最高裁の暗闘 少数意見が時代を切り開く (朝日新書)

  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022733788

作品紹介・あらすじ

いまなぜ最高裁の「暗闘」なのか。15人の最高裁判事は思想も個性も異なる。ヴェールに包まれた最高裁の真相や内実に少しでも迫る一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 最高裁について知らないことばかりでした。
    小法廷とは部署の単位で、そこで裁判する裁判官は裁判によって変わるのではなく、いつも同じ裁判官が務めていること。どのような決断を下すかは多数決であるため、裁判官の間で駆け引きがあること。
    調査官室というのがあり、そこの調査官が、まず判断をした報告書が裁判官に提出され、その内容に裁判官が同意した場合は、その内容で判断が下されること。
    裁判官は複数の出身母体があり、弁護士から裁判官になるのは弁護士会から推薦を受けた人であること。
    タイミングによっては在任中に、一度も国民審査を受けない裁判官もいること。

    最高裁の判断が変わってきたことについて、海外に住む日本人の選挙権、一票の格差問題など具体的な事件を上げて、開設されているが、それよりも上記について印象が残りました。これからは、最高裁判決が出たら、裁判官は誰で、どのような判決、どのような反対意見が述べられたのかを、チェックするようにしよう。

  • これ、タイトルで損してるよな。タイトルを見ると、最高裁判所がいかにひどいところかを暴いたものと思うよね。
    実際は真逆。どちらかと言えば最高裁判所に寄り添いながら、様々な判決の過程を詳細に描いた、良質のルポルタージュ。

    本論とは逸れるけど、登場する人物の紹介がなんだかかっこよくて燃える。

  • 最近の最高裁の判断について、朝日新聞記者が書いたルポ。
    最高裁判事に着目しつつ、各判断においてどのような立場をとったのかを踏まえながら分析した本。
    新書という形式なので網羅的ではないし、適切ではないと思われる部分もあるものの、裁判体の判断にいたる過程について、退官した裁判官に取材をして、明らかにしている。
    普通の最高裁批判本とは一線を画した良作だと思います。

  • イマイチ。後半が退屈。

  •  最高裁は顔が見えないといわれるが,この本は丹念な取材によってその内幕を垣間見せてくれる。調査官の報告書そのまま,というのではなく裁判官の個性が反映された判決も最近は多いようだ。ここ十年ほど,最高裁による違憲判決も増え,反対意見や補足意見をつける裁判官も多くなり,司法も変わってきている。
     アメリカの連邦最高裁ほどではないにしても,国民審査が十分活かせるような,もっと透明性のある最高裁を希望。

  • 最高裁ってお堅い、しかもほぼ同思想の方の集まり、いいところ弁護士VS司法官僚の争いがあるくらいと思っていました。最高裁判事の皆さんのお人柄が、なんとなく伝わってきました。後は、最後に紹介されていた書籍を読み倒すだけ。なんだけど、いつできるか…

  • 三権分立の中で、行政と立法に比べ、司法に対するメディアの関心は相対的に薄いように思う。
    本書は、過去の最高裁判事の思考傾向(極端に言うと人間性)や違憲判決の舞台裏等、非常に興味深い内容になっており、司法がいかに重要な役割を担うかを再確認することができる。
    外国編では、アメリカ女性が勤労所得の男女不平等ついて起こした訴訟が紹介されている。
    「私はずっと子どもの学費を支払うために働いてきたのです。賃金の差は、子どもたちの教育の質に直結する。家族のために、何とかしなければと思った。」
    勤労所得の不平等というと、同じ仕事内容に対して賃金に差があるということのみで思考が止まってしまいがちだが、この言葉を読んでハっとした。

  • 国籍法,在外邦人,選挙定数,死刑,林試の森…などなど,勉強して何だか一生懸命読んだ判決の舞台裏とかがとても興味深かった。
    良い本でした。

  • 最高裁の多数意見がどのように形成されていくのか、
    少数意見がどのような意味を持っていくのか。
    緻密な取材に基づいて記載されており、著名判例についても
    多く触れられていて、
    興味深かった。

  • ・21世紀に入ってからの10年間で最もインパクトの大きかった最高裁判決は,05年9月の大法廷判決(在外選挙権制限の違憲判決)だったと言ってよい。
    ・最高裁は多数決の理論で動くが,多数派になれなくても少数意見を書いて残すことができる。後に少数意見の方が正しかったということもある。そこに最高裁の正統性の担保がある。(阿川尚之)

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