- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022736420
作品紹介・あらすじ
【社会科学/教育】アフリカでゴリラ研究を重ねた人類学者・京大総長が、総長の仕事は「猛獣使いだ」という強い対人力で、若者にコミュニケーション力によって「信頼を得る」人格形成の大切さを提言。グローバル時代に「おもしろい」ことをしようという京大式勉強法を伝授。
感想・レビュー・書評
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手にとったのは実はNHKブックスの「暴力はどこからきたか」が最初。しかしあまりにも良書なので図書館で借りるのは中止して急遽買うことにした。それで、代わりに借りたのがコレ。話の中心は、勉強法というよりはコミニュケーション論ではあるが、ゴリラ学、霊長類学の山極さんの学問のバックボーンが分かってたいへん面白かった。
以下参考になったところ。
◯グローバル人材は語学力なども必要ですが、1番重要なのは、相手を感動させる能力。相手に「おもろい」と思わせる。
◯対人力をつける。その三つの軸。
(1)相手の立場に立って物事を考える。
(2)状況に即して結論が出せる。
(3)自分が決定する。
◯具体的に著者は、なかなかの交渉力を使っている。「こいつは今殺すよりも、お金を持っているから利用した方が得だな」と相手に「思わせる」。また、相手を信頼して金を盗む隙を作るのは、かえって彼らに悪者にさせる危険性を作った事で、「押し付け」である。国が違えば「信頼」の在り方も違うのだ。
◯物の売り買いは、単なるお金のやり取りではなく、自分と相手との信頼関係が築かれる時間でもある。人間が太古の昔から築いてきた1番大きな信頼関係の担保は、実は時間なのではないか。文明の利器(携帯電話、コンビニ等々)は、人に迷惑をかけることによって成り立った人との繫がりを失うことで成り立つ。
◯人間は「共に生きる」という感覚なしでは幸福感が得られない動物である。
◯人間が長いこと続けてきた狩猟採集の社会では、財産なるモノを持って移動することはなかった。農耕が始まってせいぜい1万2000年ていど。おそらくそれはまだ人間の本性にはなっていないはずです。人間の発明した言葉によってわれわれは幻想を持たされているだけ。土地の所有をめぐる問題にしても、勝つか負けるかの二者択一しか無いのか?共同で利用することを提案することだってできるかもしれない。
◯大人の間でも食の分配が出来る霊長類はチンパンジーやゴリラなど限られている。しかも共食は、人間がチンパンジーの共通祖先から別れてから、最初に作り上げた最も重要なコミニュケーション。食事の場を設けること自体が、和解を前提にしている。
◯だから、最近なくなりつつある子供の時の食卓の上での戦争は、和解の訓練でもあった。
◯人との関係を築くには、どうしたってアナログな方法しかないのです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
勉強って何のためにするの?
効率のよい勉強方法は?
子どもの質問は、いつも難問が多い。
大人になるための勉強は、学校の勉強だけでも、誰か教わる人がいて学ぶものだけでもない、座学だけでもない。
ゴリラの研究者、アフリカでのフィールドワーク、様々な体験から、学びとは何かを教えてくれる一冊。小学生には難しいかもしれないが、高校生・大学生は必読だと思う。 -
とてもおもしろかったけど、タイトルと内容に齟齬がありすぎではないか。
この本はいわゆる「勉強法」についてではなく、山際氏のゴリラ研究と、ゴリラ研究を通じてみたアフリカの人たちとの交流について書かれた本であり、比較行動学や異文化コミュニケーションについての本といった方が良いと思う。
タイトル見ただけで買った人には面食らう内容かもしれないし、逆に比較行動学やアフリカに関心がある人にこの本の存在が知られないというデメリットもある。本のタイトルは出版社の営業が決めるらしいと聞き、最近内容とタイトルがかけ離れている本が多いのはそういうことかと理解できたが、この本については本当に、タイトルつけた営業担当者には猛省を促したい。 -
京大総長の山極先生が、これまでの経験から身につけてこられたコミュニケーション法を紹介しています。
京都の人々、アフリカの人々、そしてゴリラたち…たくさんの人や動物たちとの交流を通して、山極先生がコミュニケーション力を育まれてきたことがわかりました。
タイトルには「おもろい勉強法」とありますが、周囲といかにして関係を築き、そこから学んでいくのか、そして関係を築く肝になるのはコミュニケーションなのだ、ということを教えてくれる1冊でした。
相手に費やした「時間」がその相手への信頼度である、というお話が印象的でした。
特に強調されていたのは、対面して共に過ごすことの大切さ。
デジタルの時代になっても、やっぱり人との関係を育てるのはアナログなコミュニケーション。
誰かと一緒にテーブルを囲み、食事を分けあう中で育まれる社会性があること。
原初的にも思えるけれど、現代においては廃れてきていることなのだと、本書を読みながら改めて感じたのでした。
そして、その効果的な潤滑油になってくれる美味しいお酒や食事の大切さも噛みしめたのでした。 -
つボイノリオさんのラジオで紹介されて興味をもって購入。
ホントに「おもろい」本だった。
たくさん付箋をはったからもう一度読み直してみよう。 -
著者の山極寿一さんの著作は何冊か読んでいるのですが、この本はミーハーながらタイトルに惹かれて手に取ったものです。
ただ、私が勝手に想像していた内容とはかなり違っていました。
書かれたのは、山極さんがまだ京都大学総長だったころだと思います。山極さんのこれまでの研究生活の実体験から紡ぎ出された「人間関係形成のヒント」がストレートな人柄そのままに開陳されています。いろいろと気づかされる点が多く、期待どおりの楽しい読み物でした。 -
002.7||Ya
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私はその意見ではありません、ではなく、こうしたらどうか?相手はなぜそう考えているのか。
こういう議論ができないと一人プレーになる
自分たちとは異質な存在が目の前にいることで同族意識連帯意識が芽生える
テーブルを共にして食事をするということは大人にとってとても大事(他者を受け入れられる)
1:1の付き合いしか知らないと他の人間を上手く使うことを覚える場がなくなってしまう。応援や仲裁。 -
北三図書室にて貸与。
p99 コンフリクトをつくってみせて、二人で一緒に合意を築きあげるという方法もある。
p139 ペットや子供がいることで、夫婦が同じ世界にいると認識できる。
p197 研究者が目標を持ち続けるということの意味