- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784023311701
作品紹介・あらすじ
災害の歴史から何を学び、どう向き合うか。歴史学者ら17人が語る「過去に何が起きたのかこれから何が起こるのか」。
感想・レビュー・書評
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東北の震災以降、歴史学と自然科学は大きく接近した。
私が痛感したのは「大地震のサイクルはまだよくわかっていない」ということと、「だからこそ地質学や地震学などの自然科学と古文書を読み解く歴史学とは共同作業が必要」ということ。
読み取った教訓その他。
① 古文書に載っている被害状況は正確であることが多い。平安期以降、確固たる行政が存在したということ。とくに国家仏教(例えば大仏建立)と地震とは切り離せない
② 民間の言い伝えは地質学的な研究とも一致点が多い。たとえば、「ここまで波が来た」という石碑は地質学研究から分かる津波の痕跡と一致
③ 大きな震災の後には火山活動が活発になる。地震と火山は直接の関係はないが、一方で地殻変動としての連動も研究しなければならない
④祇園祭りは地震と密接に関係している(牛頭大王はスサノヲ、すなわち地下の神。海の神が地下の神、地震の神でもあるというのは実はギリシア神話のポセイドンも同じ)
⑤自然災害への対応は共同体(行政)の責任。決して自己責任論で議論すべきでない。これは少なくとも江戸時代まで遡れる考え方
本書は様々な研究者の論文集だが、はっきり言ってその「クオリティの差」に愕然とする。これまで営々と研究を積み上げ、それを実務に移し込む努力を怠らない人。古文書の和訳のようなものをただ転記しているだけの人。
現政権が文系学問の予算を減らそうとしている。当然のように学問の弾圧だという声が上がっている。学者の世界の「成果主義」については良く知らないし、その計測が難しいことも理解できる。が、少なくともこの本の執筆陣の力量の差は素人でもそこそこ見通せる。学問弾圧には反対だが、働かない学者に予算をやらないことには賛成。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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3月11日大川竹あかり
https://www.ookawatakeakari.jp/3月11日大川竹あかり
https://www.ookawatakeakari.jp/2022/02/16
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http://www.kinokuniya.co.jp/disp/CSfGoodsPage_001.jsp?CAT=01&GOODS_STK_NO=9784023311701
『ミレニアム津波にどう備えるか
災害列島と地震考古学の課題
天保「チリ地震津波」が問いかけるもの
泥の海―自然の記憶の覚え書きとして ほか)
第2部 日本列島と地震(座談会(後編)災害の歴史から何を学び、どう向き合うか―災害列島に生きた人々
トピックス『日本三代実録』に残る貞観地震の記述
古代の地震と噴火―地震は「地の妖」であった
中世の地震と噴火―繰り返す地震活動期
貞観地震・津波に学ぶ ほか)』 -
おそらく今回の震災で一番悔しい思いをしている人達が書いた本である。
古い地名や歴史に学ばないと。 -
基礎文献としては優れているのではないか。
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☆16世紀の慶長津波では、仙台藩は浸水地域を再開発した。今回の浸水エリアと重なっている。また、江戸時代の住居は今回でも津波の被害がなかった。
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新聞で読んだり、テレビで見たりしたような話。もっと学術的なものを期待していたので、私としては外れかな。