チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784023311213

感想・レビュー・書評

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  • 面白いのと、中国の考え方に接することが出来る稀有な本でした。チャイナナインと合わせて読むのをオススメします。

  •  2012年の秋の中国共産党の10年に一度の最高指導部の交代を控え、中国国内で激烈な権力闘争が行われており、2012年の3月に「薄熙来」の失脚がマスコミを賑わしていたが、その複雑な背景事情を本書は実に詳細に調査している。
     著者は「チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち」において、わかりにくい国である中国の内情を詳細に解き明かしており、その並々ならぬ調査能力には敬意を持っていたが、本書もそれにふさわしいものと言えると思う。
     しかし、どうも本書での解析は「推理」の部分が多すぎるのではないか。
     「薄熙来」の「男の生い立ち、不倫婚」「大連時代」「遼寧省時代」「重慶時代」等の経歴の調査と当人の「キャラ」は、どうやって調べたのかと驚く程、詳細かつ鮮明である。
     そして、今回失脚することになった理由と、失脚にいたる中国共産党内部の権力闘争の実態の推測も説得力があり、興味深い。
     しかし、確認するすべはないにしろ「薄熙来」とその妻の犯罪行為についての状況証拠を駆使しての「推測」は、ちょっと勇み足ではないかと感じた。
     また、本書での「権力欲」の権化のような「薄熙来」の行動とキャラが、日本人からみてスムーズに理解しやすい点も違和感を感じる。「中国人」は、もっと日本人とは違ったメンタリティーを持っているのではないだろうか。
     本書は、「薄熙来」事件の解明を通し、中国共産党の実情を知ることもできる点も評価でき、「赤いノスタルジー」や「紅机子」「裸退」などの多くのエピソードも興味深いが、本書の主題である「チャイナ・ジャッジ」(中国共産党最高指導部の意思システム)や「薄熙来」事件の真相の最後の結論が「整合性のある推論」とならざるを得ない点でちょっと不満を感じた。

  • やはり、新聞・のコラムの方が切れ味あり。前作のチャイナナインが、様々な人物を描写しなくてはならなかったため散漫になっていたが、今回は焦点が絞れていてよみやすい。後半はスパイ小説として読むのが良いかも。

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著者プロフィール

1941年中国吉林省長春市生まれ。1953年帰国。東京福祉大学国際交流センター長。筑波大学名誉教授。理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『チャイナ・セブン 〈紅い皇帝〉習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』(以上、朝日新聞出版)、『完全解読 「中国外交戦略」の狙い』(WAC)、『ネット大国中国――言論をめぐる攻防』(岩波新書)、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』(日経BP社)など多数。

「2015年 『香港バリケード』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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