太陽 大異変 スーパーフレアが地球を襲う日 (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022735072

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  • 21世紀に入りGPSを使った移動補助手段(車、飛行機、船舶)の利用がますます当たり前になっています。さらに、最近では3次元空間を移動できる空飛ぶ自動車構想までありますが、その安全性の前提は電波通信の安定性です。
    もし、スーパーフレア(太陽の超異常活動)が起これば、強烈な磁気嵐によって電波通信障害が起こり、大量の放射線が地球を襲い、オゾン層の破壊が進行し、世界規模の大停電により原発の電源が喪失しメルトダウンも時間の問題、しかし通信が遮断されているため何が起こっているのかわからないまま人類は恐怖のどん底に・・
    本書の序章で展開されるSFのような話は、最新の太陽活動の研究成果を下敷きに、可能性としては否定しきれない近未来予測です。
    近年で太陽フレアが原因で起こった停電として、1989年のケベック州での9時間停電で600万世帯の被害が有名ですが、この1000倍の規模をスーパーフレアと呼び、理論上はいつ起きても不思議ではないそうです。(太陽年齢46億年のうち人類が知っている太陽の歴史はたかだか400年程度)
    いや、これほど致命的な出来事ではないとしても、太陽の黒点が多くなると、地球上の現象として紫外線やX線、電磁波が強くなり大気や気流が不安定になり、逆に少ないと宇宙線の量が増え、大気のイオン化が進み電気が流れやすくなるため雷が発生しやすくなるなど気候変動に大きな影響を与えます。
    研究者でもある筆者の書いた本なので、かなり詳しく学術的な考察が展開されていますが、個人的には序章で展開された仮説を具体的に検証する形にした方が読み物としてはおもしろくなったのにと思われます。(太陽フレアの影響を避ける手段が無い以上、過度にGPSに頼る近未来に警鐘を鳴らすとか・・)
    それにしても、この宇宙には1700億個の銀河があり、各銀河の星の数は1000万個~1兆個あるわけで、太陽だけでも解明できない事象があることを考えると、宇宙の話は本当に知的好奇心とロマンにあふれていますね。
    本書も中古本だったのですが、なんと、著者のサイン入りでした。ラッキー!

著者プロフィール

京都大学・大学院理学研究科附属天文台・教授,台長

「2011年 『総説 宇宙天気』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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