
    目次をじっくり読むこと。
    筆者が何を言おうとしているのか、どういう構成で話を展開させようとしているのか。
    目次を見て大枠を頭の中に入れる。


    ・会社において、自分の評価など何の足しにもならない。
    自分の能力は他人がするもの。
    そして会社では、明確かつ一定の評価基準があるわけではない。
    自己評価をせざるを得ないところもあるが、それはえてして他人の評価よりも高くなりがちです。

    会社における評価の基準とは?
    →周りからどれだけ必要とされているか。
    →この人だから任せよう、あなたがいないと困ると思ってもらえるような人間になること。


    ・自分の信念に従って生きる
    この信念とは、自分本位の考えの事ではない!
    客観的に見て、それが人や社会のためになっているのか?そこが基準!

    ただ、、、
    自分の信念を貫く事はとても大切ですが、それで人間関係がどうでも良いというわけでは決してない。
    人間は周囲の人から少なからず影響を受け、学びながら大きくなっていくものです。
    自分一人だけで何かをやっていると思ったら、それは大間違いです!


    ・部下を育てる3つの基本原則
    「認めて、任せて、褒める」
    人間は誰だって自分の能力を認められ、責任ある仕事を任され、そして「よくやった」と褒められれば嬉しい。

    しかし、褒めすぎはNG!
    ゴマの風味は、ほのかに漂うから良い。


    ・誰にでも、自分よりも優れた部分が必ずある!
    人間関係がうまく成立しないのは、双方に原因がある。
    人は誰でも自分にはない良さや優れた部分があるもの。
    それを見出すことが肝要です。


    ・不自由を常と思えば不足なし
    贅沢には天井がない。
    不便を感じても、これが普通なんだと割り切れば何とかなる。


    ・清く正しく美しく
    着飾らず、見栄を張らず、あるがままの自分で生きていく。
    等身大の自分で生きていくことは、本当に清々しく、また気楽なものです。

    何者にもなっていない自分を大きく美しく見せようとするのに汲々とするのではなく、あるがままの自分、等身大の自分を少しずつ大きくしていこうと思って、日々を過ごせばいい。

  • 家に転がってるリサイクル本を消化していくシリーズ

    昔デート中に立ち寄った原宿の図書館で拾ったと記憶している本書。

    まあもう自分自身が若者ではなくなってきているわけだが、まだまだ未熟ということでええやろ。

    若干というか大部分は老害意見というか前時代的なご意見であまり現代社会にそぐわない価値観であったが、まあ清く正しく美しく、嘘偽りなく仕事しようというのは良い仕事哲学だと思いました(小並感)

  • 昨今の挑戦しない内向きな若者に対する喝本。
    仕事に対する向き合い方は学べる部分が多い。ただ丹羽さんのいう通りにしたら仕事が人生の9割を占めることになりそう。人間には色んな幸せのあり方があることを踏まえてほしい。

  • 就活の際の参考本として読了。
    伊藤忠商事出身の丹羽さんの本は、マインドセットにオススメです。

  • 著者が危惧している点。人口減少社会。国の借金。教育。いずれも早急な対策が必要であるが、速効性の対策は無い。

    若いうちは泥まみれで働く。というのが著者の言葉。その仕事は10年も続かない。そのうち、少しずつ責任ある仕事を任される。
    評価されることが目的ではない。
    ありのままでいること。下手に嘘はつかない。
    一流に触れることは重要である。
    継続は力なり。
    読書を続けること。
    自分の評価は他人が決める。

  • 若い人に向けた仕事への取組みを説いた本です。

    人は仕事で磨かれる、人は読書で磨かれる、人は人で磨かれる。

    気になったポイント:「清く正しく美しく」、「自分を磨くために働く」、「仕事の評価は他人がする」、「努力を努力と思わなくなる近道は、それを好きになること」

  • どんな職にも通ずる心構え。
    ・謙虚に全てを吸収するつもりで10年間努力する
    ・隠し事をしない
    ・言いたいことは言え
    ・ごますりは間接的に行え
    ・不自由を常と思えば不足なし

  • 人から勧められて読んでみたが、なかなか面白くてスラスラ読んでしまった。商社マンが中国との外交官になったと話題にもなったこの人の考え方を垣間みれて面白かった。会社に入る前に「ある考え方」として頭にいれて置いた方が良さそうな情報がいくつかあり、モチベーションがあがった!
    正直者でありつづけ、アリからトンボへ、最後は人へ。

  • 素直に。うそをつくな。人を思いやる。
    とても基本的なことであるがそれが人生においてもビジネスにおいてもまず第一ということがベース。

    伊藤忠社長まで登りつめるまでの経験やその中で得た考え方を本書で知れることは若者にとっての“一つ”の行動指針になると思う。

    負けてたまるか!

    というタイトルが今の自分の心境と被り購入。

    内容もタイムリーだった。

  • 人は仕事・読書・人によって磨かれる。

    何のために自分を磨くのかというと、それは自身が成長する喜びのためと解釈しました。

    読んでいて最も自分の心や経験と共鳴した3つは下記の通り。

    ●「小さい頃に言い聞かせられたことというのは、いつの間にか自分の潜在意識に刷り込まれているものです。」

    ●「人は自分の心の鏡です。」

    ●「人は誰でも自分の持っていない良さや優れた部分があるものです。~。探せば必ず学ぶべき点があります。それを見出すことが肝要なのです。」

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著者プロフィール

丹羽宇一郎(にわういちろう)
公益社団法人日本中国友好協会会長。一九三九年愛知県生まれ。元・中華人民共和国駐箚特命全権大使。名古屋大学法学部卒業後、伊藤忠商事(株)に入社。九八年に社長に就任すると、翌九九年には約四〇〇〇億円の不良資産を一括処理しながらも、二〇〇一年三月期決算で同社の史上最高益を計上し、世間を瞠目させた。〇四年会長就任。内閣府経済財政諮問会議議員、地方分権改革推進委員会委員長、日本郵政取締役、国際連合世界食糧計画(WFP)協会会長などを歴任ののち、一〇年に民間出身では初の駐中国大使に就任。現在、一般社団法人グローバルビジネス学会名誉会長、伊藤忠商事名誉理事。

「2023年 『仕事がなくなる!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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