新書520 下流老人 (朝日新書)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022736208

感想・レビュー・書評

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  • 下流老人の問題は、個人の選択やモラルではなく、社会構造の問題。ゆえに下流老人対策は若者の対策(就労支援や賃金上昇、住宅対策)を含まなければならない。老人を若者と対立させる論調が多い中、すべては連関しているという視点は重要だ。

  • まえがき、目次、第1章を読み始めた印象として、2点。
    老人は「保護対象」という視点に偏っている。『LIFE SHIFT』、引退延長、生涯現役という視点が欠落している。
    著者は統計に弱い。「平均値」を問題視しておきながら「中央値(Median)」や「最頻値」を使わない。一部の富裕層が平均貯蓄額を押し上げているのは周知の事実で、老人の貧困化をクローズアップするなら、「平均値」を否定しても意味はなく、「中央値」と「最頻値」で説明すべき。
    このような統計も扱えない社会学者が持論を振りかざしても、論拠が乏しいと言わざるを得ない。

    <目次>
    はじめに
    第1章 下流老人とは何か
    第2章 下流老人の現実
     ケース1 飲食店などで働くも、野草で飢えをしのぐ加藤さん(仮名)
     ケース2 うつ病の娘を支える永田さん(仮名)夫妻
     ケース3 事務職員をしてきた山口さん(仮名)
     ケース4 地方銀行に勤めていた藤原さん(仮名)
    第3章 誰もがなり得る下流老人 「普通」から「下流」への典型パターン
     【現状編】
     パターン1 病気や事故による高額な医療費の支払い
     パターン2 高齢者介護施設に入居できない
     パターン3 子どもがワーキングプア(年収200万円以下)や引きこもりで親に寄りかかる
     パターン4 増加する熟年離婚
     パターン5 認知症でも周りに頼れる家族がいない
     コラム1:カネの切れ目が延命装置のスイッチも切る!?
     【近い未来編】
     コラム2:親が残した不動産に殺される!?(空き家問題)
    第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日
    第5章 制度疲労と無策が生む下流老人 個人に依存する政府
     コラム3:下流老人の生き血を吸う「貧困ビジネス」
    第6章 自分でできる自己防衛策
     知識の問題(対策編)・・・生活保護を正しく知っておく
     意識の問題(対策編)・・・そもそも社会保障制度とは何か
     医療の問題(対策編)・・・今のうちから病気や介護に備える
     意識の問題(対策編)・・・何よりもまず、プライドを捨てよ
     心の問題(予防編)・・・地域社会へ積極的に参加する
     居場所の問題(予防編)・・・地域のNPO活動にもコミットしておくこと
     いざというときの問題(予防編)・・・・「受援力」を身につけておく
    第7章 一億総老後崩壊を防ぐために
    おわりに



    2015.09.07 あゆみ書店で見つける
    2016.01.11 三省堂池袋店で見つける
    2017.01.25 読書開始。
    2017.01.27 読了

  • 新書

  • 収入が少ないため、十分な貯蓄がないため、頼れる人間がいないために、
    仕事を引退後、孤立してしまい、貧困に陥ってしまう、「下流老人」の話をまとめた本。

    「普通」から「下流」に落ちないために自分がいかにリスク分散をしていくかを考えさせられたし、老人だけではなく、若者も当事者になる可能性は十分あるので、
    ミニマルな生き方、横との繋がりを重視した生き方などを考えんとだと思った。

  • 近年、生活保護世帯が確実に増加している。特に、高齢者世帯で。生活保護支給の問題点や課題、使いにくさ、世間からの見られかた、一方で、住宅費の異常な高さに対する補助への欠陥等々。年金支給年齢が引き上げられ、年金支給額が引き下げられ、生活保護支給額も減り、文化的で最低限度の生活レベルも恣意的に引き下げられる現状について説明・解説されている。

  • 2018.6.13

  • 文字通り、今後年金生活が破綻して増えるであろう下流老人の話。

    たとえ定年まで普通に仕事をしてても、あっという間に下流社会に転落する危険性があることがよくわかった。

  • 日本の高齢者の問題、特に経済面に関する問題がよくわかりやすく書かれている。現在の若者の多くは下流老人と化す。非正規雇用がこんなに増えるとは誰も思わなかったし、婚姻率も下がり、老後を助けてくれる子供も生まない人々が増えてきた。即効性のある解決策は難しいであろう。しかし現実を理解することが何より大切である。

  • 「老後はなんとかなるだろう」という特に根拠のない楽観的な考えが、本書を読むとできなくなる。病気にかかったり、子供が引きこもりになったり、両親を介護する必要に迫られたり、失業したり、、、と100年時代には長く生きる分だけ様々なリスクがつきまとう。誰でも下流老人となってしまう危険性があることがわかる。また、生活保護の申請方法など社会保障の知識は、もしもの時に重要だと思うし、読んで損はないと思う。

  • 無茶気が重くなる。
    社会もそうだし、実際おかんもそうだし、俺自身もそうだし、子供たちもそうだ。

    将来に待つのは貧困。

    もっともこの本で示されている解決案が現実味があるかといえばそうでもなく、社会と経済が抜本的に変わらないとどうしようもない。

    根本にあるのが、高齢化、医療の進歩とか思わなくもないのだが、この歪みがどこかで吸収されることがあるんだろうか。

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著者プロフィール

1982 年茨城県生まれ。NPO法人ほっとプラス代表理事。聖学院大学人間福祉学部客員准教授。反貧困ネットワーク埼玉代表。ブラック企業対策プロジェクト共同代表。ソーシャルワーカーとして活動する一方で、生活保護や生活困窮者支援のあり方に関し提言を行う。著書に『下流老人』(朝日新書)、『貧困クライシス』(毎日新聞出版)など。

「2018年 『未来の再建』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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