大激変 2020年の住宅・不動産市場

  • 朝日新聞出版
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784023310322

作品紹介・あらすじ

人口の減少、経済力の低下、世界的な不況など、住宅・不動産業を取り巻く現状に明るい話題は少ない。これからの住宅・不動産市場はどう変わるのか。ディベロッパー、メーカー、ビルダー、賃貸業者、仲介業者、管理業者などは変化にどう対応するべきか。船井総合研究所不動産チームが総力を挙げて市場動向を予測し、大胆に対応策を提言する。

感想・レビュー・書評

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  • 仕事で配下のメンバーが不動産領域に営業をかけている為、知識をつけるために購入。
    住宅・不動産市場は『フロービジネスからストックビジネスに変化』していく。
    ※フロービジネス:購入した土地などに付加価値をつけて(例えばマンションを建てる、戸建て住宅を建てるなど)、販売する事業態

    資産価値が市場の影響を大きく受けるビジネスのため、少子高齢化が進み、地価が上がりづらい現状の日本では通用しにくくなってきている。

    そこで今ある建物(マンション、アパート、戸建てなど)に付加価値を付けて運用していくことが求められる
    【ストックビジネス】

    例えば、日本は世界きっての新築至上主義だが、中古住宅をリフォーム・リノベーションして売却・賃貸することや、マンションや戸建てなどの管理を充実化し既存客へのメンテナンス投資を促すことが考えられる。

    細かいところに違いはもちろんあるが、日本製造業が直面している課題と大枠は一致しているように感じる。
    例:
    モノ売り→コト売り(システムとして売る、ソリューション営業)
    売り切り型→アフターフォローで稼ぐ
    サブスク形式など

  • 住宅関連産業は従業者数、法人数共に全産業の10%を超える一大産業である。

    これまで、人口増加と経済成長を背景に、終身雇用と長期ローンに後押しされた、新築マイホーム所有というニーズを前提とした産業モデルが形成されていた。しかしながら、業界には数々の非効率が内在し、人口減少や東日本大震災を契機とした価値観の変化など、同業界は岐路を迎えれている。

    住宅産業をさらに戸建て住宅、新築マンション、仲介、賃貸、管理などに細分し、事情を経済学を前提とした分析を行っている。簡潔でありながら硬派な内容となっており、説得力がある。これまで新築の建設を前提としたフローのモデルから、既存住宅を中心としてストックを活用するべきであるというのが本書の全体的な主張である。

    特に関心を持ったのがマンションである。同業界は、かなり分散型の市場であり最大手ですらシェアが6%程度である。マンション業界のバリューチェーンは、おおざっぱには
    1.用地取得
    2.設計・企画
    3.建設
    4.販売
    となっているが、その全てが容易にアウトソースが可能であり、それが差別化余地をさらに小さくしている。唯一、競争優位を発揮できるとすれば、用地取得とそれに伴うファイナンス能力であるが、それも決定的な要素とな成り得ない。今後、人口が減少することが確実な中で、新築マンションの建設で安定的な収益を上げながら成長していくのは困難であることは明白であるということだ。

    さて、一方でこの本が不動産の購入や売却などを考えている一般個人にとってはどう言う意味が有るかというと、やはりマクロからの理論的視点での状況が分析されているので、長期的な資産戦略には有益な情報となるでしょう。

  • 日本の不動産業界を網羅的に見ることができ、かつ未来予測をしてくれている本。業界の構造、全体図をシンプルに理解することができ、未来予測という切り口で考察をしているので、「どの分野が」「どうなっているのか」を理解できる。

    アメリカのように人軸の不動産業界に変化していくんだろうな

  • これからの不動産業は少子高齢化の影響で激変する。

  •  マンパワーがかなりのウエイトをしめる不動産業界では、建設業での派遣労働が解禁になって外国人労働者を受け入れるぐらいにならないと、盛り返せないのかもしれない。
    ゼネコンが外国で施工管理をするのと、日本で外国人労働者を使って建設するのはまったく同じ。しかしそれはさすがに劇薬か。

     これからはマンション管理やメンテナンスや改修やリフォームの分野が拡大するでしょうというのは、まぁそうでしょう。
     この動きが一段落したとき、遂に派遣が解禁という流れになるような気がする。

     スタフグレーションに陥った日本では、金融緩和政策では景気は回復しないというのは最もだけれども、銀行の貸し出し姿勢にものすごく影響される不動産業界だけは違うと思う。
     お金を貸したくなるような優良な企業がないのかもしれないけれど、せめてデベロッパーには出してあげてくださいよ。

  •  内容的にはたいしたことないけど,データのリファレンスとしては使えそう。東証住宅価格指数(いわゆる日本版ケース・シラー指数)とか,人口統計資料集とか。データに基づいたマーケット分析はコンサルならでは。2030年(あっという間ですよね)には秋田県の人口は4割減るとか,沖縄が最後まで人口が増え続けるとか,色々と参考になります。統計の勉強もしなければと改めて思いました。

  • 住宅関連産業は従業者数、法人数共に全産業の10%を超える一大産業である。

    これまで、人口増加と経済成長を背景に、終身雇用と長期ローンに後押しされた、新築マイホーム所有というニーズを前提とした産業モデルが形成されていた。しかしながら、業界には数々の非効率が内在し、人口減少や東日本大震災を契機とした価値観の変化など、同業界は岐路を迎えれている。

    住宅産業をさらに戸建て住宅、新築マンション、仲介、賃貸、管理などに細分し、事情を経済学を前提とした分析を行っている。簡潔でありながら硬派な内容となっており、説得力がある。これまで新築の建設を前提としたフローのモデルから、既存住宅を中心としてストックを活用するべきであるというのが本書の全体的な主張である。

    特に関心を持ったのがマンションである。同業界は、かなり分散型の市場であり最大手ですらシェアが6%程度である。マンション業界のバリューチェーンは、おおざっぱには
    1.用地取得
    2.設計・企画
    3.建設
    4.販売
    となっているが、その全てが容易にアウトソースが可能であり、それが差別化余地をさらに小さくしている。唯一、競争優位を発揮できるとすれば、用地取得とそれに伴うファイナンス能力であるが、それも決定的な要素とな成り得ない。今後、人口が減少することが確実な中で、新築マンションの建設で安定的な収益を上げながら成長していくのは困難であることは明白である。

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