ドストエフスキー人物事典

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (506ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022920850

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  • シャートフ(イワン・シャートフ): ワルワーラ家の侍僕だったパーヴェル・フョードロフを父に持つ、不細工な体つきと美しいとは言えない容貌、不愛想で伏し目がちな眼差しといつも突っ立っている旋毛が特徴の青年。ワルワーラの幼女ダーリヤは実の妹。大学放校後に海外を旅し、マリーと3週間の結婚生活を送る。キリーロフやピョートル、スタヴローギンと親交を深めたのもこの時期で、後にキリーロフと共にアメリカに渡り、その直後にはピョートルの「会」の役割をはたしているようであり、リザヴェータにピョートルの紹介で出版の仕事を依頼された時、過剰反応する。スタヴローギンの過去を知るらしく、マリヤ・レビャートキナとの関係を否定したスタヴローギンを殴り飛ばした。

    ・・・これは本書からではなく、全く別の本『すらすら読めるドストエフスキー 』(桃井 富範 著)からの抜粋である。

    本書『ドストエフスキー人物事典』は「人物事典」と銘打ってあるものだから、『すらすら読める~ 』のように、ある登場人物に関する属性を過不足なく簡潔に、それも大人数を網羅して紹介されているものと期待していた。が、そんなんではなかった。当てはずれ・・・。

    ではどういうのだったかというと、物語の登場人物にスポットを当てた、一般的な作品論、作家論である。
    それはそれでいいのだが、文庫化されていないような初期の作品まで多く取り扱われて、「そんなの別に読むつもりなかったのに」と、ページがもったいなく感じた。ドストエフスキーなら、五大長編+αくらいで十分ではないだろうか。
    で、多くの作品が扱われているものだから、ひとつの作品の中で紹介されるのもいきおい主要登場人物だけになる。そもそも私は、『カラマーゾフ』のカテリーナの人物像をもっとしっかりさせておきたかったので本書を買って調べてみようとしていたのだが、カテリーナ級のキャラだと本書からはこぼれてしまっているのだ。・・・う~む、残念。

    ただし、文章がきれいで内容にも肯ける。気付かなかったことまで書かれていて勉強にはなる。

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著者プロフィール

大妻女子大学教授

「2006年 『宣教師ニコライの日記抄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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