グローバリズム以後 アメリカ帝国の失墜と日本の運命 (朝日新書)

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  • 朝日新聞出版 (2016年10月13日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022736895

グローバリズム以後 アメリカ帝国の失墜と日本の運命 (朝日新書)の感想・レビュー・書評

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  • 【ISについて】
    近年のアラブと西欧の対立はサミュエル・ハンチントンの言う「文明の衝突」ではなく、アラブ地域が近代化して、先進国の仲間入りをする前の混沌だと説いている。むしろ文明は「衝突」しているのではなく、寄り添っているのではないかとトッドは述べている。
    では何がその近代化の礎となっているかというと、教育レベル(識字率の)向上に始まる女性の地位向上・社会進出と、内婚制共同体家族が崩壊し核家族化してきていることだと。

    【これからの世界について】
    そして、これからの世界は以下4つの出来事によって、大きな転換期が来ている。それは、共同体の信仰の喪失、高齢化、教育レベルの向上、女性の地位向上である。

  • ロシアは日本には大事だと思う。中国とはもっとうまくやれそうな気はするが。それにしても、フランスで起こっていることと日本で今起きていることのなんと似ていることか。スケープゴートがイスラムか、中韓なのかの違いだけで。

  • グローバル化が進んだ現代に権力を握っているのは、自由貿易という経済思想。ハイパー個人主義が問題。
    グローバル化とは、識字化が世界に行き渡り、教育レベルが均一化した時に達成する。

    結局本のタイトルの日本の運命の答えは述べていない。日本の核武装化について提案しても、インタビュアーが朝日新聞の記者だから、真っ向から否定し議論にならない。

    外れの本だった。

  • 物事の背景を考えさせられる

  • フランスの学者 エマニュエル・トッド氏のインタビューをまとめた本。
    ちょっと違う独特な世界観が新鮮。


    以下、読書メモ:
    夢の時代の終わり
    米国 エリートへの反乱 最低限の安全を脅かさることへの抵抗
    EUは崩壊へ 移民への対応
    世界は接近するが一致はしない

    暴力・分断・ニヒリズム
    ニヒリズムとは、あらゆる価値の否定、死の美化、破壊の意思を指す。
    先進国の考察
    信仰システムの崩壊=共同体的な展望の欠如
    高齢化
    女性の地位の向上=教育革命
    不平等を受け入れる日本
    指導層はテロを利用している

    グローバル化と民主主義の危機
    国家の再浮上 多数を占める中高年が若者にかかわる政策を多数決で決めてしまうのは民主主義にかなっているのか
    ユーロは悲しみの製造機になっている。なくなったほうがいい。
    民主主義の機能不全
    自由貿易は新興国(中国)の景気を刺激するだけ
    ハイパー個人主義

    アメリカ「金融帝国」の終焉
    サミュエルハンチントンの文明の衝突は国際社会の対立はイスラム教文明とキリスト教文明の境界で激化すると。それに対してトッドはイスラム文明の近代化が遅れてきた過渡期の問題にすぎないと説く。
    近代化=教育レベルの向上=識字率の向上=本を読むことにより精神の構造を変える
    欧州、北米、極東に保護主義圏を。それぞれで内需拡大し、地域経済を立て直し、各極を基礎に置いたグローバル化を構築すべき。
    日本が核武装することで核兵器の偏在をなくし安定する。

    終わらない「対テロ」戦争
    米国が世界秩序混乱の原因 劇場型ミクロ軍事主義
    日本は米国以外の同盟国を持つべき。
    イラク危機は米国と欧州の対立、フセイン大統領は脇役。

  • ちょうど、平行して読み漁っている水野和夫氏の著書とも通じる部分がある。(当然、異なる部分もあるが)
    その中で、やはりエマニュエル・トッド氏の主張を特徴付け、説得力を持たせるのは、氏のバックグラウンドである、文化人類学や人口学の観点からの指摘であろう。
    出生率の低下を根拠にイランが近代化の過程であると指摘し、家族制度を根拠に日本やドイツには不平等を受け入れる社会的背景という。さらには、民主主義の発展に不可欠な、国民の識字率や高等教育の発展などがさらに進むと、教育格差として不平等の定着につながるとの指摘も、改めて慧眼であると感じた。

