歴史を動かした会議 (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022733917

作品紹介・あらすじ

信長の後継者になるために秀吉が行った周到な根回し、海軍創設を急ぐ勝海舟が言い放った大言壮語、坂本龍馬に学ぶ交渉術の数々…。偉人たちは会議を制するために何を言い、どう動いたのか。歴史の流れが変わる時、常に「会議」があった。日本史を人間ドラマで読み解く。

感想・レビュー・書評

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  • 会社の会議は長い。それでいて本来の目的であった活発なディスカッションの後に結論を導き出すというプロセスも結果も得られない事が多い。そこで自分たちで会議を活性化するにはどうしたら良いかプロジェクトを立ち上げたが、目的に賛同して参加してくれたメンバーは私含めたったの4人。100人近い部員がいるのだが。だが気づいた事がある。明確に会議を改善したいという目的意識の下に集まったメンバーだから、その会議たるやお互いに考えや意見をぶつけ合い必ず成果結果を出しているという事実はある(自分たちがやると言った手前、喋らないわけにいかないのだが)。毎年会議の問題点を整理して課題化し対策を打って発表している。残念ながら効果は数値化できていないが、自分たちは納得している。
    日本人は会議好きと言われるが、過去の歴史には転換点となった重要な会議が沢山あった。古くは大和朝廷の時代から明治維新の近代日本に至るまで、歴史の流れを大きく変える議論や決断がなされてきた。会議の参加者はそれぞれに役割がありファシリテーターの実力次第で主催者の意図に沿った形(思惑)で終わる場合もあれば、力の強い参加者の意見に引きずられ意図せぬ結果に終わる事もある。何らか意図がある場合には必要なのは根回しだ。根回しが充分に行われた会議は開催前から勝ったようなものだ。古くからその重要性に気付いたものは時に会議により覇者になる。会議は如何に準備できているかが勝負だ。加えて優秀なファシリテーターは場の空気感を読み上手くアイデアや意見を引き出してくる。
    前述した様なただ長いだけのダラダラ会議になるのは何故か。言い出しっぺになるのを恐れているか、会議に参加したくないかのいずれかが多いと思われる。前者は戦国時代のようにどちらの味方に付くかによって自国の滅亡に繋がるような重大な会議ではよくあった事だろう。後者は現代の会議でもよく見られる内職をしてるようなものだ。こう言った人に対しては、会議に呼んで合意形成したはずなのに、あたかも(実際に)聞いてなかったかのように簡単に事後の反対勢力に回ったりする。これも巧妙なファシリテーターなら例え相手がウェブ会議の画面非表示状態でも果敢に話を振っていく。そうする事で全員参加の緊張感を醸し出し考えさせるのだ。だがそもそもは事前にしっかりと役割定義を決めた上で参加人数を絞る方がより活発な議論になる。決も早い。注意点としては、特に何らかの意図がある場合に自分たちに不利な考えを持つ人間を始めから外す事は絶対にしてはいけない。決を必要とする会議では当然なのだが案外意図的に呼ばない会議は多い。
    歴史においてもそのような会議の後には必ずいざこざが発生するし、現代ビジネスでも問題を引き起こす1つの要因となる。
    適切な参加者、優秀なファシリテーター、空気感にも影響する会議のルール、そして事前の根回し、決定事項の早急・確実な実践、これらが揃った会議ができる組織は強い。
    と、会議の話ばかりに終始したが、そういった内容を歴史上の会議を例に出し、何が良くて何が悪かったかを説明していく。少しわかりづらいのは歴史をよく知っている人間なら容易に頭に入ってくるが、歴史に疎い人にとってはやや背景や人間関係が入ってこないため難しい面もある。
    本書を読んで学校でも職場でも役立つシーンは多いので、是非自分たちの会議でそのように出来るようテクニックを磨くと思って身に付けると良い。

  • 国の存亡や人の生命がかかるような歴史上の会議と、その結果をわけたポイントを抽出している。今にも通ずる基本的な会議の作法から、根回し、かき回し、意表をつくなどの手法がとられた会議も紹介されている。歴史を会議の面から見るというのも面白い。

  • 仕事に使えそう

  • タイトルに偽りアリ、会議の本でない

  • 歴史から様々な時代・人物の「会議」を読み解き、会議における「要諦」を整理しようとする試みの書。
    時代背景がわからない人が読むと(自分にも結構わからない箇所あり… ^^;)、そこから読み取れる会議の要諦が何なのか、までわからないまま終わってしまう。
    時代背景のわかる部分は、なかなか面白く読めた。

  • 会議は踊る されど進まず―とならないようにはどうしたらよいかのヒントが詰まった本。概して日本人は会議が苦手(無駄な会議が多い)なんだと思うんだけど中にはうまい人もいたんだなー。

  • 題名だけ見て買った小生がいけないのですが、期待していた内容と中身が異なり、ややがっかりしました。歴史小説の要約の寄せ集めに、初歩の経営学の教科書の教訓を苦労して貼り付けた様な本でした。
    副島種臣の話などをもっと精緻に追い掛けて欲しかった。

  •  本書もタイトルに惹かれて読んでみたものです。
     ひとつの「会議」の成り行き次第でその後の歴史が大きく変わった、そういう実例を数多く紹介し、その中から「会議」を有利に導くためのポイントを指摘しているのですが、ちょっと短絡的な立論といった印象を受けました。もっとリアリティのある具体的かつ詳細な史実の掘り下げにチューンして欲しかった気がします。

  • 深堀が足りない。着眼点は、面白い切り口だったのでもったいない。でもまあ興味あれば楽しめる。

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著者プロフィール

加来耕三(かく・こうぞう)
歴史家・作家。1958年大阪市生まれ。奈良大学文学部史学科卒。同大学文学部研究員を経て、著述活動に入る。『歴史研究』編集委員、中小企業大学校の講師などを務め、テレビ・ラジオ番組の監修・出演など多方面に活躍している。
主な著書に、『天才光秀と覇王信長』(さくら舎)『日本史に学ぶ一流の気くばり』(クロスメディア・パブリッシング)『歴史の失敗学』(日経BP)『紙幣の日本史』(KADOKAWA)『明治維新の理念をカタチにした 前島密の構想力』(つちや書店)『利休と戦国武将 十五人の「利休七哲」』(淡交社)『1868 明治が始まった年への旅』(時事通信社)『西郷隆盛100の言葉』(潮出版社)『坂本龍馬の正体』(講談社+α文庫)『日本史は「嫉妬」でほぼ説明がつく』(方丈社)『刀の日本史』(講談社現代新書)ほか多数。監修に、『橋本左内 時代を先取りした男』(扶桑社)『日本武術・武道大事典』(勉誠出版)などがある。

「2020年 『歴史に学ぶ自己再生の理論[新装版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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