新書597 続・下流老人 (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022736970

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学評論随筆その他】「年収400万でも将来、下流に 」──半年で20万部を突破し、流行語にもなった『下流老人』は、一般に金持ちと思われていた高齢者の貧困を 発見 した。続く本書では、ますます深刻化する現状を辿りつつ、自分が下流化しないための 解決策 を提示する。

感想・レビュー・書評

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  • 少し前の本だが「下流老人」の後が気になっていたので読んだ。前作に続き、「死ぬまで働く」未来が現実になることを強調しており、暗い気分になる。特に第2章の事例紹介は残念であり、不安を煽られる。

    下流老人に陥ることを個人レベルで対処する策は無い。予防措置として、社会の構造と実情を理解し、声を上げ、連帯するしか無い。これではあまりにも寂しい結論だろうし、当時はこの本を読んでガッカリした方も多かったのだろう。確かにこの本だけを読むと、働く気力、介護や子育ての気力、選挙投票に行く気力を削がれるもの。ズルして儲けるか、ゴマすりしてまで出世するしかないのか。若かった自分は、きっと腹を立てたことだろう。

    ただし、当時と比べて、遅ればせながら、医療費控除やふるさと納税とか、マイナポイントなど、生活に役立つ制度があることを知り、活用している。これらは読書や友人から得た情報である。1つ1つ調べて申請する手間があり面倒だったが、やるだけの価値は十分ある。

  • 「下流老人」の続編。
    的外れな国の制度設計によって今尚下流老人の増加がとまらない。例えば、今までなら国民年金にしか加入していなくても、持ち家や貯蓄があれば、稼ぎのある息子夫婦との同居で、不足しがちな生活費を賄えたのは、国民年金そのものが住居や貯蓄、家族の助けなどのセーフティネットがあって初めて満足に機能することを意味している。現状では、子供との同居しない高齢者の方が多数だし、高齢者の年金や貯蓄を削って成人した子供を養わなければならないケースが増えている。つまり、セーフティネットが機能せず、一度大きな病気や怪我に見舞われれば、即下流老人化してしまう潜在的下流老人予備軍が大勢いる。
    また、少子高齢化対策もフランスの様に家族手当の充実、産休期間の延長、教育費の無償化、不妊治療の無料化、社会保障の拡充など将来社会の有り様を想定したものとなっているが、日本のそれは中途半端で受益感が乏しい。実際、消費税が8%になった時、公約では増収分は全額社会保障の財源に充てることになっていたが、9割が借金返済に使われ、社会保障は1割という公約違反を平気で行っている。
    国家ぐるみの税の不正使用や利権がらみの無駄遣いがあれば、どんなに増税したところで、下々の暮らしは楽にはならない。
    そして岸田政権では、労働力拡充という名目で移民政策に前のめりだが、来日する多くの外人は逃げ出し犯罪に手を染めるという最悪の事態に。
    現在政権そのものが、日本人のために機能存在していないという異常な状態が出現しており、国民の幸せよりも自分たちの利権や金儲けに熱心という事例が後を絶たない。今はただ国民本位の政権の登場が待たれる。

  • 少し前に、老後の生活の為に必要な金額が示されていましたよね。
    その金額があったとしても、不慮な病気、事故、予期せぬ扶養家族増加(子どもが孫を連れて転がり込んでくる、親を引き取ることになる等)によって、年金をそれなりに受け取っていようと、2000万円持っていようと下流老人になる可能性は誰にでもあるのだ、ということに衝撃を受けました。

    以前、消費税をアップさせる際、「社会福祉」に利用する、というのを私自身も聞いていましたが、ふたを開けてみると、実際に福祉に利用されたのは、そのうちのほんの僅かな割合だったとか。
    今回の増税はどうなんでしょう。

    全体が底上げしてもえらえるのであれば、増税は我慢するかな、と思うのですが、今の政府は、何だかお金がうまく使ってもらえる気がしないのです。
    その場をしのぐだけの発言、政治ではなく、長期戦で考えてほしいと思います。

    そうでなければ、現在の仕組みでは一生、それこそ死ぬまで働き続けなければいけないそう。
    でも高齢になるにつれ、頭も体も若いときの様には動かなくなるでしょうから、これは現実的ではない。

    現状を打開するには、著者の提案が今のところ一番現実的なのかな、と感じました。

  • 下流老人の続編。

    社会的ニーズよりも財源枠ありき分配する。その過程で順位付け、ときには切り捨てが起きているという構造的な問題があること、また、若者対高齢者に代表される対立の図式について、構造的な問題から派生するあるべき結果と理解できた。

    漠然とした不安は、確かに社会インフラが保証されることで緩和されるかもしれないが、どのような形であれ、再分配によって貧困層vs富裕層、若者vs高齢者、健常者vs障がい者などの対立は起こり得ると思う。多様性、ダイバーシティと絡めて、個人の能力や志向も含めて、差があるのが当たり前である社会を目指している今だからこそ、格差とは何か、政府が介入して是正しなければならない差とは何なのか、この点についてもう少し詳しく問題提起、議論されている本を探したいと思った。

    例えば、健康維持できるだけの医療、食事、住居を定義し、それらを社会インフラとして等しく保証したとする。そこを超えたmoreの部分は能力、志向によって生じると仮定し、moreは再分配の対象となるべきなのか。また、生まれ持って能力差によるmoreの差は是正されるべき格差なのか、等。

    考え出すと答えの見えない、難しい問題だと全2冊を読みつくづく感じた。少なくともこれだけ問題が複雑だからこそ、一人で全てを解決しようと思うことは浅はかな考えであることは十分理解できた。

  • 普通に一生懸命働いていても、老後安心して暮らせない今の社会システムに疑問を投げかけると共に、改善策を提言する本。
    "一億総活躍社会"とは、聞こえはよいが、老人や社会的弱者も働かないと暮らせない社会。今のコロナ禍で不安を抱える人々に対する政府の補償の考え方を見ていると、多くの人が年を取ってから直面するかもしれなかったことが早く、しかも一気に起きたと思えなくもない。
    今読むと、どんなに危なっかしい社会システムを安部政権が目指しているかよくわかる。

  • 私も下流老人ほぼ決定なので、今から知識を仕入れるのだ。(-_-;) パート2

  • 2017/7/16最終章の「全員が受益者」の社会をつくるは、リソウかも知れないが賛同。高齢者が働かなければならない社会。★5

  • 前半は事例を挙げつつ検証。
    藤田さんの良いところは一方的に自論を展開するのでは無く、いろんな角度から一つのテーマを検証すること。
    とても参考になった。
    後半は具体的に今後どうしたらいいのか藤田さんなりの自論とその解釈。
    正直自分もよく分からないところもあるが、現状藤田さんの考えがベストと思う。
    自分も自身の保身を考えつつ藤田さんのような活動に加わりたいと思った。
    少しづつでも世の中変えて行きたいよね。

  • 前半はよかったのだけど、後半からむずかしくてよくわからなかった。

  • 実例を挙げて日本の未来の不安を煽るように思えた。年金、貧困、格差、労働、孤独、介護、医療、公的サービス、税金といったキーワード。

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著者プロフィール

1982 年茨城県生まれ。NPO法人ほっとプラス代表理事。聖学院大学人間福祉学部客員准教授。反貧困ネットワーク埼玉代表。ブラック企業対策プロジェクト共同代表。ソーシャルワーカーとして活動する一方で、生活保護や生活困窮者支援のあり方に関し提言を行う。著書に『下流老人』(朝日新書)、『貧困クライシス』(毎日新聞出版)など。

「2018年 『未来の再建』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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