    そして、リーマンショックなどの金融危機以降、世界がグローバル化の問題に直面するなか、改めて国家の役割が注目されていることは、水野氏、トッド氏の指摘の通りであり、採るべき政策は自由貿易信奉による格差の拡大を是正することであることも両者の一致する見解である。

    しかしながら、現実の政府はP189でトッド氏が2001年に指摘した通り、「むしろ、秩序を維持するために治安への懸念を人々に感じさせ、軍備などの支出を増やす。」、そういう国家である。
    北朝鮮問題に絡み、米中に挟まれたいまの日本が、安全保障が極めて重要であることは疑いの余地がない。しかし、低成長時代への突入、資本主義の終わりという経済、そして社会体制の大きな転換点を迎えていることも確かである。
    政府が国民の目を外に向けることで根本的な問題を先送りにしないよう、注視していく必要がある。

  • 先進国、つまりヨーロッパ(特に英、独、仏)とアメリカ、日本の行き詰った現状についての解説本。
    著者はフランス人なのですが、長期的な歴史の視野に立って現代を観察してるんですね。
    アメリカ人やイギリス人(独立志向が強く、かつ差別に寛容、よって「自分さえよければ良い」思考に陥ってる)社会とほかの国との比較が語られて、とっても興味深かったです。
    国際的視野ってのは、実は単にアメリカ的視野になりがちですが、実は全然違うんですよね。
    たまにヨーロッパ人の視野で話を聞くと全然違って面白いです。

    ただ残念だったのは、朝日新聞に掲載されたインタビューをもとにしている割には、文章がわかりずらい。
    翻訳が今一つ・・・何を言わんとしてるんだろう?と何度も何度も一文を読み返す、ということをやりました。
    内容がちょっと硬くて難しめなので、なおさらでした。
    2016/11/18 09:52

  • グローバル化が進む中BrexitをやTrumpなどのナショナリズムの風潮の強まりに悲しむと同時に学ばなければならないと思い購入。就活がやっと終わったので読破。自分が後で見直せる様にいくつか気になった点をピックアップして書きます。

    【中東地域・ISIS】
    ・現在ISISが台頭している理由
    近代化におけるプロセスとして暴力的行為、過激派の台頭は付き物。特に中東地域は個人の自由度が低い事もあり民主化への推移における弊害は大きい。

    ・近代化の定義
    識字率向上(特に女性) → 出生率低下
    これによって女性に対しても平等に教育の機会を設けられる事で民主主義の肝となる参政権獲得に繋がる。

    ・現在先進国と対立している理由
    文明的な違いではなく近代化移行前の時間軸のズレ。宗教的な対立に思われがちだが同じ事がアフリカにも起こると著者は予測。

    【アメリカ】
    ・個人主義的思考の欠陥
    アングロサクソン的個人主義思考は平等の思考には繋がらない。彼等が平等だと感じていたのは黒人を周縁として追いやり、白人の中での平等を作り出しから。
    黒人奴隷解放から始まり2009年には黒人初オバマ大統領が出てきた事から彼等の平等は不安定になった。

    ・経済破綻とトランプ出現
    人種差別について言及するトランプだがそこはネックではない。真のネックは自由貿易、TPPなどによる経済破綻だ。(リーマンショックが原因と勘違いされがちだが)
    個人的には人種差別は彼が大統領になる為のマーケティングに過ぎないのかと思った。無駄にそういうセンシティブな話題に言及する事でアメリカ国内に及ぼす影響を考えてほしいものだ、、

    ・軍事志向的政策
    アメリカ経済が弱くなってきた事からアメリカはイラク戦争などから分かる様に軍事力で存在感を出す他なくなった。侵攻国の規模が彼等の国力を図る指標になるという言葉は印象的だった。


