タックスヘイブンの闇 世界の富は盗まれている!

  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784023310025

感想・レビュー・書評

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  • ケイマン、バハマといったエキゾチックな島の話ではなく、イギリス、スイス、そしてアメリカといった先進国が作り上げた巨大なシステムであり、文化である、といった主張を具体的な(推計ではあっても)データ・事例・インタビューによって裏付けている。そのシステムの根幹が「守秘」であるという事実は、「タックスヘイブン」という言葉にボンヤリともっていた「ルールの裏を書いて節税」というイメージを根底から覆した。(原著をダラダラ読んでたら翻訳があることに気がつき図書館で借りて読んでしまった)

  •  タックスヘイブンの仕組みなどに触れた本はいくつもあるが、この本ほどその実態に切り込んだ本はないだろう。それでも全貌は皆目分からず、闇と題しているのだ。
     大金持ちと一般人の資産格差が広がるのも、大金持ちほど税率が低いのも、すべて合法的なタックスヘイブンを利用しているからであるという。ときどき、海外の資産把握を高めたとか、スイス銀行の悪人の口座を明らかにさせたなどの報道が出て、タックスヘイブンが解消ないしは内容を把握する方向にあるのかと思いもあったが、資産格差の広がりがさらに進む現状は、実は逆に闇が広がっていると考えるべきなのだ。
     富を貧しいものから富んだ者へ流れるこの仕組みは、外国貿易の頃から始まり、先進国も途上国も政府高官が得をするので解消するのは容易ではない。この本でもその方法を提案しているが、実現できるのだろうか。
     これほどに内容が充実していて興味深いにも関わらず、読みにくいというか、頁が先に進まないのはどうしてだろう。慣れない言葉が多いせいだろうか、自分に縁のない世界の話だからだろうか、それがマイナスポイントである。

  • もしこの世界が何百年も前から「あるシステム」の下で、「ある一定の人たち(一族)や利害関係者」によって、動かされている世界であると考えれば、納得出来る事が多い。資本主義そのものについて考えられるし「そもそも」という観点から金融以外の物事も考えられる。

    現代の金融、世界経済、政治動向、貧困、戦争やテロリズム、その他を語る上で、タックスヘイブン(オフショア)を知らずに語られると実にチープに聞こえるし「あぁ、この人は何も分からず目先の事だけを語ってるんやなぁ〜」という印象を持つことになる1冊。

    直近のG20でも議論されたタックスヘイブンについて記述されている。ジャーナリスト視点からの本なので、書き方がアンチタックスヘイブン。

    善し悪しはあるものの、少し穿った見方がされているなぁ〜という印象。タックスヘイブン自体は合法で、そこを活用するかどうかは企業や個人、投資家の判断にしか過ぎない。また、これは歴史が証明している事で、「歴史的に」連綿とタックスヘイブンは続いているという事実。

    また、日本の投資家が日本の投資信託で運用しているものも、元々はタックスヘイブン(オフショア)を経由してきているので、タックスヘイブンそのものを無くす無くさないという議論自体は実に不毛である。

  • オフショア取引やタックスヘイブンに関する知識がなければ、この読みにくく分かりにくい膨大な文章は、結構キツい。このシステムが世界の富裕層をさらに富ませ、貧困国の窮状を助長していることは、なんとなくわかったような気にはなるのだけど。

  • あらゆる形で抜け道があり富が収奪されているのはわかったけど、全部整理するのは難しい。。話題の本にしてはとっつきにくすぎる。必要になったらもう一度読めばいいかなという感じ。

  • 日本経済新聞社エコノミストが選ぶ2012年経済図書ベスト10 第六位

  • なかなか読み通すのに苦労しましたが、新自由主義が行きすぎるとこれは批判されるべき問題ではないでしょうか。必読。

  • イギリスからアメリカへ、ヘゲモニーが移行していく過程や
    ブレトンウッズ体制の確立など。ブレトンウッズ体制は、
    1.経済運営の国際協調体制、2.国家間の資本の自由移動の禁止、
    が重要。面白い!

  • タックスヘイブン 租税回避地
     オフショア法人を通じて合法的に租税を回避
    オフショア 4
     ヨーロッパ、シテイオブロンドン、米を中心とする勢力勢、ソマリアやウルグアイなどどこにも分類できない群

    HSBC ホンカーズアンドチャンカーズ
    日本 1986 IBFモデルに自前のオフショア市場を生み出す

    映画 ロードオブウォー

  • ニコラス・シャクソン (著), 藤井清美 (翻訳)
    世界中で行われている金融取引の半分はケイマン島やバージン島などのタックスヘイブン(租税回避地)を経由している。世界三大バナナ会社からマードック率いるニューズコーポレーションまで、タックスヘイブンを利用しない大企業などなく、そこを経由した資金が様々な政治腐敗を生み出し、途上国の貧困をますます悲惨なものにしている。世界金融の中心地に君臨するニュヨークのウォール街やロンドンのシティ、また近年著しい発展を遂げているドバイ、上海、香港などの振興金融都市は、いたるところに存在するタックスヘイブンをどのように利用し、世界から巨万の富を「盗み取って」いるのか? 『フィナンシャル・タイムス』紙、『エコノミスト』誌などの名門メディアで活躍する国際ジャーナリストが、タックスヘイブンの闇に迫る渾身のノンフィクション。
    〈目次〉
    プロローグ 表玄関から出て行って横手の窓から戻って来た植民地主義
    第1章 どこでもない場所へようこそ・オフショア入門
    第2章 法律的には海外居住者・ヴェスティ兄弟への課税
    第3章 中立という儲かる盾・ヨーロッパ最古の守秘法域、スイス
    第4章 オフショアと正反対のもの・ジョン・メイナード・ケインズと金融資本に対する戦い
    第5章 ユーロダラーというビッガーバン・ユーロダラー市場、銀行、および大脱出
    第6章 クモの巣の構築・イギリスはどのように新しい海外帝国を築いたのか
    第7章 アメリカの陥落・オフショア・ビジネスに対する姿勢を危惧から積極的参加に切り替えた変えたアメリカ
    第8章 途上国からの莫大な資金流出・タックスヘイブンは貧しい国々をどのように痛めつけるか
    第9章 オフショアの漸進的拡大・危機のルーツ
    第10章 抵抗運動・オフショアのイデオロギーの戦士との戦い

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