没後20年号「司馬遼太郎の言葉」 (週刊朝日ムック)

  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022770356

感想・レビュー・書評

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  • 没後20年を記念し、司馬遼太郎さんの文章をエッセンスにしながら構成した本。ただし、初版では乱丁がある。
    巻頭にある書斎の様子、随所に引用されている文章、司馬さんをめぐる寄稿や対談を読むにつけ、司馬さんの知識の膨大さ、世界観の広さ、深さに改めて驚かされる。亡くなって20年たっても、手を変え品を変え、「司馬遼太郎」関連の作品が出版され続けているという事実が、その偉大さを物語っている。自分が読んでいるのはまだ一部のみ。宇宙のように広いその世界を読み終えるのはいつになることやら・・・。
    心に残った文章はいずれも風塵抄から。まだ読んでいないのでぜひ読んでみたいと思った。

  • 私は若いころから司馬さんのファンであるが、司馬さんの何がすごいのか、どこがすごいのか……と聞かれると、はっきりとした答えがみつからない。
    偉い方々のように司馬さんの小説や随筆を分析して読んでいるわけではないので、明晰な答えが見つからない。
    このような本を読むと、皆、「司馬さんのこういうところが凄い!」と何かしら具体的な点をあげている。
    私も「これが司馬遼太郎だ!」という所以はどこにあるのだろうかと、いつも考えてみるのだが、未だに答えがみつかっていない。
    細かなことは考えずとも、御逝去されてから既に二十年経った現在でもファンが後をたたない大衆小説家はなかなか存在しないだろう。
    本書は司馬さんの小説や随筆を復習するのにとても良い。

  • 司馬遼太郎は1996年に没し、今年は没後20年となる。
    当時(1996年)の読書録を見ると、この年は、私の愛読していた、司馬遼太郎(2/12)、遠藤周作(9/29)、高坂正堯(5/15)の3名が鬼籍に入っている。
    当時読書録の交換をしていた私の先輩の読書録には、「司馬遼太郎の訃報に接した時、一度も会わず、一度も喋ったことのない人が亡くなって、こんなショックを受けたのは初めてです・・・(略)・・・そういえば、寅さんだって逝っちまって・・・小説も映画も、これっきりであとがないなんて、寂しい限りじゃござんせんかよ、ねぇ」
    この洒脱な先輩も命を絶ち、もうこの人の読書録も読めなくなってしまった。

    今回この本を手にして、当時の衝撃を思い出す。それほどまでに当時の読書人の衝撃は大きかった。あれから20年かぁ・・・・・

    司馬遼は「韃靼疾風録」を最後に小説を書かなくなり、晩年は週刊朝日の「街道をゆく」、文藝春秋の「この国のかたち」、産経新聞の「風塵抄」に絞り込んでいた。
    今回は主に「風塵抄」にスポットを当てた編集になっているが、それよりも面白いのは、磯田道史のインタビューと安部龍太郎×葉室麟の対談。

    磯田道史のインタビュー
    彼は浪人をしながら京都府立大学の学生でもあり、その時の渡辺信一郎の授業を受けてから、司馬遼の小説の読み方が、普通の読者と違う読み方を始めたという。
    作品は「項羽と劉邦」。「史記」の原文と「全現代語訳」を横に置いて、照らし合わせながら、「史記」がどのように司馬文学に化けているのか調べたそうです。「司馬さんがどこを膨らませたか、資料には残ってないところをどう補っているか。虚構と史実との間を正確に述べた授業でした。・・・(略)・・・それ以降、司馬作品を読む時には、必ず司馬さんが使ったであろう元資料を集めてから読むようになったのです。ちょうど18歳のときです」
    将来歴史家になるべく人は常人と違う事をやっているというか、興味の持ち方が違うようです。

    「安部龍太郎×葉室麟」の対談
    直木賞作家であり、歴史小説家の対談。
    彼らの世代の歴史小説家は、司馬遼のようになりたいと思ってスタートを切ったという。その結果、
    安部:司馬さんを意識すると自分のものが書けなくなる・・・巨大な引力に引きずられるのを恐れるように、これまでずっと距離を置いてきました。
    葉室:司馬さんを読むと、書かれている物語が本当の歴史だと思ってしまう。
    安部:そういう点では、司馬さんとの闘いを通じて大人になっていくような感じですね。
    以下面白い対談ですが、省略。

    司馬遼のファンなら是非お勧めします。

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