他力本願のすすめ (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022734426

作品紹介・あらすじ

人生に失敗や挫折はつきもの。でも、著者は、むしろ失敗することによって人生の扉が開いてきた、と語ります。失敗することで、見えてくる景色がある。分かる気持ちがある。それが次に生きてくる。失敗さえも、天から与えられたご縁-。そんなふうに、見方を少し変えてみるだけで心の荷物は降ろせるのです。

感想・レビュー・書評

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  • 実は宗教書ではない。
    むしろもっと広く、対人関係や生き方について、「ハッとさせられる」視点を提供してくれるなかなかの一冊。

    「自力」は「努力でどうにかなる」と考える。
    「他力」は「努力ではどうにもならないことが多く存在するが、それらは(仏から)何らかの意味を与えられている」と考える。

    つまり、ただ単に「頼る」のではなく、「他者に委ねている感」からスタートして、日々を生きてみようという提案。

    実際、毎日を生きているとしんどいことは多い。
    勉強しても、働いていても、ただ生きていても、しんどい。
    この本を読んで思ったのは、「努力すれば何とかなると思ってるからこそ、しんどく「なってる」ことも多いなぁ」という点。

    もちろん努力が無駄なのではなくて、
    視点を変えるだけで、努力が楽しくなるような、そんな気分です。

  • 所要時間:3.5
    印象的な文章:生きているから、何かしらのことができているのだ。「ただありのままに生きる」ことで、周囲に勇気や力を与えたり、さまざまな感情を呼び起こしているのである。決して、「なりたい自分になる」ことだけか重要ではないのだ。むしろ、そうなれなかった場合にこそ、思いもよらない楽しみや未知の能力が開発される喜びに巡り会える可能性が高まるはずだ、と改めて教えられるのである。
    オススメ度:
    身内 5
    身内以外 4
    過去の自分(20歳) 5
    未来の自分(60歳) 3
    子供が【20】歳のときに読んで欲しい

    今まで必死に、「やりたいこと」「なりたい自分像」「自分軸はなんだろう」と自問自答していたけど、なかなか結論が出ずずっとモヤモヤしていた。人の力を借りて生きる人生はつまらないのではと思っていた。
    だが、この本を読んで、今までの轍は外れたものではなく自分なりのものであると知った。辛い思いもしたけど、これは道を外さないように示してくれた合図であり、なにも全部を自力で打開する必要はないんだよと心に訴えてくれた。
    また読みたい一冊。

  • 浄土真宗と親鸞の教えについて

  • 何も考えず、何もせずに過ごしてしまった時期を取り戻すべく、一生懸命頑張ったこの10年。頑張って頑張って頑張って、もちろん何も得なかったわけではなく色々なことを勉強できた。でも心は一向に楽になる気配はない。目指す自分に近づけてるかと思いきやメッキが剥がれ始めて、追い込まれて苦しくなって自滅もして。私にとっての超えたい壁がいつまでも超えられなくてもがき苦しんでいた。自分のこの先の道を思い描けなくて辛かった。
    でもこのまま進むのが嫌で180度違う環境に飛び込んでみた。想像よりずっと大変で辛くて挫けそうになった。感情の浮き沈みがすごくて、どうにか抜け出したくて人のせいにして余計苦しくなって、ふとそんなことしてる場合じゃない、変わりたくて始めたんだから受け入れなくてはと気づき、とにかく全部受け入れて挑戦しようと思った。そんな矢先に読む機会を得たのがこの本だった。目から鱗だった。自力に囚われてたなぁ。
    逃げても逃げなくても大変、頑張っても頑張らなくてもしんどいなら、縁あって来た道なんだから単純になるようになぁれの精神で、来るもの拒まずで来たものを乗り越えていったら何かに辿り着けると信じてガムシャラにやってみようと思った。失敗したくない、できないって思われたくないとか焦りがあったけど、ちょっとだけ気が楽になった。

    お布施は叶えてくださいではなく、お金の執着を捨てるっていう発想も目から鱗だった。

  • 著者が研究員、教員、職員とさまざまな立場で立命館の大規模な学校から小規模な学校までさまざま渡り歩いて思ったこと・・・「学校とはほんとうに『自力』が好きだということ」。毎日のように「頑張れ」「努力が大事だ」「夢を追いかけろ」と言われる。努力すれば道が拓けるという「自己信仰」が、夢の信仰ではなく、無限の苦しみのループを完成させている。
    それは本当にその通りだと思った。そして、無限ループから著者を救ったのが「他力」だという。自力と他力の比較は面白かった。
    あと、興味をひいたのが、著者がいう他力はご縁があって親鸞さんの影響を強く受けているが、弱いときこそ強い、父はそばにいて暖かく語りける、罪人こそ救われる等々、キリスト教と類似している点が多々ある。親鸞と聖書の類似性は巷では既に指摘されているらしいが、まったくそのような事情を知らずにはじめて読んだ親鸞について触れられた本だったので、意外な事実に関心をひかれた。

  • 他人に頼るのではなく、身に起きたことは、天からの授かりもので、自分の人知を超えたものである。
    天命を引き受け、感謝する気持ちで日々臨む。

  • 世の中には、自分の力ではどうにもならないことがある。
    血のにじむような努力をしたとしても、運、タイミング、ほんの誰かの気まぐれで、結果は一転する。

    そんなときに、「まあ、そんなこともあるよ」と思えるかどうかが、
    人生を柔軟に生きていくための秘訣かもしれない。

    知っておいて損はない考え方だと思う。

  • 著者の視点での他力の解説に思えるが、ややもすると何でも他人任せのように思えてしまう「他力」を、そう思わせないような内容になっている点はいいと思う。

    本書の中で印象的だったのは「お布施」の話。お布施は願いを叶えてもらうために払うのではなく、最も強く執着してしまう「金」を渡すことで少しでも執着心を引き取ってもらうというお話。

    文章(というか親鸞の台詞)が軽すぎるきらいはあるが、それも読みやすさに繋がるか?

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著者プロフィール

立命館大学衣笠総合研究機構研究員・僧侶。1967年福岡県生まれ。長年、子どもの道草研究に取り組む。無用の用を可視化する作業を通して現代社会文明批評を行い続けている。著書に『子どもの道くさ』(東信堂)、『高学歴ワーキングプア』(光文社新書)他。

「2009年 『子どもが道草できるまちづくり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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