無業社会 働くことができない若者たちの未来 (朝日新書)

  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022735652

感想・レビュー・書評

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  • ひきこもり、ニート、SNEP・・・、働かない人々、特に若年者が問題になっていますが、そういった人々に対する誤解を解くべく、個別の例を紹介し、多角的なデータからの分析を述べ、その原因たる社会構造にも目を向け、社会の暗がりの部分に光を当てた、勇気と意欲すら感じられるよい本でした。労働環境や社内文化について、多かれ少なかれウソをついて希望者を集めるのが常識になっている。入社してそのことを糺してみても、「お前も大人だろ、わかれよ」みたいにせせら笑われてしまうものだ。劣悪な環境もすべて露わにしてしまわないといけないようになればいいのです。「バカか!そんなことをしたら、働かない人だらけになるだろ!」という声が出てくるだろうけれど、実際に経験したり感覚的にわかったりしてるから、昨今、無業者が増えたわけで。つまり、同じこと。社会が変わらないと変わらないんですよ。今の日本経済なんて、人的資源を食いつぶしている意味でだけど、背伸びしてなんとかメンツを保っている感じでしょう。一度怪我して転倒して、そこから真っ当に這い上がってみたらどうだろう。なんて、ちょっとラディカルなことを考えたりもして。

  • この本に出てくるデータは、「育て上げネットが運営する支援機関にアクセスできた若者のデータが中心になっている」らしいので、たぶん若年無業者の中でもわりとマシな層のデータなんじゃないかな?と思った。
    こういう場所があることを知っていて、こういう場所に繋がる意欲はある方の人たちのデータというか。
    こういう支援機関にアクセスする人って、求職を希望していない人もけっこういるんだね、知らなかった。

  • 若年無業者をどうするか。大卒で就職するも離職、不登校で高校中退などなど、様々な理由から無業となってしまった若者を他人事だとは思えず、本書を購入。日本は「一度こぼれ落ちると圧倒的不利になるシステム」と著者は看破しているし、そのとおりだと思う。今は正社員として働いているが、もし今の職を辞したら……再就職は年齢的にもかなり厳しいに違いない。若年無業者を救済できる社会制度を早急に構築しなければ、という思いが募る。

  • 我が事。自分の将来が重なるようで笑えない。
    こういうのを50代以上の日本人に読んでほしい。
    一見、自己責任で無気力なだけだろうけど内実は、さらに複雑である。

  • 主旨や良し。でも、ちょっと冗長かなぁ。あと、これをよんでも、ガーガー認めない人はいるだろうけど。
    個人的には、若者対策と合わせて、雇用を増やせる起業家を育てることも必要だと思った。
    一度レールから外れた人を拾い上げることができるのは、レガシー企業ではないはずだから。

  • 立川に拠点を置くNPO法人育て上げネット。総合戦略検討委員会でメンバーのひとりがここのメンバーだったこともあり、どんな活動をしているのか興味を持って読んでみました。若年無業者を「自己責任」と一言で済ませてしまっては、結局社会保障面の支出が増えるだけで自分に返ってくる。そこに対して何ができるんだろう、とか考えさせられました。そしてこの一冊に関していうと、この問題をわかりやすく伝えるためにいろいろな業界の参考になる表現を比喩的に用いていたり、伝える努力を感じました。応援したい活動のひとつです。

  • 自分用キーワード
    SNEP(孤立無業者) 非定型うつ病 『若年無業者白書』 日本中退予防研究所 同調圧力(みんなで笑顔でピース) 朝日訴訟(1957) メリトクラシー 佐藤俊樹『不平等社会日本』 橘木俊彰『格差社会』 プレカリアート 日本型システム(日本的経営) ベヴェリッジ報告 地域若者サポートステーション ジョブカフェ リカレント教育 SROI(社会的投資収益率) 

  • 働きたくても働けない若者に焦点を当てた本。
    その通りなのだが、日本の公的機関で若者の支援を重点にしているところはない。その上怠け者扱いされてしまうせいか、なかなかこの問題がクローズアップされなかったようにも思う。

    アベノミクスで人が足りない業界には女性や高齢者、外国人もいう前に、この無業状態の若者をうまく活用することも入れた方がいいのでは。その方が憲法の勤労の義務と納税の義務も果たせ、後に続く世代にも希望を持たせることができるのではないか。

    と考えるのだ。

  • 無業社会とは、誰もが無業になりうる可能性があるにもかかわらず、無業状態から抜け出しにくい社会のこと。

    なんと日本の若者の16人に1人は無業状態。
    しかし彼ら若者は公的支援の対象とされず、世間からも「甘え」「自己責任」などの言葉でかたづけられてきた。

    無業の若者の実態を明らかにし(彼らの多くは就業経験も働きたいという希望もあるのだが、一旦無業になると抜け出しにくいという日本社会の構造的問題がある!)、問題提起しようという本。

    この問題はどの世代にとっても無縁ではないし、深刻。若者のひとりとして辛い。
    問題認識した後は、個人レベルでどうしたらいいのか、、?
    活動されている著者の方々には頭が下がります。

  • Honzで紹介されていたもの
    "働くことができない"ってなんだよと、思っていたがどうやら様々な事情で精神的に苦しんでいる人が多い模様。
    納得できない部分はあるにしろ、そういった人たちがいることは事実で、生涯のコストギャップが一人あたり1億5千万にもなるというんだから国としても力をいれて解決すべき課題だ。
    こういった社会的課題を解決する事業をやってる人たちって楽しいんだろうな。
    すごい。

著者プロフィール

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。昭和52年6月2日、東京・福生市で生まれる。成城大学文芸学部マスコミュニケーション学科中退。平成14年、米国ベルビューコミュニティーカレッジ卒業。平成15年、青少年就労支援NPO「育て上げ」ネット設立。平成16年、特定非営利法人化。現在、同法人理事長として若年者就労支援に携わる。著書に『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)がある。

「2006年 『育て上げ ワカモノの自立を支援する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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