- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022733979
感想・レビュー・書評
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中東の石油は硫黄などの含有率が高く純度が低いが、日本は早くからそれを除去する技術を開発していたので石油の中東依存度が高い。一方で中国などはその技術がないので、純度が高い石油を産出するアンゴラ・スーダンなどからの輸入が多いという話は「なるほど」と思った。
中東政策が「アメリカの顔色を見つつ、場当たり的」(p.193)というのは、きっとそうなんだろうなあ、と思う。そこで著者は「世界を振り回し続けてきた中東の安定を、確固たる戦略や理念の下に追求していくべきだろう」(p.193)という。まあでも、だからといってアメリカじゃなくて中東の顔色を見るようになったらいいかというとそういうものでもない気がする。
でも、アメリカじゃなかったらどこと協力関係を深めていくかという点について、たとえば総選挙とかでほとんど議論になることがない。ま、ずっと自民党政権だったからか。それでやっと2009年の選挙のときに普天間移設問題をテコに脱アメリカ的な方向性が模索されたけど、あっさりとしぼんでしまったし、しかもメディアも国民もよってたかって鳩山を「嘘つき」みたいに扱って引きずりおろしたんだから、「アメリカ依存」の根は深いんだろう。外交政策の方向性が良いか悪いかではなく、政治家としての「言葉」の重さのほうが重視されるのはどうなんだろうか。人間なんだから、うまくいかないこともあるし方向転換もそりゃあるだろうよ。まあ、期待して裏切られた沖縄の人たちは、怒っても当然だったとは思うけど。
と、話がそれてしまった。中東については全然知らなかったので、よい勉強になる手頃な入門書ってことで、よかったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
夏にカタールに行き、初めて中東を身近に感じた。本文中にあるカタールの様子はまさにその通りであった。一部の富裕層とそうでないものからなる格差社会がそこにある、ということがわずかに垣間見られらた。
日本のエネルギー対策では欠かせない存在である中東。しかしアメリカの顔色を見ながら場当たり的な中東政策をやってきた、と文中で指摘している。