闘う! ウイルス・バスターズ 最先端医学からの挑戦 (朝日新書)

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  • 朝日新聞出版 (2011年1月13日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022733764

闘う! ウイルス・バスターズ 最先端医学からの挑戦 (朝日新書)の感想・レビュー・書評

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  • 河岡先生の実に面白いウイルス学讃歌。基礎医学、基礎医学者生活の面白さをこれでもか、と教えてくれる。絶対、買いです。

    いろんなところで書いたり言ったりしてるけど、僕は学生時代基礎医学志望だった。なんというか、なりそびれて、今の自分があるのだけど、基礎医学に対するシンパシーは今も昔もとても強い。僕が基礎医学に手を出さないのは、その深遠さ、偉大さのためであり、一朝一夕で「やったふり」をしてはいけないと自覚しているからである。本書でも満屋先生が、「常に研究していないとだめだ」とおっしゃっている(p221)が、その通りだ。臨床屋が片手間、ついでに基礎の世界に足を突っ込むのは失礼だと思う。逆もまた真なりだけどね。クリニシャン・サイエンティストみたいな言葉を軽々しく使うのはよくないことだ。普通は、どっちかが(あるいはどっちもが)「いんちき」である。僕自身は、臨床も研究も教育も中途半端ないんちきな医者だなあといつも思う。

    それはさておき

    興味深かった点を、つれづれに
    ・BSL3ではN100を使うこと 
    ・ギャロ、モンタニエのHIV発見秘話と特許の話。
    ・神戸大学の新矢恭子先生あちこちで大活躍の話(本書の隠れた主役。先生、いつもお世話になっています)。
    ・口蹄疫対策の秘話。僕も動物は素人なので、この対談はとても勉強になった。ちなみに河岡先生も自身を「素人」と称されているが、(p194)これはとても誠実な態度だ(前書き代筆もカミングアウトしているし)。河岡先生、男気あるぜ。ワクチンといい、屠殺処分といい、人間の感染症屋では全然太刀打ちできない動物感染症の難しさがある。本当に勉強になった。鳥インフルエンザについても、同様。これも勉強になった。
    ・満屋先生の対談はHIV・AIDS屋は必見。ぼくはダルナビルも満屋先生開発とは恥ずかしながら知らなかった。黎明期のHIV・AIDS期は研究者も感染経路がわからず命がけである。僕の元師匠もNYで患者を見ていて身の危険を感じながらやっていた。一時期、HIV研究者バッシングが起きたが、彼らの努力が今のART時代を作っていることに、臨床家はもっと自覚的に、そして謙虚であるべきだ。
    ・金沢大谷内江先生、北大喜田先生など、お世話になっている先生が多数登場。谷内江先生は全然関係ない領域で(FMF)お世話になっており、本当にシンクロニシティーを感じる。

    臨床屋の最大の美徳は、「他者の話を聞く」姿勢にある。基礎医学者を毛嫌いするような古い臨床医学のドグマはもうたくさん。他者を愛そう。自分たちの持っていないアセットを持つ人たちを素直に尊重し、協働すべきだ。基礎医学の発展なくして臨床医学の発展もないのだから。

  • 新書文庫

  • ウイルス研究者である著者2人が、2009年のインフルエンザの世界的パンデミックに研究者がどう立ち向かったのか、ウイルス研究者を目指すようになったきっかけ、研究者にとっての発見の喜びなど、雑多な内容を広く浅く記したエッセイ風読み物。

    新書という媒体や軽い文体から、専門知識のない素人を対象にしているのは明らかだが、それにしては、そもそもウイルスとは何なのか、ウイルスと細菌はどう違うのか、などという基本的な点の説明なしにウイルスについて語られるので(評者はこういった本を手に取る程度には自然科学には関心があるが、ウイルスと細菌の違いは正確に理解していない)、読んでいて少々気持ち悪かった。素人にとっては説明不足だし、玄人にとっては恐らく当たり前のようなことばかり書かれていて、どっち付かずで、読者ターゲットを絞りきれていない印象だ。

    ただし、世界で最初にエイズ治療薬を発見した日本人の世界的ウイルス研究者や、宮崎県における口蹄疫大流行の最前線で活躍した農水省の役人らとの対談は面白い。専門知識がなくとも、やはり人間ドラマは面白いのだ。こういった対談を集めた本ならば、また読んでみたいものだ。

    (2014/2/20読了)

  • コンピュータウイルスではなく、本物のウイルスについて調べてる研究者たちの本。
    ウイルスについて一般的な知識がある人ならさらっと読める感じ。

  • 大学等でウイルス研究をする人の研究を始めたきっかけやその魅力、体験談などの紹介が良かった。

  • 2004年の京都の高病原性鳥インフルエンザ発生の後始末に2008年までかかった話など、最先端の研究と、現場の泥臭い話と両方に関わっているひとのインタビューが読めて面白かった。

  • ウイルス研究者たちの生の声が聞こえてくる本。
    やっぱり基礎は臨床と全く違い、ものすごく大変だ。当たり前だけど。

    口蹄疫の収束に携わった人やHIV薬の開発者のインタビューも面白かった。

    なるほどと思った内容を思いつくままに挙げると
    「殺処分など事態に全力で取り組んでいるときに、外野からの批判が現場の士気をそいでしまう。」
    「批判や検証は必要だが、それは今まさに喫緊でやらなければいけないことではない。」

    同じような批判は今回もあった気がする。というか毎回あるけど。
    (例えば)殺処分云々はかなり専門的なことで、非専門家がどうこう批判するのは無理だし無責任ですらある。
    外野の非専門家はマスメディアに踊らされずに事態を見守っていくことしかできないのではないか。
    少なくとも現場で頑張っている人たちにマイナスとなってはいけない。

    「誰でも5年に1度くらいは幸運の女神が訪れる。招き入れることができるかどうかは日々の努力次第。」
    これもいい言葉。

    「アメリカの研究所はサポートが手厚くて、実験のスピードが3倍で進む。」
    3倍か。赤い彗星みたいだな。

  • 山陽新聞2011.02.24夕刊「そと読み2冊」佐藤淳子・文より。

    《こちらは冒頭で、米中央情報局(CAI)の諜報員が研究室を訪ねてくるスリリングな展開。シロウトにはとっつきにくい研究の現場を、読者の注意をそらすことなく、門外漢にも理解可能な言葉で活写している。》

  • 筆者の「ウィルス研究してる人達に興味を持ってほしい」という目的は果たされたと思う。
    面白かった。

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闘う! ウイルス・バスターズ 最先端医学からの挑戦 (朝日新書)の作品紹介

人類の脅威、ウイルスを追いつめるウイルス・バスターズ!世界のトップ研究者たちの闘いとは!?鳥インフルエンザ、SARS(サーズ)、HIV(エイズ)-次々と登場する恐るべき感染症。ナノメートル(100万分の1ミリ)単位の微細な敵に最先端の学者は、日々、大いなる挑戦を続けている!ロベルト・コッホ賞受賞の世界の権威と、気鋭の女性研究者が、闘いのすべてを明かす。

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