京都ぎらい (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.08
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本棚登録 : 2029
感想 : 292
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022736314

感想・レビュー・書評

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  • 洛外に生まれ育った著者だから表現しうる京都の街によどむ底知れぬ沼気(゜ロ゜)
    確かに京都と言っても、嵯峨や伏見、宇治、山科って、洛中ではないんですよね。洛中人士は京都=洛中としか認めていない(^^;
    十数年前働いていたので、なんか分かるその感じ(笑)

  • 著者が京都の嵯峨出身で、いわゆる中心部の洛中の人のいやらしさを描いた一冊。

    京都の外れ出身であるが故の愛憎かと思いきや、途中から徐々に話が脱線してしまい、最終的に京都全体の話になってしまい、散漫な印象が残った。

  • 京都は、食べ物好きだけど、京都を鼻にかける人がいて、面倒くさくてやだな、と思っていたが、洛中人に遭遇していたんだとわかった。

    出身エリアによる中華思想は、どのエリアでもある気がする。(中でも、パリとか京都が、最強だと思うが)
    洛中は洛中で、更に細かいエリア内での差別があるのではないだろうか。「xxなんて、洛中言うても大したことないやん」とか、同じエリア内でも、いつから住んでるか?など。

    本書の宣伝文句「こんなん書いてええのんか」は、読み終わっった後、一瞬「どこが?」と思ったが、著者が京都府在住在勤なことを思うと、たしかにそう。(色々言われて面倒かも)

    売れて(というか話題になって)よかったですね。
    「アイツの書いた京都ワルクチ本、全然売れてへんのやて。お気の毒。(笑)」って洛中人に言われてたら、更に腹立ち倍増でしょうから。

  • 「京都の人」、事情を知らぬこの言葉によって、洛外の人がどれだけ精神的に苦しめられるのか。本音の叫びがつらつらと書き連ねていて、なんとも…な気持ちになる。
    ただ、その生活に根付く本音・実態から語られる歴史は、史実に基づくものだろうが、推測されたものだろうが、「京都」に生きる人にとっては、ほんとの事実のように思われて興味深く、あっという間に読み切ってしまった。

  • 嵯峨出身の筆者による京都考察。洛中・洛外の話などは、大阪出身の私には当たり前のことをあらためて説明されている気分である。大阪からみて京都は近くて遠い。言葉は通じるが外国のような存在である。ここまで考察しようという執念や愛着もない。筆者は京都の引力にからめとられているように思えた。

  • 明らかに人を選ぶ本。なぜ新書大賞なのか理解に苦しむ。 洛中の人間の発言や行動を目の敵にして非難を繰り返す割に、根拠が薄く、議論も(洛中人ではないが京都に所縁のある身からすると完全に的外れではないとは思うが)大括りで雑。私はそのあたりのおじさんくさい感じがあまり好きになれなかった。 後半になると、洛中の人間への非難も少々影を潜め、京都名所案内のような様相を醸し出す。このあたりは筆者の専門分野との絡みもあるからか、いわゆる「京都本」としての面白さはある。

  • 京都は洛中以外は京都ではないのか・・・
    私からすれば嵯峨も宇治も嵐山も鞍馬もみーんな京都なんだけどな。素敵なことには変わりないのにと思うけど、京都に住む人からすると一緒にするなって感じなのかなあ。そんなに洛中の人ってやな感じなの?
    筆者のコンプレックスというかこじらせた何かがひしひしと伝わってきました。
    そんな筆者の思いから今までなかなか見えなかった京都の歴史などが見えてきました。
    筆者の住んでいるところへの愛とかきらいと言いつつも本物の京都と寄り添える点を見つけ出そうとしてるところも感じられました。

  • ちょっと偏屈な意見も多い気がするけど、京都の歴史や背景を変わった視点で説明してくれていて面白かったです!

  • (01)
    本書が京都に対するヘイト本なのか,というとそうともいえない.そもそも「ぎらい」「嫌い」という感情には,どのような心因や文化,あるいは歴史的な意識が含まれるのかという問題そのものに本書は迫らんとしている.
    とはいえ,内容は洛中を仮想敵に見立てた痛快な批評(*02)になっていて,ところどころに挟まれる著者の屈託や晦渋,いやらしい京都方面の口語と心理描写,おかしなエピソードなど,平易な筆致からなっており,より多くの日本人に開かれた文章になっている.

    (02)
    都市論,庭園論としてはどのように読めるのだろうか.都市や庭園の経営と造営という観点では,工学方面からは扱われにくかった奈辺奈辺にも言及されており興味深い.
    終盤には,天龍寺を評する際に,梅原猛氏の法隆寺論にある,怨霊や鎮魂といった観念を登場させているが,うまく現代の心理に昇華させ,読者側に立ってこの問題を取り上げている.こうしたオカルト面への歩み寄りも含め,アカデミズムからすれば独断とも撥ねつけられかねないきらいもあるが,そうしたところもあわせ痛快な読み物となっている.

  • 気になってた本を、せっかく関西に行くんだしその前に……と読んでみた。
    作者が(自己認識がありながらも)偏屈者で面白い。ただいずれにせよ、現地民でないとわからない差別(あえて本に記載のとおりに表現)、現地民にしかわからない辛いことがあるということは、どこに行くにしてもある程度心に留めておかねばと思いました。
    京都出身というだけで雅に感じちゃうけど、洛中とそれ以外なんて意識があるとはねぇ。そして開園をボイコットしてしまう寺の強さにもびっくり。更には、寺に観光客が来る所以でもある庭園の由来もなるほどと改めて認識。色々と勉強させていただきました。

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著者プロフィール

建築史家、風俗史研究者。国際日本文化研究センター所長。1955年、京都市生まれ。京都大学工学部建築学科卒業、同大学院修士課程修了。『つくられた桂離宮神話』でサントリー学芸賞、『南蛮幻想』で芸術選奨文部大臣賞、『京都ぎらい』で新書大賞2016を受賞。著書に『霊柩車の誕生』『美人論』『日本人とキリスト教』『阪神タイガースの正体』『パンツが見える。』『日本の醜さについて』『大阪的』『プロレスまみれ』『ふんどしニッポン』など多数。

「2023年 『海の向こうでニッポンは』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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