    【ヨーロッパ】
    ・ヨーロッパ内での差
    同じ言語を話さず、その上で違う文化を持つ為欧州という言葉がイデオロギーとなってしまった。内部では嫌い合うような現状もありEU解体の流れに向かうと予言。
    また、ドイツにはヨーロッパを牽引する力や資質はない。

    ・2005年までにユーロはなくなるという予言
    →Brexit, Frexit未遂などから近しい傾向は伺える。

    【日本】
    ・核武装の是非
    アメリカと中国が北朝鮮への影響力を持つ中、日本は唯一の被爆国という立ち位置から武力を持っていない。
    トッドによると日本も核武装する事で均衡を保つべきとか。

    ・アメリカとの関係
    アメリカとの同盟関係はアジアにも味方がいない日本の視点から見ると一国依存となってしまっている為、"選択肢"としての同盟関係とは言えない。

    【国際社会の方向性】
    ・欧州、米国、極東で経済圏を形成。国家単位でなくこの地域単位で保護主義的政策を取るべき。
    →日中韓はその様な経済連携を探る機関を設立すべし。

    ・民主主義
    国を牽引するエリート層が自国の中間層にも目を向け、グローバリゼーションという幻想から一度離れる事で節度ある民主主義が実現可能。これは世界に目を向ける事を止めるのではなく、各国々のエリート層がもっと自国に目を向けるべきなのだとという意味で解釈した。

    【各国の文明について】
    ・"グローバリゼーション"という夢
    結論から言うと文明が一つにまとまるということは家族的視点からも経済的視点からも不可能との事。思想としては魅力的と言及するも、極限まで近づいていく事はあるが一つになる事はないと断言。


    ーーーーーーーーーーーーーーーーー

    本の内容に関係なく個人的な意見を。
    やはり政治的な要因や経済的要因も大きいがこの本は人類学者の視点から書かれていることもあり、文化の差等の描写に非常に惹かれた。

    個人主義的で自由度が高いアングロサクソン文化。
    その中でもイギリス人になる事を周縁部分に位置する移民にも社会的に強いる為テロが多発するイギリス。フランス人として平等に扱う事で政治的革命に対して寛容なフランス。

    上下関係を重んじ、集団主義の日本ドイツなど文化によって政治に影響を及ぼすことは間違いないのだなあと改めて実感した。

    個人的には身を置くには個人主義的文化の方が好きなので日本との違いを学問的な観点から再確認できて良かったと思う。自分は将来海外移住も考えているので参考にしたいと思った。

    彼の著書の一つである経済幻想において各国の自由度について詳しくランキング付けしているとの事なのでそちらにも目を通そうと思う。

    また、各国の周縁部分の人々には共通点があるという彼の言葉はかなりしっくりきた。東北を訪れた際に会った夫婦からトッドはフランスの地方の老夫婦を思い出したとか。寧ろ各国の文化を反映しているのはエリート層という言葉も頷ける点はあった。

    各国で"成功"を掴むには勿論現地の風習に従う必要があり、それは都市や高等教育以上を経験した層に反映されやすいというのは覚えておこうと思った。


    2017/6/19

  • 何この行間だらけの新書?なめてんのか朝日!!1時間で読める!!あ、でもこの著者の本にしては分かりやすい!!さすが新聞記者!!
    「韓国は子供を産むことを忘れてしまった」「それでもフランスは異教徒どうしの結婚率が高い」等々、随所に見られる人口学者ならではの観点が面白い。核抑止力を肯定的に言及する著者に朝日記者は「頭の体操と思って読んでほしい」と一歩引いて読者に投げ掛ける。

  • 歴史家、文化人類学者、人口学者として、家族制度や識字率、出生率等から世界情勢を鋭く予言し続けるトッド氏へのインタビューを纏めたもの。

    新自由主義的なグローバル化から、保護主義的な国民国家へと回帰する欧米諸国の流れを必然的な動きと捉えているトッド氏。アラブ・イスラム圏の混乱は、民主主義への移行の過渡期の混乱に過ぎない、と見ている。

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