グレン・グールド 孤高のコンサート・ピアニスト (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 86
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022734686

作品紹介・あらすじ

あまりに突飛なスタイルと独創的な旋律。「異星から来た」とまで言われた若きピアニストの記録。「演奏態度は最低、演泰は最高」と評されたピアニスト、グレン・グールド。なぜ彼は「コンサートは死んだ」と言い、絶頂期にステージから姿を消したのか。今や、"レコード芸術家"としてのグールドは聴き尽くされ、語り尽くされた。本書では"コンサート・ピアニスト"時代の語られざる背景を探る。

感想・レビュー・書評

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  • グレン・グルードのライブ演奏=コンサート活動に焦点を当て書かれている。グールドの1面を垣間見ることが出来るけれど、コンサートからドロップアウトしたピアニストの全てを知るには?
    モノラル時代のカラヤンと共演した1957年ベートーヴェン ピアノ協奏曲第3番も、録音の悪さや客席ノイズを差し引いても、大物同士の共演ということで話題になっているだけで、個人的には?
    他のグルード本の補完としてなら〇

  • 買ってからこの本の著者が「中川右介」と気付いたわけで。本書も中川節の書き方でグレン・グールドについて、その時代を代表する人と出来事を対比させながら綴られます。

  • グールドのコンサートの足跡を追ったもの。
    1950〜60年代;偉大なる指揮者たちとの音楽作りが垣間見えるのは嬉しい。
    グールドがカラヤンを評価しているとは驚きだった。およそ合わないと思えるのに。どうやらお互い勝手に演れるのがよかったらしい。
    セルを待たせて、「椅子の調整に時間をかけた」ってのもいかにもグールドらしくて笑ってしまった。
    コンサートとレコードとは違う芸術表現であることを、最初に提示してみせた最初の演奏家だと思う。
    「聴衆がいるせいで演奏がよくなかった」と語るグールドは、今の視点でみても突き抜けた存在だと思う。

  • 孤高の天才ピアニスト。グレン・グールド。本書では彼がコンサート活動を放棄する以前の10代から20代までの若き日の彼の実像に迫るものです。彼の評伝は夥しいほど出版されていますが、僕は本書が初めてでした。

    「孤高の天才」としてあまりにも有名なピアニスト。グレン・グールド。あまりにも多くの評伝や芸術についてはもはや語りつくされている感がありますが、何を隠そう、僕が彼の評伝を読んだのは本書が初めてでございました。ここでは、「コンサートは死んだ」と言い、彼はステージに上がることを拒否して31歳で引退するまでをメインに、その生い立ちからスタジオ録音だけではなく、ライブ・コンサートに打ち込んだ10代、20代の彼にスポットを当てたものです。

    やはり、若き日の彼の人生は適度に「ぶっ飛んで」いて面白く、読んでいてあきさせないものでありました。彼は裕福な両親の元で音楽の英才教育を受け、自身も才能を発揮し、音楽院に通いながら普通高校を送る中で、11才でトロントのキワニス音楽祭で優勝して有名となり、14才でトロント交響楽団の定期演奏会でベートーヴェンのピアノ協奏曲を演奏し、さらに有名人となるという話や、伝説のピアニストであるディヌ・リパッティが1950年に白血病で病死し、コロンビア・レコードは新しいピアニストを求める中、
    「一人いるよ、トロントに住んでいて、少し変人だけどね」
    とグールドに白羽の矢が当てられたということです。

    長じて世界各国での演奏活動の際にはカラヤンやレナード・バーンスタインなどとの邂逅をし、旧ソ連でコンサートを行った際には音楽院の生徒を前にして宗教色の濃い演題を披露して学生たちを戸惑わせる…。そんな彼の日々が描かれていて、とても面白く読めました。しかし、僕がこの本で衝撃的だったことはグレン・グールドがコンサートから足を洗うことができたのは株取引でかなりの収益を上げていて、コンサートをやらなくても生活ができたという箇所を読んだときに
    「グールドは相場師でもあったのか!」
    と思わず叫んでしまいました。
    どうしてもイメージが結びつかないのですが、まぁ、そういった経済的なことで音楽活動に支障をきたさない、というのは彼にとっては幸せだったのかな、という感想でした。

    有名な「ゴールドベルク変奏曲」をデビュー時と白鳥の歌のヴァージョン。故スティーブ・ジョブズは生前最後に録音した「白鳥の歌」のほうを好んだそうですが、皆さんはどちらがお好みですか?

  • コンサート活動をしていた頃メイン。J・ディーンやプレスリー、サリンジャー、サガンなども示し、グールドが活動する時代のイメージを膨らませている。演奏家によるライブの位置付けの違いなども興味深い。ライブ時代がメインである以上仕方ないが、尻切れトンボの感はある。

  • これを読むまで、グレン・グールドというピアニストを知らなかった。
    ゴルドベルグ変奏曲のCDを買って、最近はけっこう聴いている。

  • このところのグールドはライブ音源が人気のようである。それでこの本は彼がいつどこでだれと何を演奏したかを追いかけるものである。
    エルヴィスやディーン、サガンやサリンジャーとほぼ同世代のグールド。冷戦のさなかのソ連を訪れたグールド。
    ファンにはおなじみのカラヤンやバーンスタインとのやり取りも見方を変えるとまた一興である。(協奏曲における指揮者と独奏者の関係については要注意)
    そうして、コンサートから足を洗って以降に製作された数々のレコードの価値と意味をよく考え直すのは、じぶんでしよう。

  • 生誕80年、没後50年のグールドのコンサート活動から人間性、音楽性を紐解いた書。同時代デビューのジェームス・ディーンやエルビス・プレスリー、「ライ麦畑でつかまえて」との関連付けは面白かった。

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著者プロフィール

1960年生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。「カメラジャーナル」「クラシックジャーナル」を創刊し、同誌のほか、ドイツ、アメリカ等の出版社と提携して音楽家や文学者の評伝や写真集などを編集・出版。クラシック音楽、歌舞伎、映画、漫画などの分野で執筆活動を行っている。

「2019年 『阪神タイガース1985-2003』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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